日本語の「横」という言葉は、「横の長さ」「横に座る」「横向きにする」など、色々な意味で使われる言葉です。しかし、冷静に考えてみると、これらの「横」はすべてニュアンスが異なります。英語の場合は、それぞれどのように表現すれば良いのでしょうか。

ということで、今回のテーマは「横」です。「横」の意味を大きく4種類に分類し、それぞれを表すのに適切な英語表現について解説していきます。

これを読めば、日本語の「横」の感覚を英語でも表現できるようになりますよ。

それでは、早速始めていきましょう!

「横」は英語で何て言う?

日本語の「横」という言葉には色々な意味がありますが、大きく分けると以下の4つに分類することができます。

「横」の意味 例文
①    物の寸法を表す「横(幅)」 「この箱は横が15cmです」
②    位置関係が「横(隣、脇、傍など)」 「男性の横に女性が座っています」
③    身体などを「横にする(寝る、寝かせる)」 「疲れたから早く横になりたいです」
④    物を「横向き(水平)にする」 「カメラを横向きにしてください」

英語の場合、これら4種類を包括するような表現は存在しません。そのため、それぞれの場合で異なる英語表現を使う必要があります。

それでは、以下の見出しから、4つの意味を表す表現を詳しく確認していきましょう。

物の寸法を表す「横(幅)」in English

物の寸法を表す「横(幅)」in English

「縦・横・高さ」といった物の寸法の「横」に相当する英語は “width(ウィズ)” です。ちなみに、「縦」は “length(レングス)”、「高さ」は “height(ハイト)”と言います。

width は wide(幅が広い)と同語源の単語です。そのため、「横」というより「幅」の方がイメージとしては近いです。

英語の「縦・横」は長さで決まる

日本語の場合、正面から見て垂直な部分を「縦」、水平な部分を「横」と表すことが多いですが、英語の場合は長い方を length、短い方を width と表現します。

そのため、縦と横の長さの比によっては、width が「縦」の意味になることもあるので注意しましょう。

「奥行き」は縦?横?英語のサイズ表記の仕方

寸法を表記する際、”depth(デプス)” が使われることもあります。depth は deep の名詞形なので「深さ」、つまり「奥行き」を表します。

寸法で depth が使われる場合、前述の length の代わりに使われます。そのため、英語での寸法表記は以下の2種類のいずれかということになります。

  • L・W・H(length、width、height):長さ・横幅・高さ
  • W・D・H:(width、depth、height):横幅・奥行き・高さ

どちらのサイズ表記方法を使うかは業界によって異なりますが、家具などはWDH、段ボールなどの箱はLWHでサイズ表記することが多いようです。

位置関係が「横(隣、脇、傍など)」in English

位置関係が「横(隣、脇、傍など)」in English

「AがBの横にある(いる)」といった位置関係を表す場合は、”next to”、”side”、”by” を使って表します。それぞれのニュアンスの違いを確認しておきましょう。

「位置関係が横」①:next to

人や物が隣り合っている状態は “next to” で表現します。next(ネクスト)は「次」という意味で有名ですが、隣というのは「Aの次がB」と捉えることができますよね。

“A is next to B” の形で「AがBの隣(横)にある、いる」という決まり文句です。人が隣り合っている様子から、建物などの位置関係まで幅広く表現できます。

Aさん
A good-looking guy was sitting next to me.
訳)私の隣にイケメンが座ってました。
Aさん
There is a library next to the post office.
訳)郵便局の隣に図書館があります。

「位置関係が横」②:side

何かの側面にある状態は “side(サイド)” を使って表します。たとえば、側面を合わせてどんどん置いていく「横並び」は “side by side”、「あなたの側」なら “your side” となります。

Aさん
Please get in line side by side.
訳)横並びに並んでください。

また、side の関連表現に “beside” と “aside” があります。

beside は “be side(傍にいる、傍にある)” が原義なので、イメージは side とほぼ変わりません。side が名詞だったのに対して、beside は主に前置詞として使われます。

Aさん
Please put the shelf beside the desk.
訳)その棚は机の横に置いてください。

一方、aside の a- は away などと同じく「離れた」という意味。そのため、aside は「離れた場所(脇)」を表します。

Aさん
Please put the box aside.
訳)その箱は脇に置いといてください。

「位置関係が横」③:by

“by(バイ)” は「すぐ傍にある」ことを意味する前置詞です。next to や side とほとんど同じイメージで使うことができます。実際、先ほどご紹介した「横並び」を表す “side by side” は side と by の合わせ技です。

Aさん
Do you know the man standing by the window?
訳)窓の横に立っている男性を知っていますか?

