みなさんは、「プト」という食べ物を知っていますか?
「プト」は、フィリピンの伝統的なお菓子で、米粉からできた小さい蒸しパンのことです。
フィリピンでは、朝と昼の間と、昼と夜の間の2回、おやつを食べるのが一般的です。
毎日2回もおやつを食べるの?と驚いた方もいるでしょう。
フィリピンで日常的に食べられているおやつは、わたしたちがイメージするチョコやポテトチップのようなお菓子とはちょっと違うのです。
日本と同じくお米を主食とするフィリピンでは、お米を使ったお菓子が主流で、「プト」もお米から作られています。
今回は、フィリピン人が大好きなお菓子「プト」について、現地での食べ方と英語表現、家庭で簡単に作れるレシピを紹介します。
「プト」とは
「プト」は、米粉から作る蒸しパンで、フィリピンで昔から食べられている伝統的なお菓子です。
米粉や赤もち米などに、ココナッツミルクや砂糖を加えて混ぜた生地を、バナナの葉で巻いて蒸して作ります。
見た目は、日本の赤飯やちまきとよく似ています。
白いものが一般的ですが、なかにはピンクやグリーンなど色がついた「プト」もあります。
一口サイズの小さめのものから、カップケーキくらいサイズのものまで大きさはさまざまです。
口当たりはふんわり、もっちりとした柔らかい食感が特徴です。
ほんのりと香るココナッツとやさしい甘さが、ドーナツやチョコレートなど甘いもの全般が苦手な方でも食べやすいというのも人気の理由でしょう。
誕生日やクリスマスなどのお祝い行事に欠かせない、フィリピンでおなじみの定番お菓子として愛されています。
「プト」の種類
フィリピンのお菓子を代表する「プト」には、いろいろな種類があります。
- 最もスタンダードな白いプト
- ウベ(ベニヤマイモ)を生地に練り込んだ紫色のプト
- パンダン(タコノキ)の葉で香りと色付けした緑色のプト
- 上にチーズを乗せたプト
- 中にパームシュガーが入ったプト
- バターやココナッツミルクを加えたプト
- バニラで香りづけをしたプト
「プト」は、地域やお店によってとてもバリエーションが豊富です。
店頭に並ぶカラフルな「プト」は、まるでマカロンのような雰囲気を醸し出しています。
フィリピン流「プト」の食べ方
フィリピンの人たちが愛してやまないお菓子「プト」は、小腹が空いたときのおやつや朝食の定番です。
ローカルスナックとしても売られており、街を歩けば「プト」を見かけないことはないほど、現地では大変人気があります。
「プト」は、そのままでももちろん美味しいですが、主菜やトッピングと一緒に食べるのもおすすめです。
- ホットチョコレートドリンク「セクワテ」
- 刻んだマンゴー
- ココナッツの実を挽いたもの
- ウベ(ベニヤマイモ)のアイスクリーム
- 豚の血を酢で煮込んだシチュー「ディヌグアン」
- 焼きビーフン「パンシット」
- 塩漬けした卵「ソルテッドエッグ」
フィリピンでは、「セクワテ」というホットチョコレートドリンクに浸して食べたり、刻んだマンゴーやココナッツをかけて食べたりするのが一般的です。
もち米のお菓子と甘いトッピングの組み合わせは、日本人からするとちょっとびっくりしてしまいますが、意外と相性は良く、現地でもよく見かける食べ方です。
シチューやビーフンなどと一緒に食べると、甘さとしょっぱさの絶妙な味わいが口に広がり、より一層美味しさが引き立ちます。
「プト」は、朝食用に売られていることが多く、路上マーケットで探すなら午前中がおすすめです。
午後休憩であるメリエンダの時でも、おやつを求めて買いに来る人がいるので、屋台や売店、大衆食堂などにはたくさんの「プト」が並んでいます。
クリスマスシーズンの「プト・ブンボン」
カトリック教徒にとっては1年で最も特別なイベント、クリスマス。
フィリピンでは、クリスマスシーズンが近づく9月頃から「プト・ブンボン」というお菓子が登場します。
紫色の「プト」が、竹筒「ブンボン」に入っているお菓子なので、「プト・ブンボン」です。
もちもちの「プト」は、黒糖が味わい深く、ココナッツのシャキシャキとした食感も楽しめるクリスマスならではのお菓子です。
ちなみに、クリスマスシーズンのナイトマーケットでは、「プト・ブンボン」をはじめ、ベーシックなフライドチキン、イカやホタテなどの「シーフードグリル」のほか、アヒルの卵を茹でた珍味「バロット」や、フィリピン風の魚のマリネ「キニラウ」、揚げ卵の「クウェクウェク」、揚げ春巻きの「トゥロン」など、多種多様なストリートフードが味わえます。
「プト」は英語で”puto”
フィリピンの伝統菓子「プト」は、英語で”puto”と表現します。
puto
Philippine steamed rice cake, eaten as is or with butter and/or grated fresh coconut or as accompaniment to a number of savory dishes for breakfast (most notably, with dinuguan).
