「英語で何て言う?」コーナー、今回は結婚式や卒業式などの「式」についてです。
儀式や式典を意味する”ceremony”や”rite”の「式」以外にも、数学などで習う数式を意味する”formula”や”equation”も日本語の「式」で表現されます。
今回は、結婚式や卒業式の方の儀式としての「式」に関する単語について解説します。

”ceremony”に関する英単語

ceremony

まずは、一般的な儀礼の「式」に関する英単語を紹介します。
一般的な儀礼の「式」は英語で言うと”a ceremony”で、複数形は”ceremonies”です。
日常会話でも使う”MC”は、”master of ceremony”の省略で、「司会者」という意味です。そのほか”ceremony” という名詞は「式」を意味するだけではなく、「形式ばること」という意味としても使われます。使い方は後の章で解説します。
また、”ceremony”に関する単語として、形容詞の”ceremonial”を用いて以下のようなものがあります。

ceremonialを使った例

ceremonial occasions 冠婚葬祭
a ceremonial visit 公式訪問
a ceremonial costume 式服
ceremonial objects 祭具
ceremonial cutting of the ribbon 儀式的なテープカット
in a ceremonial way 正式に

冠婚葬祭の「冠」は成人式、「婚」は結婚式、「葬」は葬式、「祭」は法事やお盆など先祖の霊をまつること全般を指します。冠婚葬祭には複数の式が含まれているため、複数形で表現されます。

Aさん
The ceremonial cutting of the ribbon inaugurated the grand opening of the new museum.
儀式的なテープカットは、新美術館のグランドオープンを祝うものだった。

”ceremony”より格式ばった「式」の英単語 ”rite”

儀式には “ceremony”以外にも、さらに格式ばった “rite”が使われることもあります。
“ceremony”は結婚式や成人式のように、公式的に(基本的には人生に一度だけ)行われる場合に使われ、儀式に伴う華やかさや荘厳さが含まれます。
“rite”は “ceremony”よりも形式ばった言い方をするときに使われ、「宗教上のあるいは厳粛な儀式」というニュアンスが強調されます。”rite”が使われる単語には以下のようなものがあります。

riteを使った例

witchcraft rites 魔女の儀式
the rite of baptism 洗礼式
the rite of passage 通過儀式(婚礼や葬式のことを比喩的に行ったもの)
the last rites (キリスト教の)臨終の儀式

なお、結婚式や葬式等は “ceremony” と “rite” の両方が状況に応じて用いられます。

”ceremony”より格式ばった「式」の英単語 “ritual”

“ritual”も”ceremony”より格式ばった「式」を表す英単語で、「儀式」という意味になります。

”ritual”がどんなふうに使われるのか、具体例を見ていきましょう。

ritualを使った例

  • meditation ritual: 「瞑想の儀式」
  • bedtime ritual:「ベッドタイムの儀式」
  • gratitude ritual:「感謝の儀式」
  • personal growth ritual: 「個人的な成長の儀式」
  • seasonal ritual:「季節の儀式」
  • creative ritual:「クリエイティブな儀式」
  • cleansing ritual:「浄化の儀式」

上記の例を見て気づくように、”ritual”には「宗教上の儀式」のニュアンスはなくて、routine(ルーティン)のような意味合いで使われています。

Aさん
What’s your bedtime ritual?
あなたのベッドタイムの儀式は何?
Bさん
My bedtime ritual is reading a bedtime story before turning off the lights.
訳)僕のベッドタイムの儀式は、電気を消す前にベッドタイムストーリーを読むことだよ。
Aさん
Sounds nice.
すてきだね。

”ceremony”の同意語 ― “commemoration”

“commemoration”は「記念式典」の意味で使われます。

“ceremony”が「記念式典」の意味で使われていれば、”ceremony”を”commemoration”に置き換えることができます。

また、”ceremony”の動詞の形はないですが、”commemoration”には、”commemorate”「記念する」という動詞があります。

“commemorate”「記念する」と”commemorate”「記念式典」の両方を1つの英文の中で使うのは、不自然な印象を与えるので、”commemorate”「記念する」を使ったら、記念式典には “ceremony”を使った方が、自然な英文になります。

Aさん
A ceremony was held to commemorate the 100th anniversary of the company.

