フランス西部を流れるロワール川の中流域、オルレアンの東に位置するシュリー-シュル-ロワールから、アンジェの西に位置するシャロンヌ-シュル-ロワールまで、約280kmにわたるロワール渓谷は、ユネスコの世界遺産に登録された文化的景観です。
この地域は「フランスの庭」とも呼ばれ、壮大なシャトー(城)、緑豊かな庭園、美しい川岸の風景が点在します。さらに、かつて王宮や貴族の宮殿が多く置かれたことから「フランス語の揺籃地」としても知られています。フランス語やフランス文化の歴史を学ぶうえで、欠かせない場所といえるでしょう。
この記事では、ロワール渓谷の歴史や見どころを紹介しつつ、英語での表現も学べるようにしています。
シュリー-シュル-ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷とは?

シュリー-シュル-ロワールからシャロンヌ-シュル-ロワールまでの区間には、古都オルレアンやブロワ、アンボワーズ、トゥール、アンジェなどが点在し、ヨーロッパの原風景とも言われる自然美が広がっています。
この地域の特徴は、自然と人間の文化が美しく調和していることです。森や河川が残る一方で、数百に及ぶシャトーや修道院、庭園などが点在し、フランスの歴史や文化が感じられます。
訳)ロワール渓谷は絵のように美しい景観と歴史的なシャトーで有名です。
シャトー(Château)とは?
フランス語で「シャトー(Château)」は城や宮殿を意味しますが、王族や貴族が住む宮殿、離宮として建てられました。城壁や塔を備えるものもあり、城塞としての機能を持つ場合もあります。
有名な例としては、シャンボール城、シュノンソー城、アンボワーズ城、ブロワ城、シノン城などが挙げられます。これらは王族や貴族の生活だけでなく、フランスの芸術や建築の発展を象徴する建造物でもあります。
歴史的背景
ロワール渓谷には、10万~5万年前にネアンデルタール人が住み、3万年前にクロマニョン人に入れ替わった痕跡があります。紀元3世紀にはキリスト教が伝わり、313年のミラノ勅令で公認されると、都市には大聖堂や司教座が設置されました。
4世紀にはトゥールの司祭マルティヌスがマルムティエ修道院を建造し、周辺都市の発展の礎を築きました。10世紀以降、貴族たちは荘園を建て、城塞を築き始めます。14世紀の百年戦争では防衛のための城が数多く建造され、現在残る古城の多くはこの時代に起源を持っています。
15世紀以降は、戦争の終結とともに、城塞は華麗な城へと改築されました。ヴァロワ朝の王たちはここに居城を構え、フランス・ルネサンスの傑作とされるシャンボール城やシュノンソー城が建造されました。ルネサンス期のフランソワ1世の頃には政治の中心がパリに移りましたが、ロワール渓谷は依然として王族と深い関わりを持ち続けました。
世界遺産としての価値

シュリー-シュル-ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷は2000年にユネスコの世界遺産に登録されました。登録名称はThe Loire Valley between Sully-sur-Loire and Chalonnesです。
登録理由は、歴史的建造物と自然の景観が見事に調和していること、そして、デザインや思想においてルネサンスと啓蒙主義時代の理想を実現したものであることです。2017年には、軽微な範囲での境界変更が行われ、現在の範囲に整備されました。
UNESCO World Heritage Convention:The Loire Valley between Sully-sur-Loire and Chalonnes
覚えておきたい英語
この記事に出てくる英語を紹介します。ぜひ覚えて使ってみてください。
Château(シャトー): Castle / Palace
例文: Château de Chambord is a masterpiece of French Renaissance architecture.
(シャンボール城はフランス・ルネサンス建築の傑作です。)
Renaissance(ルネサンス): 文化・芸術の復興期
例文: The Loire Valley is home to many Renaissance châteaux and gardens.
(ロワール渓谷には多くのルネサンス様式のシャトーと庭園があります。)
Heritage(遺産)
例文: This region’s cultural heritage is celebrated worldwide.
(この地域の文化遺産は世界的に称賛されています。)
Fortress(要塞)
例文: Some châteaux started as fortresses for protection during wars.
(いくつかのシャトーは戦争中の防衛用要塞として建てられました。)
旅先で使える英会話フレーズ
世界遺産を訪れたときには、周りの人たちと感動を共有したくなると思います。そんなときに使えるフレーズをご紹介します。
訳)このシャトーは素晴らしい!建築が本当にすごい。
訳)そうだね、フランス・ルネサンスのデザインの素晴らしい例だね。
訳)レオナルド・ダ・ヴィンチはここで晩年を過ごしたんですよね?
訳)はい、アンボワーズに住み、アンボワーズ城に埋葬されています。
訳)最初にどのシャトーを訪れるのがおすすめですか?
訳)壮大さと独特の階段のあるシャンボール城がおすすめです。
おすすめ見どころ

ロワール渓谷には、歴史を感じさせる壮麗なシャトーが点在しています。美しい庭園や川沿いの風景とともに、フランス・ルネサンスの建築美を楽しめるスポットが満載です。中でもおすすめのスポットを紹介します。
シャンボール城
ロワール渓谷でも最も広大な城。1519年にフランソワ1世が狩猟小屋として建築を始めた後、改築され、部屋数は440、階段は74ヶ所に及びます。二重らせん階段は、互いに交わらずに昇れるという設計で、レオナルド・ダ・ヴィンチによる設計だと言う説もあります。防衛施設ではなく装飾に特化したフランス・ルネサンスの傑作です。
アンボワーズ城
アンボワーズ城は、フランス王シャルル7世やルイ11世らが居城とした城で、レオナルド・ダ・ヴィンチは城の郊外で晩年を過ごしました。庭園はフランス式庭園の先駆けとなりました。
シュノンソー城
シェール川沿いにある城で、16世紀には王の愛妾たちの住居としても使用されました。庭園はディアーヌの庭やカトリーヌの庭など、王にまつわる女性の名前が付けられています。
ブロワ城
ブロワの街中心部に位置し、16世紀に建てられた八角形の螺旋階段は、フランス・ルネサンス建築の傑作です。
その他
ユッセ城(『眠れる森の美女』のモデル)、ヴィランドリー城(幾何学模様の庭園)、アンジェ城、シノン城、ショーモン城、シュリー-シュル-ロワール城も見どころです。歴史的背景や建築、庭園の美しさを学ぶことで、英語学習にもつながります。
おわりに:英語で世界遺産を旅しよう!
ロワール渓谷を旅することで、シャトーや庭園の美しさを英語で説明したり、現地で観光案内を英語で聞いたりする体験は、英語学習にもつながります。
ぜひ、次の旅では「世界遺産×英語」をテーマに、英語で感動を伝えてみてください。