フィリピンの蒸したお餅。そのまま食べたり、バターやすりおろした新鮮なココナッツを添えて食べたり、朝食のさまざまなおいしい料理(最も有名なのはディヌグアン添え)の付け合わせとして食べたりする。参考:Weblio英和辞書
なお、英単語”puto”には、「気取ったやつ」「見せかけ」「悪ふざけ」などといった意味もあります。
“puto”はフィリピンのお菓子であることを踏まえて、食べ物や食文化などの話題以外で使う場合は注意しましょう。
“puto”の例文
訳)多くのプトのレシピでは、米粉を使います。
訳)このあたりでは、お茶と一緒にプトが出されるのが一般的です。
訳)彼はプトを3つに切って、子どもたちに1つずつ分けました。
「プト」の簡単レシピ
フィリピンの伝統的なお菓子「プト」は、朝食や小腹が空いたときのおやつにぴったりです。
ほんのりと甘くて食べやすいサイズ感の「プト」が、子どもから大人まで人気なのも頷けます。
そんな手軽で美味しい「プト」が、家で簡単に作れたら嬉しいですよね。
最後に、我が家で作っている「プト」風蒸しパンのレシピを紹介します。
市販のホットケーキミックスを使うので、粉物の調理が苦手な方でも失敗知らず、短時間で簡単に作れます。
プトのトッピングで人気のチーズ風味にすることで、ミックスのほのかな甘さとチーズのしょっぱさが相性抜群です。
材料
- ホットケーキミックス200g
- 水 150ml
- サラダ油 大さじ1
- スライスチーズ 2枚
- はちみつ 適量
作り方
- 材料を全てボウルに入れ、混ぜ合わせる
- 生地をシリコンカップに流し入れる(7分目くらいまで)
- 蒸し器で15~20分蒸す
- 楊枝を刺して、生地がついてこなければ出来上がり
ポイント
牛乳ではなく水を使うことで、「プト」のようなもっちり感が増します。
スライスチーズは、ピザ用のシュレッドチーズを代用しても美味しくできます。
甘いのがお好きな方は、はちみつを多めに足してくださいね。
蒸し立てのほかほか、アツアツが格別ですが、冷めても柔かく、もちもち感が残っているので、翌日の朝食でも美味しく食べられます。
まとめ
フィリピン人がこよなく愛する伝統菓子「プト」について、現地でのおすすめの食べ方と英語表現、家庭で簡単に作れるレシピを紹介しました。
「プト」は、お米を原料とした蒸しパンなので、軽食としてもおやつとしても満足できるお菓子です。
フィリピン人の英会話の先生も、「おいしいから食べて!」「おやつにおすすめ!」と絶賛していた「プト」。
できることなら、現地で本物を食べたいところですが、今すぐフィリピンに行けるわけでもありません。
そんなときは、お家で蒸しパンを作って、フィリピン風のおやつタイムを楽しんでいます。
フィリピンを訪れた際には、大人気の伝統菓子「プト」のやさしい甘さともっちりとした食感を存分に味わってみてはいかがでしょうか。