タイの首都バンコクから北へ約80km。現在のアユタヤはのんびりとした地方都市ですが、かつては東南アジア最大級の国際都市として繁栄した場所でした。
「アユタヤ王朝(Ayutthaya Kingdom)」は、14世紀に建国され、約400年間にわたりタイ中部を中心に大きな勢力を誇っていました。
古都アユタヤとは?

王都アユタヤは、チャオプラヤー川とその支流に囲まれた中洲に築かれ、貿易・宗教・文化の中心地となりました。現在は「アユタヤ歴史公園(Ayutthaya Historical Park)」として整備され、王宮や寺院の壮大な遺構が人々を魅了しています。
かつてのタイの中心地
アユタヤはタイ中部のアユタヤ県にある町。現在の人口は約1万3000人ほどと小規模ですが、かつては国際的な交易都市でした。
14世紀半ばに建国されたアユタヤ王朝は、北のスコータイや東のクメール王朝を倒し、領土を拡大。都にはヨーロッパ、中国、日本など各国から商人や外交使節が集まり、日本人町(Japanese Quarter)まで存在していました。
この地はチャオプラヤー川、ロップリー川、パーサック川の合流点に位置し、水運に恵まれていたため、自然の要塞としても機能。
しかし1767年、隣国ビルマ(現在のミャンマー)によって徹底的に破壊され、王朝は滅亡。以後、王都は現在のバンコクに移され、アユタヤは再建されることなく遺跡の町として静かに歴史を刻んでいます。
現存する遺跡と都市計画
現在のアユタヤ歴史公園では、赤茶けたレンガで造られた仏塔や寺院跡が点在しています。特に「ワット・プラシーサンペット」の3つの仏塔は、王族の遺骨を納めた神聖な建造物。
戦火によってほとんどの建物は破壊されましたが、その残された基礎や構造から、当時の都市計画や建築技術の高さがうかがえます。
都市全体は計画的に設計され、バンコクの都市設計にもそのノウハウが引き継がれました。
アクセス情報
アユタヤへはバンコクからのアクセスが便利。以下の方法があります。
- 電車:バンコクのフアランポーン駅から約1時間30分(約15~20バーツ)
- バス:モーチット・バスターミナルから約1時間30分(約50バーツ)
- 車・タクシー:高速道路を使えば1時間強
ボートや自転車での観光も人気です。
古都アユタヤの歴史
アユタヤ王朝は1351年、ウートン王によって建国されました。スコータイ王朝の後継として発展し、16〜17世紀には「東洋のベニス」とも呼ばれるほど国際色豊かな都市になりました。
ヨーロッパの記録には「アユタヤは世界でもっとも印象的な都市のひとつだった」と残されています。ポルトガルやオランダ、フランス、日本などとの貿易により多様な文化が融合。
王宮や寺院にはタイ独自の建築様式だけでなく、クメール様式やビルマ様式の影響も見られます。
しかし1767年、ビルマ軍の侵攻によって都市は壊滅し、王朝は終焉を迎えました。
世界遺産としての価値

アユタヤ歴史公園は1991年、「古都アユタヤ」(Historic City of Ayutthaya)としてユネスコの世界文化遺産に登録されました。
訳)古都アユタヤは、1991年にユネスコの世界遺産に登録されました。
登録理由とユネスコの評価
古都アユタヤが評価されたのは、次のような点です。
- アユタヤ歴史都市は、真のタイ独自の芸術が発展した時代を証言している。
覚えておきたい英語フレーズ
旅行や英語学習にも役立つ、アユタヤに関連するフレーズをいくつかご紹介します。
訳)アユタヤは400年以上にわたりタイの首都でした。
訳)アユタヤは川に囲まれた要塞のような都市だった。
訳)アユタヤ歴史公園には多くの寺院や遺跡が残されています。
古都アユタヤの見どころ紹介

古都アユタヤには、数多くの壮大な寺院跡や仏像、王宮の遺構が点在しています。かつてこの地が「東洋の貿易と仏教の中心」であったことを実感できる場所ばかりです。特に人気のある見どころを紹介します。
ワット・プラシーサンペット(Wat Phra Si Sanphet)
かつて王宮の敷地内に建てられた、王家専用の寺院。アユタヤで最も神聖な場所とされ、3つ並ぶ優美な仏塔(チェディ)が印象的です。これらは歴代王の遺骨を納めるためのもので、黄金で覆われていた時代もありました。
ワット・ローカヤスターラーム(Wat Lokayasutharam)
青空の下に悠然と横たわるのは、長さ約37メートル、高さ約8メートルの巨大な寝釈迦仏。レンガ造の土台に漆喰を施した姿で、ゆったりとした表情がとても穏やかです。現地の人々は花や線香を供え、静かに祈りを捧げています。
この像は戦争の被害を免れ、奇跡的に当時の姿を今に伝えている貴重な存在でもあります。
ワット・マハータート(Wat Mahathat)
アユタヤで最も有名な写真スポットのひとつ。木の根の中に埋め込まれた仏像の頭部が、まるで自然と一体化しているかのように見える神秘的な光景です。
この仏像の頭部がどのようにしてここに入り込んだのか、正確な経緯は謎のままですが、戦争や略奪の中で倒された仏像が、長年の歳月の中で自然と一体化したと考えられています。
ワット・プララーム(Wat Phra Ram)
アユタヤ建国の父・ラーマーティボーディー1世(ウートン王)の火葬地に建てられた寺院。中央にそびえる美しいクメール様式の塔が特徴で、落ち着いた雰囲気の中に威厳を感じさせる場所です。
ワット・ヤイ・チャイ・モンコン(Wat Yai Chai Mongkhon)
高さ約70メートルの巨大仏塔が目を引く寺院で、「勝利の大仏塔」とも呼ばれています。ビルマ軍との戦いで勝利を収めた記念に建てられたと伝えられています。階段を登れば、アユタヤの町を一望できる絶景が待っています。
バン・パイン宮殿(Bang Pa-In Palace)
アユタヤ時代後期から使われていた離宮で、現在の宮殿建築はラマ4世・ラマ5世時代に再建されたもの。タイ様式、中国風、西洋風が融合した庭園建築が美しく、今も王室の行事に使われています。
特に美しいのは池の中に建つタイ様式の宮殿「プラティーナン・アイスワンティップアート」。黄金に輝く優雅な建物が水面に映る様子は、まさに王族の美意識そのものです。
まとめ:英語で広がる世界遺産の旅
古都アユタヤは、タイの歴史と文化を深く知るうえで欠かせない場所です。壮大な遺跡群とその背後にある物語は、英語を学ぶうえでも絶好の素材となります。アユタヤの旅を通じて、英語も歴史も一緒に楽しんでみませんか?
