「遺伝」という言葉は、学校の授業をはじめ、さまざまな研究分野において使用されることがあります。また、「病気が遺伝する」といったように、日常会話でも使うことがあるでしょう。
そこで、今回は、「遺伝」は英語でどのように表現するのかに加え、「遺伝」にまつわる英語や例後例文を紹介します。ぜひ英語学習の参考にしてください。
「遺伝」という言葉はどのようなシーンで使う?
「遺伝」という言葉は、日常生活や科学など幅広い分野で使われています。一般的には、生物学において遺伝子を通じて親から子へと受け継がれる形質や特徴、疾患などが「遺伝する」といったように、生物学や医学などの化学領域において使われることが多いです。
また、日常生活においては、親子間の遺伝に関する話題が出ることもあるでしょう。たとえば、「父母の身長や体型、目や髪の色などがこどもに遺伝する」など、科学的な領域であるものの、難しい言葉を使用せずに、より身近なシーンで「遺伝」という言葉を使うことも少なくありません。
「遺伝」という言葉は、科学的な概念としてだけでなく、日常会話でも使われる幅広い言葉だということです。とはいえ、あまりなじみのない言葉なので、どうやって英語で表現するのか、わからない方も多いでしょう。
「遺伝」は英語でなんて言うの?
「遺伝」は、英語で”genetics”や”heredity”といいます。
“genetics”は生物学的に、人間や動物の遺伝的な特徴を説明するときに使用することが多いです。一方、”heredity”は遺伝子の形で受け継がれる外見や性格の特徴を表し、”genetics”よりも一般的な言葉として使用されるでしょう。
たとえば、「私たち家族は、全員、くせ毛が遺伝しています。」と言いたい場合は、”My family has a genetic predisposition to curly hair”と表現することができます。
また、「彼女には両親と同じ顔の特徴がある。」と言いたい場合は、”She inherited her facial features from her parents”と表現できます。
このように、”genetics”や”heredity”といった英語表現を用いることで、「遺伝」を使った自然な英語を話せるようになるでしょう。
「遺伝する」を英語で何と言う?
「遺伝」という名詞を英語で何と言うかについては、紹介しましたが、「遺伝する」という動詞は、英語で “inherit”, “pass on”, “hand down to”, ”transmit”となります。
「遺伝する」=「受け継ぐ」となるので、上記に挙げた動詞が「…が受け継がれる」という受動態にして使われることもあります。
「遺伝する」という動詞を使った例文をチェックしてみましょう。
Genetic disorders can be inherited from one’s parents.
訳)遺伝性疾患は両親から遺伝し得る。
The genetic disorder was passed on from one generation to the next.
訳)その遺伝子疾患はある世代から次の世代へと受け継がれた。
Genetic traits such as eye color can be handed down to offspring.
訳)目の色などの遺伝的特質は子孫に遺伝し得る。
Genetic information can be transmitted from parents to offspring.
訳)遺伝情報は親から子へと受け継がれる。
Genetic mutations can be transmitted from one generation to the next.
訳)遺伝子の突然変異は1つの世代から次の世代へ伝えられる。
「遺伝の」という形容詞は何と言う?
「遺伝の」という形容詞は、”genetic” または “inherited” となります。
「遺伝の」という形容詞を使ったフレーズをチェックしてみましょう。
- genetic variation 「遺伝子変異」
- genetic mutation 「遺伝子突然変異」
- genetic disorder 「遺伝的疾患」
- genetic engineering 「遺伝子工学、遺伝子操作」
- genetic modification 「遺伝子組み換え」
- dominantly inherited characteristics 「優勢遺伝の特徴」
- recessively inherited characteristics 「劣性遺伝の特徴」
ちなみに、「遺伝子組み換え食品」は ”genetically modified food”といいます。「遺伝子的に組み換えられた」なので、”genetically modified” となっていますね。
優性遺伝と劣性遺伝
ヒトの体には約30〜60兆個の細胞があり、遺伝子は約23,000種類あると言われています。
細胞それぞれに46本ずつ染色体が入っていて、お父さんからもらった23本と、お母さんからもらった23本から構成されています。46本中の2本は、性別を決める染色体(XとY)です。
女性はX染色体を2本持っています。男性はX染色体とY染色体をそれぞれ1本ずつ持っています。
このように、私たちが親からもらった遺伝子はペアになっていますが、その遺伝子の一方が特徴が出やすい遺伝子(優性)があり、その遺伝子に何らかの変化(遺伝子変異といいます)があれば症状が出ます。その遺伝子が変異していると通常と違ったタンパク質が作られるためです。
遺伝の仕方は、大きく分けて「優性遺伝」と「劣性遺伝」の2つがあります。優性と劣性は遺伝子の優劣をつける表現ではなく、表現型(症状や体質など)に出やすいか出にくいかの違いを指しています。出やすければ「優性」、出にくければ「劣性」という意味です。
優性遺伝:dominant inheritance
劣性遺伝:recessive inheritance
「優性遺伝」と「劣性遺伝」について、「優劣」という語感を伴いやすいこともあり、古くから、誤解や偏見を招きやすいという議論がされてきたため、日本医学会は、「顕性遺伝(優性遺伝)」「潜性遺伝(劣性遺伝)」と表記することを提言しています。
I’m female, so I have two X chromosomes. You are male, so you have one X chromosome and one Y chromosome.
