一年は12か月あり、英語・日本語ともに独特の月の名称があります。
今回は、英語と日本語の「月」の名称の由来について、そして、英語の月の呼び方がなぜ2か月ずれているのかについてまとめました。
英語では、元々は一年=10か月、3月からスタートだった
後に1月と2月が追加に
英語の月の由来を語る前に、まず英語月の名称は実際の月と2か月ずれている事に触れなければいけません。
英語の10月は「October」です。そしてこの由来はラテン語の「8」を表す「Octo」から来ています。つまり、元々現在の10月は8月だったのです。
なぜこんな現象が起こったかと言うと、元々現在の暦の起源ができた古代ローマ時代は、一年は12か月ではなく、10か月と考えられていました。そして、現在の3月が1月と考えられていたのですが、のちに一年は12か月となり、1月と2月が追加された為、2か月のずれが生じているのです。
この前提を踏まえて、英語の月の由来について見てみましょう。
1月 January
Januaryは、ローマ神話の出入り口と扉の神である「ヤヌス(Janus)」が由来です。一年の始まりと終わり、そして1月を司る神としても知られています。
2月 February
Februaryは、ローマ神話の月と贖罪の神「フェブルウス(Februus)」が由来です。古代ローマでは、戦争で亡くなった戦士の霊を弔うために、毎年2月に慰霊と浄化のお祭りである” Februa”を行っていました。フェブルウスはこのお祭りの主神とも見られ、お祭りの名称もフェブルウスから取られています。また、死者や霊との関りも深い事から、冥界の王であるプルートと同一視される事もあります。
3月 March
Marchはローマ神話の軍神である「マルス(Mars)」が由来です。前述の通り、元々古代ローマ時代には現在の3月が1年の始まりの月であり、新年を迎える年でしたので、各地で戦争も起きやすく、戦争を象徴する月であることから来ています。
4月 April
Aprilは、ギリシャ神話の愛と美の女神である「アフロディテ(Aphrodite)」から来ているという説と、気候も暖かくなり草木が芽吹く季節であるため、ラテン語の「開く」を意味する” aperire”から来ているという説があります。ちなみに、復活祭であるイースターも4月に行われます。
5月 May
Mayは諸説あり、ローマの名誉と尊敬の神で、軍神バルカンの奥さんでもある「マイエスタ(Maiesta)」からとする説、ギリシャの春と豊穣の女神で、全能の神ゼウスの奥さんでもある「マイア(Maia)」からとする説があります。また、マイエスタとマイアが同一神であるという説もあります。
一方で、5月は「年長者」を表す月でもあり”man, major”など年配を表す単語から来ているのではないかと言う説もあります。
6月 June
Juneは、結婚を司る最高神の女神で、全能の神ゼウスの正妻である「ユノー(Juno)」から来ている説と、5月と対の「若者」を表す月である事から、若輩者を表す単語”junior”から来ているという説があります。
7月 July
元々は7月が5番目の月だった為、「5番目」を表す“uintilis”から来た説と、ローマ皇帝の「ジュリアス・シーザーもしくはユリウス・カエサル(Jullius Caesar)」の生まれた月の為、暗殺後に彼に対する敬意と畏怖を込めてJulliusから取った、という説があります。
8月 August
元々は、6つめの月を意味する Sextilisと呼ばれていました。けれども、初代ローマ皇帝である「アウグスティヌス(Augustus)」への敬意を表すために、Augustに変更されました。
9月 September
7を意味する “septem”が由来です。
10月 October
8を意味する”octo”が由来です。
11月 November
9を意味する“novem”が由来です。
12月 December
10を意味する”decem”が由来です。
以上の事から、英語の月の由来は古代ローマやギリシャ神話の神々、皇帝の名前、ストレートに〇番目の月だから、という事が由来と分かります。
日本語の月の由来について
日本にも、1月2月と言う呼び名の他に、月の異名が付いています。この由来についても見てみましょう。
1月 睦月(むつき)
新年を迎える月である1月は、お正月に親しい人で集まって過ごす風習があります。また、仲の良い様を「仲睦まじい」と言います。お正月に親しい人で集まって過ごす「睦み月」である事が由来です。
2月 如月(きさらぎ)
本格的な冬の寒さが到来する2月は、重ね着をする月でもあります。着ている服に更に服を重ねる様である「衣更着(きぬさらぎ)」から来ているという説、中国の2月の異名である「如月(じょげつ)」から来ている説があります。
3月 弥生(やよい)
弥は「いよいよ、ますます」という意味があります。いよいよますます生きる、つまり3月に入って春が到来し、新しく草木が芽吹く季節である事を指しています。
4月 卯月(うづき)
4月は卯の花が咲く季節であるから、という説と、稲を植える月である「植月(うづき)」から、という説があります。
5月 皐月(さつき)
本来は田植えの時期であるため、「早苗月(さなえづき)」と呼ばれていました。これが「さつき」に略され、「佐月」→「皐月」になったと言われています。
6月 水無月(みなづき)
田植えが終わった田んぼに、水を入れる季節であるため「水月」から来た説と、梅雨が明けて厳しい暑さが訪れる季節の為、水が枯れる=水が無くなる月、という意味である説があります。
7月 文月(ふみつき)
7月には七夕があります。古来、七夕の日に書物を夜気に晒す風習があったため、「文の月」から来たと言う説があります。
8月 葉月(はづき)
諸説あります。旧暦では7月~9月が秋とされているので、木々の葉が落ちる季節であるため「葉月」となった説、初雁が行われる季節であるため「初来(はづき)」から来ている説、田んぼの稲に実がなる季節である「発月(はりづき)」から来ている説があります。
9月 長月(ながつき)
日が落ちるのが早まり、夜の時間が長くなるため、夜が長くなる月「夜長月」だったのが、長月と略されたと言われています。
10月 神無月(かんなづき)
旧暦の10月は、日本の八百万の神々が総本山である出雲大社に集う為、神がいない月で「神無月」と呼ばれるようになりました。
ちなみに、出雲の国では神様が集まる10月を「神有月」と呼んでいます。
11月 霜月(しもつき)
厳しい寒さの日が続き、霜の降りる日が増える「霜降月(しもふりづき)」が霜月に略された事から来ています。
12月 師走(しわす)
「師」はお坊さんや師匠、先生を表す言葉です。12月は仏事が多いので、お坊さんが忙しく走り回る月であるという説と、師匠や先生も一年の仕事を収める為に慌ただしく走り回る月であるという説があります。
日本語の月の異名は、田植えの状態や気候など、自然現象に関する事が由来となっている場合が多いです。
英語では皇帝や神々などに敬意を表し、日本語は自然そのものの状態を表すのが月の由来として多い事が分かりました。以上、比べてみると楽しい英語と日本語の月の由来についてでした。