今回のテーマは「掛ける」です。
「掛ける」という日本語は、あらためて考えると多くの意味で使用されています。この記事では、それらを貫くイメージを確認し、それぞれを英語に翻訳すると何になるのかを詳しく確認していきます。
これを読めば、「掛ける」に関連する表現について、日本語と英語の両面から詳しくなれますよ。
それでは、早速始めていきましょう!
そもそも「掛ける」ってどういう意味?
「掛ける」という日本語は「ひっかける」という意味です。そのため「『掛ける』は英語で何?」と聞かれたとしたら “hang” と答えるのが正解です。hang はハンガー(hanger)のもとになっている単語です。ハンガーの用途といえば、まさに「何かにひっかかること」ですよね。
「掛ける」=「物事の間に関係を持たせる」
何かに何かをひっかけると、その2つの間には関係性が生まれます。そこから、掛けるは「物事の間に関係を持たせる」という意味にも発展しました。
さて、そんな「掛ける」を用いる表現はたくさんありますが、その中でも特によく使われるのが以下の5種類です。
- 数を掛ける(掛け算)
- ⇒数と数の間に関係性を持たせる
- 声を掛ける
- ⇒自分と相手との間に関係性を持たせる
- 電話を掛ける
- ⇒「声を掛ける」の遠隔バージョン
- 気に掛ける
- ⇒自分の心(気持ち)と相手との間に関係性を持たせる
- 迷惑を掛ける
- 自分の行為(失態など)と相手との間に迷惑という関係性を持たせる
いずれの表現も、「掛ける」という言葉のニュアンスが上手く生きていますね。とはいえ、これらが「掛ける」という同じ言葉で繋がっているのは日本語だけの話。英語で表すとなると、それぞれにまったく異なる表現をする必要があります。
ということで、次の見出しではこれらを英語で何と言うか、詳しく確認していきましょう。
「掛ける」を含む5種類の表現 in English
「数を掛ける(掛け算)」は英語で何て言う?
「掛け算」は英語で “multiplication” と言います。読み方は「マルティプリケーション」です。いかにも数学用語っぽい単語ですね。
また、数と数を掛け合わせることを英語では “time” を用いて表します。time は「時間」という意味で有名な単語ですが、「回数」という意味もあります。掛け算とは、言い換えれば「複数回数字を重ねていくこと」です。そのため、回数を表す time がピッタリなんですね。
Five times two equals ten.
訳)5 × 2 = 10.
ちなみに、数同士を掛け合わせることは time 以外に “multiplied by” を用いて表すこともできます。しかし、これは先述の「掛け算(multiplication)」と同語源で専門的な響きのする表現です。そのため、日常的な掛け算については、やはり time を用いて表す方が自然に感じられます。
Seven multiplied by three equals twenty-one.
訳)7 × 3 = 21
「声を掛ける」は英語で何て言う?
「声を掛ける」は英語で “talk to”、または “speak to” と言います。
これらはほとんど同じ意味ですが、強いて違いを挙げるなら、talk to は「そこから会話が始まることが期待されている」、つまり知り合いに話しかけることを多く意味します。その一方、speak to は「一方的に声を掛け、会話が始まるかはわからない」、つまり知らない人に話しかけることを意味することが多いです。
とはいえ、実際はそんな区別なく混同して使われています。細かいことを気にせず、気に入った方を使えばOKです。
I’ll talk to that good-looking guy!
訳)あのイケメンに話しかけてみる!
Good luck!
訳)がんばって!
ちなみに、「声掛け」や「切り出し文句」などと名詞で表す場合は “opening line” と呼ばれることもあります。この line は「セリフ」という意味。一方がセリフを言えば相手もそれに応え、小説の行のようにセリフがどんどん増えていきますよね。opening line は、その「切っ掛け」を開くという意味なんです。
An opening line is very important to be friends with a stranger.
訳)声掛けは、知らない人と仲良くなるためにとても重要です。
「電話を掛ける」は英語で何て言う?
「電話を掛ける」は英語で “call”、あるいは “phone” と言います。
call はもともと「呼ぶ」という意味ですが、呼ぶという行為は「遠くに声を届けること」ですよね。そこから「電話を掛ける」に意味が派生していきました。
また、phone は “telephone(電話)” や “smartphone(スマートフォン)” に含まれていることからわかるように、まさに「電話」という意味。名詞のイメージが強いですが、このように動詞として「電話を掛ける」という意味で使うこともできるんです。
Call me later.
訳)後で電話して。
OK.
訳)わかった。
また、イギリスでは同様の意味で ring を使うこともあります。「電話を掛ける」というより、「電話のベルを鳴らす」というイメージですね。イギリスらしいオシャレな英語表現です。
ちなみに、ring は不規則変化動詞なので、過去形と過去分詞形には注意が必要です。
原形(現在形) | 過去形 | 過去分詞形 |
ring(リング) | rang(レング) | rung(ラング) |
「気に掛ける」は英語で何て言う?
「気に掛ける」は英語で “care about 〇〇” と言います。大切な人について気に掛けることはもちろん、物事を気に掛ける際にも使うことができます。
If we care about the earth more, it would be more beautiful planet.
訳)私たちが地球のことをもっと気に掛ければ、それはより美しい星になることでしょう。
また、もっと間近で目を離さずに気に掛けることは “keep an eye on 〇〇” と表現します。直訳すると「〇〇の上に目(視線)を保つ」となり、危険がないように常に目を離さない様子を表します。
I always keep an eye on my dogs.
訳)うちのワンちゃんたちのことをいつも気に掛けています。
「迷惑を掛ける」は英語で何て言う?
「迷惑を掛ける」という意味でよく使われるのは、“bother” と “trouble” の2つです。
“bother(バザー)” は「迷惑を掛ける」という意味の動詞でも使えますし、「迷惑な人(もの)」という意味の名詞でも使えます。一方の、”trouble(トラブル)” は主に「迷惑をかける」という意味の動詞で使います。
I’m sorry for bothering you.
訳)迷惑かけてごめんなさい。
まとめ
今回は、「掛ける」に関する表現について確認していきました。
「数を掛ける(掛け算)」「声を掛ける」「電話を掛ける」「気に掛ける」「迷惑をかける」、これらは日本語の場合はすべて「掛ける」で関連していますが、英語で表現する場合はそれぞれ異なる表現になります。
今回ご紹介したことを参考に、「掛ける」の関連表現が英語でもスムーズに表現できるようにしていきましょう。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!