その会社の創立100周年を記念するために、記念式典が行われた。

Bさん
It’s amazing that the company has survived for 100 years since its founding.
訳)その会社が、創業以来100年も存続しているって驚異的だね。

様々な種類の「式」

ceremony

つづいて、この章では、様々な種類の「式」を紹介します。

ceremonyを使った例

an entrance ceremony 入学式
an opening ceremony 開会式、始業式
a closing ceremony 閉会式
a graduation ceremony
(単にgraduationともいう)
卒業式
a wedding ceremony 結婚式
a civil ceremony 民事婚、届け出結婚(宗教的儀式によらない結婚)
a funeral ceremony 葬式
an awards ceremony 授賞式
coming-of-age ceremony 成人式
an inauguration ceremony 就任式
a religious ceremony 宗教の儀式
tea ceremony 茶の湯、茶道

「茶道」は、”sado”と呼ばれることもありますが、茶道の動作を一つの儀礼・儀式としてとらえ、”tea ceremony”という表現が最も近いとして一般的に用いられています。ちなみに、「剣道」や「柔道」は「茶道」と同様に日本発祥のものであるため、そのまま”kendo” ”judo”と表記される事が多いです。

“wedding ceremony”の種類を英語で表現

"wedding ceremony"の種類を英語で表現

結婚式の挙式スタイルには、いくつかの種類がありますが、その挙式スタイルを英語で何と言うのか、それぞれの特徴について見ていきましょう。

教会式

「教会式」は、英語で ”church wedding ceremony”といいます。

カトリックやプロテスタントなど様々な宗教の挙式スタイルがあるでしょうから、”religious ceremony”ともいえます。

神前式

「神前式」は、英語で”Shinto wedding ceremony”といいます。

「神道」Shintoとは、日本古来の土着の信仰です。

仏前式

「仏前式」は、英語で”Buddhist wedding ceremony”といいます。

仏教徒は英語で ”Buddhist”ですから、仏教徒の結婚式という意味ですね。

民事式

「民事式」は、英語で “civil wedding ceremony”といいます。

アメリカやイギリスでは、非宗教的な法的結婚儀式のことを意味し、市役所などで執り行われます。

Aさん
What kind of wedding ceremony do you want to have in the future?
将来 どんな結婚式を挙げたい?
Bさん
Hmmm. I’m not sure, but I want to have a church wedding ceremony.
訳)うーん。確かじゃないけど、教会式の結婚式を挙げたいな。

 

”ceremony”に関わる基本表現

様々な種類の「式」

この章では、名詞の “ceremony”の基本的な表現について解説します。

“ceremony”を使った基本表現

まず、”ceremony”(式)を使った例文を紹介します。

hold [perform] a ceremony 式を行う
attend [be present at] a ceremony 式に出席する
a ceremony takes place 式典が行われる

式を実施するなどの場合は ”hold”(《会・パーティーなど》 を開く、催す)や “perform”(《仕事など》を行う、《任務など》を成し遂げる、果たす)を使います。
“hold”には他にも、「~を手に持つ、つかむ、にぎる、抱える」「~を抑えておく、支える、~を(ある状態に)保つ、しておく」「(財産など)を持っている、所有している」「(容器などが)~を入れることができる、(人員など)を収容する」など様々な意味を持っていますので、おさえておきましょう。
また、”take place”は「(事件などが)起こる、(行事などが)行われる」という意味の熟語です。なお、地震などの自然現象には用いないのが注意ポイントです。
次に、より具体的な表現方法を例文で紹介します。

例文

Aさん
The opening ceremony of the Tokyo Olympic Games was held on October 10, 1964.
東京オリンピックの開会式は1964年10月10日に行われた。

Aさん
What should I wear for the entrance ceremony?
入学式には何を着ていけばいいの?

Aさん
The wedding ceremony is to take place in June.
結婚式は6月に行われる予定である。

“take place” は “the wedding ceremony” を主語としてとっているため、英文は能動態ですが日本語訳では受動態で「行われる」と訳す方が自然です。また、期間にある程度の長さがあるため、”on June」ではなく “in June”です。

“ceremony”(形式ばること)の使い方

「形式ばること」という意味の “ceremony” の使い方を紹介します。ここでの “ceremony”は不可算名詞です。
“with ceremony” 「かしこまって」という意味になります。これを使うと、”I received a letter of appreciation with ceremony from the Metropolitan Police Department.”は「私は警視庁から感謝状を丁重に受け取った。」です。

逆に “without ceremony” 「遠慮なしに、くつろいで」という意味です。
また、”Please don’t stand on ceremony.”は「(堅苦しい挨拶は抜きにして)どうぞ気楽にしてください。」です。ここで “stand on~”「~態度をとる」という意味を持つことにも着目すると、文字通り「遠慮がちな態度で立っていないで」と「ずっと形式ばった態度をとり続ける必要はない」の両方に訳されることがわかります。

”ceremony”には「式」という意味以外に、「形式ばること」=”formality”という意味があります。

Aさん
Lack of ceremony caused the conference to break up in chaos.

フォーマルさを欠いたため、その会議は大混乱に陥った。

この文で、”ceremony” は “formality”に置き換えても、同じ意味を表すことになります。

まとめ

今回は結婚式や卒業式などの「式」に関する英単語や英語表現を紹介しました。
“ceremony”には可算名詞としてだけではなく、不可算名詞としての意味も持つことがわかりましたね。「式」に関する表現は人生の節目等で使用される重要なものですので、ぜひ覚えて使ってみてくださいね。
では、次回をお楽しみに!

参照:アンカー 大人のための英語学習辞典 2016年12年20日初版第1刷発行(株式会社学研プラス)