2歳ころから3歳にかけての子供は、身体能力が高まり、大人とのやり取りが増え、いっぱしの「小さな大人」のように成長する時期です。また同時に、「魔の2歳児」と言われるように、今まで大人の言うとおりに可愛がっていればOKでは済まなくなり、自己主張が強くなり、扱いにくくなる年齢。このころから「育児疲れ」を訴えるママさんも多く見られます。
ここでは、2~3歳児の身体的発達、情緒的発達の目安を説明し、言語のアプローチをするのに一番効果的な時期であることも踏まえ海外ではこの時期の子供にどんな対応をするのか?という情報を交えながら考えていきます。
身体的発達
歩く、走る、飛ぶなどの運動機能が発達し、体力がついてくる
このころには筋力も体力も発達してきて、動きもどんどん大胆になってきます。階段の上り下りも手を使わずにできたり、走る、飛ぶなどの激しい運動もでき、ボールや遊具を使った遊びなどにも興味が出てきます。行動範囲もぐっと広がりますので、思わぬけがや事故にあわないように十分な注意が必要です。
- 運動能力・・・sports ability, exercise capacity
- ダイナミックな動き・・・dynamic movement
- 行動範囲・・・range of actions
訳)子供は2歳ころから3歳にかけて身体能力が著しく発達します。
訳)激しい運動もできるようになり、思いがけない事故に遭ったりするので、周りの大人は彼らに注意を払わなければなりません。
排泄調節機能が発達してきて、自立のための身体能力が整う
2歳になると「そろそろおむつを外さないといけないかな?」とお悩みのママも多いと思います。トイレトレーニングを始めるのにに必要な目安として
- 一人で歩くことが出来る
- 大人の質問に答えるなどの意思の疎通ができる
- トイレに興味がある
といった条件がそろっていれば、さあ!スタートです。現代ではいろんなおむつ外し法などがうたわれていますが、大切なのはせかしたり、失敗したことを叱ったりせず、子どもの心が安定した状態で始められるように、周りの人や保育園・幼稚園の先生方と連携して、ゆったりと構えて進めていきましょう!
- トイレトレーニング・・・toilet training, potty training (potty =おまるのこと)
(トイレトレーニングが済んでいることをtoilet trained と言います) - 排泄調節機能・・・excretory control function
情緒的発達
言葉が豊富になり、自分の意志や欲求を言葉で表現できるようになる
まだ舌足らずではありますが、このころからちょっとした会話も成り立つようになってきて、コミュニケーションが楽しくなってきますね!そしていろんなことにも興味が出てきて、「これなあに?」「どうしてなの?」と質問責めになって困ったことはありませんか?これを「なぜなに期」というそうです。これは子供の好奇心や思考力が伸びる時期でもあります。即答して終わり!とか、先回りして説明をしたりすると、子どもがせっかく考えている機会を奪ってしまうことになります。「なんでだろうね?」「一緒に調べてみようか?」など、できるだけ子どもの気持ちに寄り添って、子どもの好奇心や思考力を育ててあげましょう!
- 好奇心が強い・・・curious
- 「なぜなに」のフレーズ・・・why phrases
訳)2~3歳の子供達は、「なぜなに」のフレーズ を使って質問ばかりしてきます。
訳)子供の質問に答えるのに面倒くさく感じるかもしれませんが、好奇心旺盛な年齢なので、質問させておきましょう。
訳)子供がまた質問してくるだろうと思って先回りして説明してしまうことがあります。
訳)それはよくないです。好奇心からものを考える機会を奪ってしまうから。
自我が一層強くなる
「自分でする!」「いや!」など主張し、時折、思い通りにならないとかんしゃくを起します。「魔の2歳児から第一次反抗期へ」この時期に「育児の壁にぶつかった」と悩むママをたくさん見かけます。急いでいるのに自分でやると聞かずに泣き叫ぶ…困ったな…ついつい、「ダメ!」「いい加減にしなさい!」と叱ってもっとひどく泣かれたりします。
対処法の例として、抱きしめて落ち着かせる、外の空気に触れさせる、「代わりにこれをするのはどう?」と代替案を出してみる、この際気が済むまでやらせてみる!などがありますが、みなさん運動をさせたり、粘土遊びなど集中する遊びをさせたりと工夫されているようですね。でも、のちにこの頃の育児を振り返ってみると、嵐が通り過ぎたかのように、いつの間にか落ち着いてきたりするものです。一生続くものではない!と踏まえてリラックスして乗り越えましょうね!
