中央ヨーロッパに位置し、美しい湖や森、音楽や芸術が盛んで自然と文化が豊かな国オーストリア。クラシック音楽が好きな人には、作曲家としてレジェンドであるシューベルトがオーストリア生まれで生涯を首都ウィーンで過ごしたことは有名でしょう。ところで、都市ウィーンのある一画が世界遺産に登録されていることをご存知ですか?
この記事では、オーストリアの世界遺産「ウィーン歴史地区」を紹介します。ウィーンがどのような歴史的価値を持っているのか、英語の説明とともにみていきましょう。
オーストリア「ウィーン歴史地区」の基本情報

オーストリアはヨーロッパの中央に位置することから、ドイツ、チェコ、スロバキア、スロベニア、ハンガリー、イタリア、スイス、リヒテンシュタインの8ケ国と国境を接しています。そのオーストリアの首都がウィーンで、そのなかにウィーン歴史地区というエリアがあります。まず、どのようなエリアなのか基本情報をみていきます。
ウィーン歴史地区の情報
オーストリアはAustria(Republic of Austria)、首都ウィーンはViennaです。Viennaの発音はカタカナ語でヴィエナに近くなります。ウィーンは国の北東部に位置し、アルプス山脈とカルパティア山脈の間にあります。
そのウィーンの中心部にある旧市街と周辺地域が「ウィーン歴史地区」と呼ばれています。
ウィーン歴史地区といえばハプスブルク家
ウィーン歴史地区は、中世~20世紀初頭までハプスブルク家の帝都として栄えた地域だったという大きな特徴があります。ハプスブルク家は名門貴族であり、マリア・テレジア、マリー・アントワネットなどが有名です。
このことから、ウィーン歴史地区ではヨーロッパの文化や政治の発展が見られ、16世紀以降は音楽の都として認知されるようになりました。
ウィーン歴史地区の英語フレーズを紹介

では、ウィーン歴史地区を英語にするとどのようなフレーズになるのか説明しましょう。
ウィーン歴史地区の英語表現
ウィーン歴史地区を英語にするとHistoric Centre of Viennaです。
訳)ウィーン歴史地区は、ウィーン市の中心部で、第1区とリング通り内の一帯を指します。
リング通りとは、ウィーン旧市街を環状に包む全長5.3kmの道路です。国立歌劇場や国会議事堂などが立ち並び、ウィーンのシンボルとなっています。
ウィーン歴史地区が世界遺産になった年や理由は?
世界に多くある歴史地区ですが、世界遺産で言うと「文化遺産」に分類されます。ここで、ウィーン歴史地区が世界遺産に登録された年や理由をみていきます。
ウィーン歴史地区が世界遺産になった年
訳)ウィーン歴史地区は、2001年にユネスコの世界遺産に登録されました。
ウィーン歴史地区が世界遺産になった理由
続けて、ウィーン歴史地区が世界遺産に登録された理由を紹介しましょう。
訳)バロック様式の城や庭園、19世紀後半のリング通りなど、この街の都市計画と建築アンサンブルは、中世・バロック・グリュンダーツァイトという3つの重要な時代を通して、ヨーロッパの文化的、政治的発展を象徴しています。
ウィーン歴史地区が危機遺産になった?
ユネスコの世界遺産には「危機遺産登録」というリストがあることをご存知ですか?実は、ウィーン歴史地区がこのリストに登録されています。
世界遺産の「危機遺産登録」とは?
危機遺産として登録される理由はいくつかあります。例えば、戦争や内戦による破壊行為、環境破壊、気象や風化といった自然または時間の経過による危機などです。
「危機遺産登録」は英語でWorld Heritage in Dangerで表現します。
「危機遺産」に登録されたウィーン歴史地区
2017年、ウィーン歴史地区が危機にさらされているということで「危機遺産リスト」に登録されました。ユネスコが、高層建築プロジェクトによる歴史地区の影響、顕著な普遍的価値が損なわれると判断したためです。
訳)ウィーン歴史地区は、オーストリアの首都中心部における高層建築プロジェクトのため、2017年にユネスコ世界遺産の危機遺産に指定されました。
2001年から15年経った2016年、100年の歴史を持つコンサートホール「ウィーン・コンツェルトハウス」のすぐ横に高層ビルを建設すると発表されたのです。
ウィーン歴史地区の見どころを紹介

中世からバロック、19世紀までの建築様式が見事に一体化した景観が素晴らしいウィーン歴史地区。ここでは、見どころを紹介しましょう。
ウィーン歴史地区で必見の観光スポット
ウィーン歴史地区の魅力を体験するための必見スポットには、ウィーンの象徴的アイコンでゴシック建築の傑作であるシュテファン大聖堂(Stephansdom)、ハプスブルク家の冬の宮殿で今は大統領官邸、博物館として使用されるホーフブルク宮殿(Hofburg)、元宮殿で現在美術館のベルヴェデーレ宮殿(Belvedere)にはクリムトのマスターピース「接吻」を見ることができます。
訳)ホーフブルク宮殿は世界最大級の宮殿のひとつです。かつては皇室の住まいでしたが、現在は博物館、政治、イベントの拠点となっています。
ウィーン歴史地区でクラシックに親しむ

ウィーンがオーストリアだけでなくヨーロッパの音楽の中心地として歴史的にそして継続的に果たしてきた役割(特にウィーン古典主義とロマン主義)は、遺産登録の決定的な特徴にもなっています。モーツァルト、ベートーベン、シューベルトなどの音楽史に残る達の拠点であったことも重要な点でしょう。
ウィーン国立歌劇場/Vienna State Opera
ウィーン国立歌劇場はVienna State Operaと言い、世界的に有名なオペラハウス、クラシックの殿堂がウィーン歴史地区にあります。舞踏会シーズンの頂点を極める「オペラ座舞踏会」もここで開催されます。ウィーンを訪れた際、この歌劇場で観劇ができれば一生の思い出になるでしょう。
AさんOn May 25, 1869, the Vienna State Opera opened with a performance of Mozart’s Don Giovanni – in German.
訳)1869年5月25日、ウィーン国立歌劇場はモーツァルトの「ドン・ジョバンニ」のドイツ語上演で開幕しました。引用:ウィーン国立歌劇場
ウィーンで活躍した作曲家たち
しばしば過小評価される天才シューベルトはウィーン出身ですし、他にも著名な作曲家たちがウィーンで活躍しました。例えば、モーツァルト、ベートーベン、ブラームスなどなど有名どころがウィーンで活動しました。このためウィーンは「音楽の都」と呼ばれています。
その理由は、以下の例文で紹介しましょう。
訳)ハプスブルク家は帝国の宮廷として芸術、特に音楽を積極的に支援し、ウィーンに一流の音楽の才能を惹きつけ、この都市を音楽革新の中心地として確立しました。
まとめ
本記事では、オーストリアの世界遺産「ウィーン歴史地区/Historic Centre of Vienna」を紹介しました。
ウィーンといえば、伝統料理のウィンナー・シュニッツェルや有名なスイーツであるザッハートルテなど、名物料理が浮かびます。ハプスブルク家との歴史、音楽の都、これらがパッケージになった素晴らしい世界遺産が「ウィーン歴史地区」なのです。