訳)私は女性だから、X染色体を2本持ってるわ。あなたは男性だから、X染色体とY染色体を1本ずつ持ってるわね。
What are you talking about?
訳)何の話をしているの?
I’m talking about X chromosomes and Y chromosomes that determine gender.
訳)性別を決定するX染色体とY染色体について話してるの。
「遺伝」にまつわる英語を紹介
ここでは、「遺伝」にまつわる英語を見ていきましょう。
「遺伝」は、”genetics”や “heredity” のほか、 “inheritance” を使うことがあります。また、ほかの英語と組み合わせて使用することで、さまざまな表現に変えることが可能です。
たとえば、遺伝的な病気を言い表す場合は、”genetic disorder” や “hereditary disease” を使えば、しっかり相手に伝わるでしょう。また、遺伝的な特徴を表現する場合は、”inheritable trait” や “genetic characteristic” と表現します。
遺伝に関する英語表現にはさまざまなものがあり、それぞれひとつずつ覚えるのは難しいでしょう。ただ、いずれの表現も、”genetic”や”heredity”といった単語と組み合わせて成立しています。そのため、少なくとも”genetic”や”heredity”を覚えておけば、日常生活では問題ないでしょう。
ただし、遺伝や遺伝子に関連する問題の勉強や研究をする場合や、遺伝学や生物学に興味がある場合には、適切な表現をしっかりと覚えておくことをおすすめします。
【遺伝にまつわる英語】
- genetic disorder:遺伝性障害
- inheritable trait:遺伝する特性
- genetic code:遺伝情報
- genetic predisposition:遺伝的要因
- genetic susceptibility:遺伝的感受性
- genetic material:遺伝物質
- genetic phenomenon:遺伝現象
- genetic modification technology:遺伝子組み換え技術
- genetic engineering:遺伝子工学
- genetic sequence:遺伝子配列
「遺伝」を使った英語例文集をマスターしよう!
ここでは、「遺伝」を使った実際に使える英語例文集を見ていきましょう。
【英語例文集】
- The laws of heredity were first discovered by Mendel’s experiments.
「遺伝の法則は、メンデルの実験で初めて発見されました。」 - Recently, more treatment methods based on genetics have been developed.
「遺伝学に基づく治療法が、近年増えてきています。」 - What kind of genetic information does COVID-19 have?
「COVID-19はどのような遺伝子情報を持っているのか?」 - I found that heredity is the cause of cancer.
「遺伝ががんの発生原因であることが分かりました」 - My grandfather had red hair. It’s a genetic trait in our family.
「私の祖父は赤髪でした。それは家族の遺伝的な特徴なのです。」 - I read a book on genetics.
「遺伝に関する本を読んだ。」
また、「genetic disorder(遺伝性疾患)」、「genetic engineering(遺伝子工学)」、「genetic mutation(遺伝的変異)」などの表現も知っておくといいでしょう。
「遺伝」のような難しい英語も知っておいたほうがいい?
「遺伝」などの難しい英語も、英会話のスキルを上げるためには、知っておいたほうがいいでしょう。英語が上達するにつれ、求められるボキャブラリーの量が増えるだけでなく、適切な単語が選べているかもポイントになります。
「遺伝」という言葉はアカデミックなイメージがありますが、実際は日常会話においても使用するシーンはあります。そのため、どのようなタイミングでも英会話ができるように、「遺伝」のような難しい言葉も知っておいたほうがいいでしょう。
また、難しい言葉も知っておくことで、TOEICや英検、ビジネスシーンなどにも役に立つことがあります。英語のスキルアップを目指すためにも、どんどん吸収していくことが大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は「遺伝は英語でなんて言うの?」をテーマに「遺伝」を使うシーンや英語表現を紹介しました。さらに、実際に使える英語例文に加え、「遺伝」にまつわるさまざまな英語も見てきました。「優性遺伝」と「劣性遺伝」についても軽く説明しました。その表現をこれから耳にする機会があるかもしれません。
「遺伝」は生物学や医学など、科学的領域で使わることが多い言葉です。そのため、あまりなじみがない方も多いでしょう。
しかし、「くせ毛が遺伝した」など、日常会話で使用することも少なくありません。よりレベルの高い英会話を楽しむために、難しい英語もどんどん覚えていきましょう。
「遺伝」は、あまりなじみのない言葉ですが、ぜひこの機会に覚えてみてはいかがでしょうか。
Let’s study English!!