日本ではよく「ラフな服装」「ラフな雰囲気」などと、ざっくりした様子を指して「ラフ」というカタカナ英語を使いますが、これは正しい英語なのでしょうか。もしかしたら日本でしか通じない和製英語かもしれませんが、その場合どうやって言い換えれば良いのでしょう。

ということで、今回のテーマは「ラフ」です。

「ラフ」に相当する英単語は2種類存在します。この記事では、それぞれの意味やイメージについて詳しく確認していくので、読み終わるころには「ラフ」を正しく使えるようになっているはずです。

それでは、早速始めていきましょう!

「ラフ」は英語で何て言う?

「ラフ」は英語で何て言う?

日本語の「ラフ」というカタカナ語のもとになっているのは “rough” という単語です。発音記号は「rˈʌf」で、まさに「ラフ」と発音します。

rough という単語のコアイメージは「粗くてザラザラしている」状態です。ここからいろいろな意味に展開して使われるので、具体的に確認していきましょう。

rough の意味①:手触りがザラザラしている

rough の最も基本的な意味は、コアイメージそのままに、物の表面が粗くてザラザラしていることです。乾燥してザラついていたり、凹凸があったりする様子を表しています。ゴルフコースで草が生えている箇所をラフと呼ぶのはこれが由来です。

Aさん
This table is rough.
訳)このテーブルはザラザラしています。

rough の意味②:乱暴で荒っぽい

rough を人に当てはめると、性格や態度がザラザラしている様子、つまり乱暴で荒っぽいことを表します。「ラフプレー(rough play)」のイメージはここから来ています。

Aさん
He is always rough with a stranger.
訳)彼はいつも初対面の人に乱暴な態度を取ります。

rough の意味③:大まかな、おおよその

「ザラザラ=未完成」というイメージから、精査していないおおよその状態を表す際にも rough が使用されます。「ラフ案(rough idea)」や「ラフ画(rough sketch)」で使われる rough のイメージはここから来ています。

Aさん
Tell me a rough idea what time you’ll be home.
訳)ざっくりでいいから、何時くらいに帰るか教えて。

辞書などではもっと細かく分けていますが、rough のおおまかな意味はこの3種類で説明できます。どの場合も根底には「粗くてザラザラしている」というコアイメージがあることを改めて確認しておきましょう。

「ラフな服装」「ラフな雰囲気」は和製英語?

日本では気負わずリラックスできる格好を「ラフな服装」、そのような雰囲気を「ラフな雰囲気」と言いますが、これらは完全に和製英語です。日本以外では通じないので注意しましょう。

rough のコアイメージは「粗くてザラザラしている」状態です。そのため、日本人の感覚で「ラフな服装(rough clothing / rough fashion)」と言ってしまえば、「粗末でボロボロな服装」という意味になってしまいます。

Aさん
Please wear rough clothing to the party.
訳)パーティーにはボロボロの服装で来てください。
Bさん
What?
訳)何だって?

 

 

日本で「ラフな服装」と言う場合、それはカジュアルな格好という意味ですよね。そのため、日本人にとってのラフな服装のイメージを英語で表現したければ、”casual clothing”、”casual fashion” と言ってあげればOKです。「ラフな雰囲気」と言いたい場合も “casual atmosphere”、もしくは単に “casual” と言ってあげれば大丈夫です。

Aさん
That restaurant had a more casual atmosphere than I thought.
訳)思ったよりラフな雰囲気のレストランだったな。

もう1つの「ラフ」:laugh

もう1つの「ラフ」:laugh

英語には “laugh” という単語もあり、こちらも rough 同様にカタカナだと「ラフ」と表現されます。しかし、laugh と rough は意味が異なり、厳密には発音もまったく違います。ここでは laugh の意味と発音をしっかり確認しておきましょう。

laugh の意味

laugh は「(声に出して)笑う」という意味です。

笑うという意味では smile も有名ですが、smile の場合は口角だけでにっこり微笑む様子を表します。「ワハハ」と声に出して笑う様子を表現したい場合は laugh の方が適切です。

Aさん
You are always smiling, but I’ve never heard you are laughing.
訳)君はいつも微笑んでいるけど、笑い声は聞いたことがないな。
Bさん
I’m not smiling. This is my straight face.
訳)微笑んでるんじゃなくて、これでも真顔なんだよ。

laugh out loud「大笑いする」

“laugh out loud” で「(声に出して)大笑いする」という意味の熟語です。”LOL(lol)” という略語でスラング的に使用されます。

感覚としては、日本で使われる「(笑)」や「www」に近いです。英語でのメッセージのやり取りは淡泊に見えてしまいがちなので、ぜひ積極的に取り入れてみましょう。

Aさん
I bought a CD, but there was no disk in the case.
訳)CD買ったんだけど、ディスクが入ってなかったんだ。
Bさん
That’s too hard. LOL
訳)それはしんどい(笑)

“laugh at ~” は使いどころに注意!

笑いは平和の象徴ということで、laugh は基本的に良い意味で使われます。しかし、”laugh at ~” という熟語になると「~のことを笑いものにする(あざ笑う)」という意味になるので注意しましょう。

Aさん
Don’t laugh at someone.
訳)人のことを笑いものにしてはいけません。

laugh と rough の発音の違い

laugh の発音記号は「lˈæf」、一方の rough の発音記号は「rˈʌf」です。カタカナで表すとどちらも「ラフ」ですが、laugh はLの発音、rough はRの発音なので、しっかり発音を区別するように気を付けましょう。

Aさん
Boxing is a laugh sport.
訳)ボクシングは笑いのスポーツだ(「荒々しいスポーツ」と言ってるつもり)。
Bさん
It sounds funny.
訳)なにそれ面白そう。

 

まとめ

今回は、「ラフ」というカタカナ英語をテーマにお話してきました。

「ラフ」に相当する英単語は rough と laugh の2種類。それぞれに意味が異なっているので、しっかり区別して使うことが大切です。

特に「ラフな服装」という言い方は日本独自のもので、海外では通じないばかりか誤解を生みかねないので注意しましょう。

それでは、これからも楽しい英語学習を。

Let’s enjoy!!