なお、by は「~を使って」「~までに」「~ごとに」など、さまざまな意味に使われる多義語です。「横(傍)」は by の表す意味のほんの一部であることを忘れないようにしましょう。

Aさん
I usually go to school by bus.
訳)たいていはバスを使って学校に行きます。

身体などを「横にする(寝る、寝かせる)」in English

身体などを「横にする(寝る、寝かせる)」in English

身体などを「横」にする意味では “lie(ライ)” と “lay(レイ)” が使われます。これらは非常に似た意味の表現ですが、lie が自動詞、lay が他動詞という違いがあります。それぞれ詳しく確認していきましょう。

lie =自分が横になる(自動詞)

lie は「自動詞(主語が~する)」なので、自分自身が横になることを表します。

基本的には人や動物などが自分の意志で横になる状態を表しますが、物が横になっている(置いてある)状態を表すこともあります。

lie は不規則変化をする動詞で、過去形や過去分詞形などが以下のように変化します。

原形 過去形 過去分詞形 ing形
lie(ライ) lay(レイ) lain(レイン) lying(ライング)

特に過去形 “lay” は、この後紹介する他動詞 lay の原形と同じ形です。ややこしいですが、現在なのか過去なのかによって使い分けましょう。とはいえ、ネイティブでも結構間違えることが多いようなので、それほど神経質にならなくてもOKです。

Aさん
If you lie on this mattress once a day for a month, the pains on your back will fade out.
訳)このマットレスに1日1回横になることを1ヶ月続けると、背中の痛みが無くなりますよ。

lay =何かを横にする(他動詞)

lay は「他動詞(何かを~する)」なので、自分以外の人や物を横にすることを表します。

lay は lie と違って、過去形や過去分詞形が規則的に変化します。lay 単体で考えれば楽ですが、lie と絡むとややこしくなるので、徐々に慣れていきましょう。

原形 過去形 過去分詞形 ing形
lay(レイ) laid(レイド) laid(レイド) laying(レイング)

実際の使用シーンでは、「横にする」というより「置く」に近いニュアンスで使われがちです。そのため、「lay≒put」くらいに考えてしまって大丈夫です。

Aさん
I laid a set of golf clubs in my car.
訳)車にゴルフセットを置きました(横にしました)。

物を「横向き(水平)にする」in English

物を「横向き(水平)にする」in English

物の向きを表す際、横向きは “horizontal” と表します。読み方は「ホリゾンタル」です。

horizontal は「地平線、水平線」を表す “horizon(ホライズン)” の派生語なので、文字通り「水平」な様子を表します。ちなみに、反対の「縦向き(垂直)」は “vertical(ヴァーティカル)” と言います。

horizontal は若干専門的な響きの言葉なので、日常生活ではあまり使われません。強いて言うと、写真を撮る際に使われることが多いです。

Aさん
Which do you like, horizontal angle or vertical angle?
訳)横向きと縦向き、どっちのアングルが良いですか。

また、「横向きに」という意味で副詞として使いたい場合は、-ly を加えた “horizontally” という表現もあります。

Aさん
Please take the photo horizontally.
訳)横向きに撮ってください。

landscape = 横向きの写真

横向きの写真を表す表現には “landscape(ランドスケープ)” もあります。

これはもともと「風景、景色」という意味。なぜ横向きの写真を表すかは、風景写真を撮るときのスマホの向きを想像してもらうとわかります。

ちなみに、人の写真は縦向きで撮ることが多いですよね。そのため、縦向き写真は「(人物の)肖像」を意味する “portrait(ポートレイト)” が使われます。

「horizontal ≒ landscape、vertically ≒ portrait」と覚えておきましょう。

Aさん
Can you take the next picture in landscape?
訳)次の写真は横向きで撮ってもらえる?

まとめ

今回は「横」というテーマでお話ししてきました。

日本語の「横」は幅広い意味を表すので、英語で表す際は意味や状況に応じて適する表現を選ぶ必要があります。

今回ご紹介したことを参考に、英語でも色々な「横」を的確に表現していきましょう。

それでは、これからも楽しい英語学習を。

Let’s enjoy!!