「有名な人」「有名な本」「有名な曲」「有名な言葉」、世の中には「有名」が溢れています。しかし、ひとくちに有名と言っても、その理由はさまざま。どうせ広まるのなら、悪い意味でなく良い意味での有名でありたいものです。
ということで、今回のテーマは「有名」。英語で有名を表す言葉はいくつかあり、それぞれにニュアンスが異なります。この記事では、それらの違いを詳しく確認していきます。
これを読めば、英語でも人や物事の有名さを自在に表せるようになりますよ。
それでは、早速始めていきましょう!
「有名」は英語で何て言う?
「有名」という意味で最も代表的なのは、”famous” です。発音記号は「féɪməs」、カタカナだと「フェイマス」となります。中学校で習う単語なので、見覚えがある人も多いのではないでしょうか。
famous の語源は fame(名声)から来ています。名声とは「名誉ある(名)評判(声)」ということなので、famous が表すのはポジティブな有名さであることが多いです。「悪いことをして有名」「嫌われていて有名」などのネガティブな有名さを表すこともありますが、そのような場合は後に紹介する notorious を使う方がよいでしょう。
Soseki Natsume is a famous writer in Japan.
訳)夏目漱石は日本で有名な作家です。
「有名である」を表す be famous for と be famous as の違い
famous を使った熟語として、”be famous for ~(~で有名である)”、”be famous as ~(~として有名である)” がよく使われます。これらは一見意味の違いが分かりにくいですが、be famous for は「有名な代表例」、be famous as は「有名な別名」を表します。
たとえば、「北海道は海産物で有名です」という文であれば、海産物は北海道が有名である代表例なので be famous for が適切です。
Hokkaido is famous for its seafood.
訳)北海道は海産物で有名です。
その一方、「北海道は日本最大の都道府県として有名です」という文であれば、日本最大の都道府県というのは北海道の別名なので be famous as が適切です。
Hokkaido is famous as the largest prefecture in Japan.
訳)北海道は日本最大の都道府県として有名です。
もっと簡略化してしまえば、以下のように言うこともできます。
- A be famous for B. ⇒ AはBで有名だ ⇒ A≠B
- A be famous as B ⇒ AはBとして有名だ ⇒ A=B
先ほどの例で言えば、「北海道≠海産物」「北海道=日本最大の都道府県」という関係が成り立ちますね。
「有名になる」「有名になりたい」を英語で言うと?
「有名になる」と英語で言う場合は “become famous” が適切です。become は見ての通り「be + come」から生まれた言葉で、「~になる」という意味を表します。
また、「有名になりたい」と表現する場合は “want to become famous” と “want to be famous” という2通りの表現があります。want to become famous の場合は、「具体的にどう有名になりたいかが決まっている」場合、want to be famous は「漠然と有名になりたい」場合に使われることが多いです。
とはいえ、それほど厳密な使い分けが必要なわけではないので、直感的にしっくり来る方を使って大丈夫ですよ。
I want to be a famous rich!
訳)有名なお金持ちになりたい!
「最も有名な~」は1つだけとは限らない?
英語で「最も有名な~」は “the most famous ~” と表します。
日本語の感覚で「最も有名な」と言うと、「最も有名な人」「最も有名な町」などのように、その対象は1つ(1人)ですよね。しかし英語の感覚だと、最も有名なものは1つとは限らず、複数の場合も考えられます。
そのため、the most famous を使って次のような表現をすることも可能です。
Mt. Fuji is one of the most beautiful mountains in the world.
訳)富士山は世界で最も美しい山の1つです。
famous 以外の「有名」を表す表現とは?
「有名」という意味を表すのは famous の専売特許ではありません。他にも、”renowned”、”notorious”、”infamous”、”well-known” などが「有名」という意味でよく使われます。
とはいえ、それぞれの表現でニュアンスが異なるので、場面に応じて使い分けることが重要です。1つずつ詳しく確認していきましょう。
renowned
“renowned” は famous とほとんど同じ意味で使われます。発音記号は「rɪnάʊnd」、カタカナだと「リナウンド」が近いです。
renown は「繰り返し」を表す re- と「名付ける」を表す nown(≒name)が合わさった語で、「繰り返し同じ名前(称号など)が付けられる⇒名声」という意味になりました。語源を見てもやはり famous と非常に似ていますね。
先述の通り、famous は悪い意味の有名に使われることも無くはありませんが、renowned は十中八九、良い意味での有名を表します。
その結果、renowned は famous の上位互換のようなニュアンスで使われることが多く、「有名」以外だと「高名」がピッタリ来る表現です。
My cousin is a renowned doctor.
訳)私のいとこは高名な医者です。
notorious
“notorious” は「悪名高い」など、悪い意味で有名なことを表します。発音記号は「noʊtˈɔːriəs」、カタカナだと「ノトリアス」です。
notorious の語源は諸説ありますが、「気づく、知る」という note が由来という説が有力です。よく知られるから有名という流れでしょう。
言葉の中に「悪い」を意味する要素は無いので、なぜ「悪名高い」という意味になったのかは不明です。なんとも不憫な単語ですね。
My grandfather is a notorious heavy drinker.
訳)私の祖父は悪名高い大酒飲みです。
infamous
“infamous” は notorious と同じく、悪い意味で有名であることを表します。発音記号は「ínfəməs」、カタカナだと「インファマス」です。「インフェイマス」ではないので注意してください。
infamous の語頭にある in- は「否定」を意味します。そのため、素直に捉えると「有名(famous)ではない(in-)」となりそうですよね。
しかし、先述の通り famous は本来「良い意味で有名」という意味なので、infamous では「良い」だけが否定されて「良くない意味で有名」という意味になりました。
同義語である notorious に比べて、infamous は少しフォーマルな印象の表現です。
The man is an infamous liar.
訳)あの人はどうしようもない嘘つきだ。
well-known
良い意味か悪い意味かを問わず、単に有名であることを表すのが “well-known” です。発音記号は「wélnóʊn」、カタカナだと「ウェルノウン」となります。
見た目の通り、「よく(well)知られている(known)」が原義で、名声や悪名があるか否かに関わらず、結果的に広く認知されていることを表します。
ちなみに、「最も有名」という最上級の意味合いの場合は “best-known” の形も使われます。
It’s well-known that a year is made of 12 months.
訳)1年が12ヶ月で出来ていることはよく知られています。
まとめ
今回は、「有名」をテーマに確認していきました。
「有名」を表す表現で一般的なのは famous ですが、それ以外にもさまざまなニュアンスの有名を表す表現が存在します。
ひとくちに有名といっても、その理由は千差万別。今回ご紹介したことを参考に、その時々に適した有名さを表せるようにしていきましょう。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!