- 魔の2歳児・・・terrible twos
- 最悪の3歳児・・・terrible threes
- 素晴らしい4歳児・・・wonderful fours
- 自我・・・the ego
- かんしゃくを起こす・・・throw a tantrum / lose one’s temper
訳)2歳から3歳の子供達は自我が芽生えて、自分の思い通りにいかないと、かんしゃくを起こすことがあります。
訳)気が済むまでやらせたり、他のことで気をそらしたりなど子供への対処法を考えるべきです。
海外の子育て情報
- 欧米では「タイムアウト」time-outというしつけ方法があります。体罰は厳しく禁止されている国が多く、 虐待とみなされます。やり方としては、泣き叫んだり、癇癪を起している子供を部屋の隅などに連れていき、3~5分くらいそこで反省をさせます。時間がたったら大人が戻り、何が悪かったのかを話し合い、子どもが納得をして謝ったらそこで終了になります。
- 日本では他人に我が子を褒められても、「いや、家ではわがままなんですよ~」など、謙遜の言葉を言うことが多いのに対して、欧米では「ありがとうございます。そうなんです、うちの子はとても優しくていい子なんですよ!」と人前で自分の子を褒めます。褒められると子どもの自己肯定感が高まり、自信のある子に育つからです。
- 海外のドラマや映画を見てもわかると思いますが、海外では親子のスキンシップが圧倒的に多いですね。赤ちゃんだろうが、大人だろうが、嬉しいとき、悲しいとき、また日常の挨拶でも、ハグしたりほっぺにキスしたりします。研究によると、スキンシップが多い子は自分が愛されているという自信があり、情緒が安定していると言います。「もう大きいんだから」とはねのけずに、子供がいつも親が味方しているのがと確認できていると、心の余裕をもって社会に出ていけるように成長をしていきます。
訳)タイムアウトとは、子どもが不作法のあった場所から離れることです。
訳)いたずらをして楽しかった場所から子供を離れさせることで、子供はもはや楽しくなくなるので、冷静になります。
訳)でも、タイムアウトはすべての不作法に使われるわけではありませんね。
訳)おもちゃや歌で子どもの気をそらすことは、いたずら防止や阻止に役立ちます。
訳)無視したり、気をそらすことで方向転換させることができない行動には、タイムアウトのような、誤った行動を止めさせるような結果を与えなければなりません。
身近な大人や友だちとのやり取りが増え、真似をして遊ぶことを楽しむ
子ども達は「ごっこ遊び」が大好き!ママの真似をしたり、お店屋さんになってみたりと、想像力や観察力、社会性や言語能力を高める上に、とても重要な役割をしています。この時期に言語、特に英語のアプローチを積極的に行うことをお勧めします!親子にコミュニケーションとして、英語の絵本を読んであげましょう。ゆったりとした環境で、ママに抱っこされて絵本を読むことはずっと心に残ります。簡単で、テンポの良い絵本を選んであげましょう。また、2歳を過ぎたころから、スマホやPCを使った英語教材や番組を利用しましょう。このころには脳の情報処理能力が高まり、画面に集中しやすくなってきます。ただし見せっぱなしはNG!間を決めて、「一日2時間以下」が望ましいということです。
- ごっこ遊び・・・child’s play, pretend play
北欧の子育て情報
スウェーデン、ノルウェ、フィンラン、デンマークなどの北欧が「子育てをしやすい国」として常にトップランクを独占していることをご存じですか?「子供は国の宝」と唱えられ、大人全てが子供を育てるといった風潮から子育て支援がとても充実していることと、「父親の育児参加が盛ん」であるのがトップランクに入る大きな要因であると言えます。北欧は「夫婦共働きが当たり前」であり、家事や育児もきっちり分担されています。
父親が家事や育児に積極的に参加することは、母親のストレスを大きく減少させ、結果「子育てをしやすい国」となっているわけです。育児休暇を取る割合でみてみると、日本が2パーセントであるのに対し、スウェーデンはなんと80パーセントという驚きの数字が出ています。乳幼児の時期は体力も気力も消耗するものです。そこで父親が育児や家事を分担すると、母親も時間や気持ちに余裕が生まれ、子どもにイライラせずに接することが出来て、それが家庭が安定し、子どもがのびのびと成長していくことにつながるのです。
また、北欧は社会全体で子どもを育てていくという方針から、例えば電車でも「ベビーカー専用車両」があるなど、親と子供にやさしい環境があります。公共機関などで子どもが泣いたりすると、いやな顔をされる日本とは大きく違いますね。日本社会も、もっと父親の育児参加も含めて、国を挙げて子どもを育てることをしっかり考えてほしいと願います。
まとめ
- 2歳から3歳の時期は身体能力が大きく高まり、ダイナミックな動きもできるようになるが、それに伴って思いがけない事故なども発生しやすくなるので、注意が必要である。
- 言葉が急速に増えて、自分の気持ちを説明したりなどのコミュニケーションができるようになる。
- 排泄のコントロールができてくるので、一人歩きが上手になった頃を見計らってトイレトレーニングを始める。しかし、失敗を叱ったり、せかしたりせず、「おもらししても大丈夫」というくらいの心の余裕をもって取り組もう。
- 自我が強くなり、何でも自分でやりたがったり、気に入らないと癇癪を起したりする。なるだけ子どもの気持ちに寄り添って自分でさせたり、気分転換をしてあげるなどの対応を心掛ける。
- 「これなあに?」「どうして?」など質問を繰り返す「なぜなに期」に入る。根気よく子供に付き合い、好奇心や思考力を伸ばす。
- この時期の子供は言葉を習得する最適期。大人が生活や遊びを通して、言葉をたくさんかけてあげることが必要。また、アプローチを適切にすれば、バイリンガルに育てるのにもさほど苦労しないので、絵本やテレビ、スマホなどの媒体を使って英語に触れさせてみる。
- 一番必要なのは、人とのコミュニケーションである。スキンシップを心がけて、子供が「自分は愛されているんだ」という安心感から自己肯定感を高め、自信を持って社会に飛び出していけるように、親や周りの大人が導いていく。
- 母親の育児の負担が、体力的・精神的にも大きくなる時期。父親や家族と話し合い、周りがみんな育児を分担することで母親のストレスを軽減し、いつも穏やかな気持ちで接すことが、この難しい時期を乗り切り、子どもが自立する大きな手助けになる。
Terrible twos(魔の2歳児)が終わったら、Horrible threea(最低な3歳)が始まって、Woderful fours (素晴らしい4歳)が来ると言われる欧米。果たしてそうなのかわかりませんが、どの年齢も悩みはつきもの。「健康ならそれでよし!」くらいのゆったりした気持ちで育児を楽しめたらいいですね!!!