発表会のステージに立つ子どもたちの顔は、練習のときよりもずっと輝いています。

それは、「英語で伝わった!」という実感が、自信と喜びにつながっているからです。

英語劇やスピーチを通して育つのは、単なる言語力ではなく、“伝える力”そのものです。

「言えた!」から「伝わった!」へ

英語を学ぶ初期段階では、単語を覚えて言えるようになることが大切です。しかし発表会の練習を重ねるうちに、子どもたちは次第に「相手にどう伝えるか」を意識し始めます。
たとえば、英語劇のセリフで “I’m sorry.” を練習するとき。
最初はただの発音練習でも、表情や声のトーンを変えることで、「本当にごめんね」という気持ちが伝わることを体験します。教師が「どんな気持ちで言っているの?」と問いかけることで、子ども自身が感情を言葉に結びつけるようになります。

英語で感情を引き出す練習

練習の中では、英語で感情を表す言葉を積極的に使ってみましょう。
たとえば次のようなフレーズです。

  • I feel happy!(うれしい!)
  • I’m nervous.(ドキドキするよ。)
  • I was surprised!(びっくりした!)
  • That’s so funny!(おもしろいね!)

子どもたちは自分の気持ちを英語で言えるようになると、表現に自然なリアリティが生まれます。また、友だち同士で “I like your smile.” “Good job!” など声をかけ合うことで、英語を「人とつながることば」として体験できます。

ステージに立つことで育つ「非言語の表現力」

英語劇やスピーチでは、言葉と同じくらい大切なのが表情や動きです。ジェスチャーや目線を使うことで、英語がまだ完璧でなくても、観客に気持ちはしっかり伝わります。
子どもたちは本番を通して、「笑顔を向けると相手もうれしそうにしてくれる」「声を大きくすると届く」という体験を積みます。これこそが、“伝える力”の基礎です。

練習の工夫:英語でフィードバックする

発表練習のあとには、英語で感想を言い合う時間をつくりましょう。

  • You did great! (とてもよかったね!)
  • I liked your voice. (声が素敵だったよ。)
  • You looked confident. (自信があるように見えたよ。)

教師が日本語に頼らず英語でフィードバックすることで、子どもは「英語で気持ちを伝え合える」場面を体験します。それが自然な英語コミュニケーションの第一歩になります。

「伝わる喜び」が次の学びにつながる

発表会が終わったあと、「緊張したけど楽しかった」「英語でわかってもらえた!」という声が聞かれるとき、子どもたちは確実に成長しています。言葉は、相手と気持ちを共有できた瞬間に“生きた英語”になります。
英語の発表会は、単なる行事ではなく、子どもが自分の思いをことばにのせて伝える力を育てる大切なステージなのです。

英語劇・スピーチ練習で使える”感情を引き出す”アクティビティ集

英語劇・スピーチ練習で使える”感情を引き出す”アクティビティ集

英語をただ読むのではなく、「どう感じているか」「どう伝えたいか」を意識できるようにするための練習方法を紹介します。どれも短時間ででき、保育園や家庭でも取り入れやすい内容です。

(1)表情カードを使った“Emotion Practice”

いろいろな表情のカード(happy, sad, angry, surprised, scaredなど)を用意し、1枚ずつ見せながら英語で表情を言葉にします。

例:
Teacher: How does she feel? ( 彼女はどんな気持ち?)
Child: She feels happy! (彼女は幸せ!)
Teacher: Can you make a happy face? (幸せそうな顔を作れる?)
→ 実際に笑顔をつくりながらセリフを言う練習へ。

この活動を続けると、セリフの感情表現が自然になり、英語を「自分の気持ちで動かす」ことができるようになります。

(2)声のトーンを変えて伝える“Say It Differently”

同じセリフでも、声のトーンやスピードで印象が変わります。
例えば “I can do it!” をいろいろな感情で言ってみます。

  • Excited(わくわく):”I can do it!!!”
  • Nervous(ドキドキ):”I… can do it.”
  • Confident(自信満々):”I can do it!”

練習後、「どの言い方がいちばん伝わった?」と聞いて、子どもたち自身に気づかせると、表現力がぐっと広がります。

(3)“Feelings Journal”でふりかえりタイム

練習のあとに、簡単な英語で気持ちを記録します。絵を描くだけでも構いません。

  • Today I felt ______.
  • I was happy when ______.
  • I want to try ______ next time.

「伝えた」「できた」という実感を英語で残すことで、表現することが“特別なこと”ではなく“日常のこと”になっていきます。

(4) “Compliment Circle”でお互いを認め合う

練習の最後に円になって座り、友だちのよかったところを一言ずつ英語で伝えます。

  • I liked your smile. (私はあなたの笑顔が好きだった)
  • You spoke clearly. (あなたははっきり言った。)
  • You were brave! (あなたは勇敢でした!)

英語で気持ちを伝える場を設けることで、発表会の練習が「競争」ではなく「協力」と「共感」の時間になります。

家庭でできる“伝える英語”練習のミニアイデア

家庭で英語のゲームを取り入れる利点

発表会前後の時期に、家庭でも子どもの表現力を育てることができます。難しい教材は必要ありません。日常のやり取りの中で「気持ちを英語で言う」「相手に伝える」練習を少しずつ取り入れてみましょう。

(1)一日のふりかえりを英語で話そう

寝る前やお風呂の時間など、リラックスした場面で「今日の気持ち」を英語で表してみます。
最初は1語でもOKです。

How was your day?

今日はどうだった?

Happy!

楽しかった!

What made you happy?

何が嬉しかったの?

Playing with my friends!

友達と遊んだことだよ!

このように短いやり取りを重ねることで、英語を“自分の感情を伝える道具”として使えるようになります。

(2) “Emotion Mirror Game” ~表情まねっこ英語あそび~

親子で鏡の前に立ち、「happy」「sad」「angry」「surprised」などの英単語を言いながら、その表情を一緒にまねします。
言葉と表情を結びつけることで、英語を感覚的に理解できます。

Let’s make a happy face!

幸せそうな顔をしよう!

子(にっこり)
I’m happy!

私は幸せ!

Good! Now, angry face!

いいぞ!さあ、怒った顔だ!

ゲームのようにテンポよく行うと、英語に自然なリズムが身につきます。

(3) “Mini Speech Time” ~1日1テーマで話してみよう~

毎日一つのテーマを決めて、短いスピーチごっこをします。
たとえば、”My favorite toy”、”What I want to be”、”My best friend”など。
発表会の練習にもつながり、英語を使って“自分を語る”練習になります。

親が聴き手になって”That’s interesting!” ”Tell me more!”などと反応すると、子どもは「英語で話すって楽しい」と感じるようになります。

(4)英語で気持ちを伝える声かけを日常に

日常の中で、英語の感情表現を少しずつ添えてみましょう。

  • “Good morning! You look happy today.” (おはよう!今日は幸せそうだね)
  • “I’m proud of you.” (あなたのこと、誇りに思うよ)
  • “Don’t worry. You can do it.” (大丈夫、できるよ)
  • “Thank you for helping me.” (助けてくれてありがとう。)

親の英語が完璧でなくても構いません。子どもは「英語で気持ちを伝える場面がある」という環境から学び取ります。

まとめ

英語の発表会は、ただ英語を“正しく話す”ことを目指すのではなく、子どもが自分の感情をことばにのせて“伝える”経験を重ねる場です。
声・表情・ジェスチャー・言葉、すべてが合わさって初めて「伝わる英語」になります。
その実感が「英語って楽しい!」という気持ちを育て、次の学びへの原動力になるのです。