多民族国家であるマレーシアは、東南アジア特有の温暖な気候とのんびりした雰囲気があるというイメージを持っている方も多いでしょう。
マレーシアは日本からの移住先や転職先、留学先として人気が高まっていますが、「マレーシアって英語が通じるの?」と疑問に感じるのではないでしょうか。
そこで今回は、マレーシアでどのくらい英語が通じるのか解説します。また、マレーシアの英語は「マングリッシュ」と呼ばれ、特有の表現をすることでも有名であるため、マングリッシュの特徴なども紹介します。
マレーシアってどんな国?
マレーシアは、多民族国家であり、南東アジアに位置する国の一つです。
まずはマレーシアの地理的な特徴や文化、経済など、国の特徴を見ていきましょう。
地理的特徴
マレーシアは、マレー半島とボルネオ島の一部から成り立っており総面積は約33万平方キロメートルで、130の都市と町が点在しています。
首都はクアラルンプールで、近代的な高層ビルと伝統的なマレーの村が入り混じる独特の雰囲気があります。国土は熱帯雨林が広がっており、多様性豊かな生態系があることから、自然愛好家からも人気の場所です。
人々と文化
マレーシアの人口は約3,300万人(2023年現在)で、マレー系(約6割)・中国系(約3割)・インド系(約1割)、先住民族などで構成される民族がいる多民族国家です。それぞれの民族が持つ独自の文化が融合し、マレーシア独特の文化を生み出しています。公用語はマレー語で、宗教はイスラム教が最も広く信仰されています。
また、マレーシア料理もさまざまな民族が暮らしている影響を受けており、マレー料理、中華料理、インド料理などが融合した一品を楽しめます。
マレーシアは親日国
マレーシアは、かつての首相マハティールが長い期間にわたって「ルックイースト政策(東方政策)」を推進し、「日本を模範とした国づくり」を行っていたことから、日本に対して友好的な国であることも特徴です。
さらに、日本製の商品や日本食が好きなマレーシア人が多く、マレーシアのショッピングモールを訪れると、イオン、伊勢丹、ユニクロ、ダイソー、無印良品、吉野家、はなまるうどん、一風堂といった日本企業の店舗やレストランが数多く見受けられます。
とくにイオンは30年以上前にマレーシアに進出し、現在では50店舗以上を運営し、主要なスーパーマーケットとして地元に広く浸透しています。
マレーシアで英語は通じる?
マレーシアに魅力を感じて、移住や転職、留学を検討している方の中には、「英語が通じるのか?」が気になっている方も多いでしょう。
ここでは、マレーシアで英語が通じるのかについて解説します。
マレーシアで話されている言語は何?
マレーシアでは公用語としてマレー語が用いられますが、多様な民族が共存する国の性質から、中国系住民は中国語を、インド系住民はタミール語をそれぞれ日常的に使用します。
また、かつてイギリスに統治されており、1967年まで英語が公用語だった歴史的背景があるため、異なる民族で会話するときの共通語として英語が用いられています。
現在では英語が準公用語(共通言語)として広く使用されており、マレーシア人に英語で話しかけると流ちょうな英語で返事をもらえることも珍しくありません。
マレーシアではどのくらい英語が通じる?
多くのマレーシア人が英語を話すことができるとはいえ、具体的にどのくらいの人々が英語を話すことができるのでしょうか。ここで、具体的なマレーシアの英語力を見てみましょう。
「EF 英語能力指数 〔EF EPI〕」という英語力を測る指標によると、英語を母国語としない60カ国の英語力ランキングにおいて、マレーシアはアジアの中で1位を獲得し、全体では11位という結果が出ました。
EF 英語能力指数の指標によると、上位5カ国はヨーロッパの国々が占めているものの、アジア圏ではインド、シンガポール、スリランカ、台湾、中国をしのいでマレーシアが1位となっています。ただし、この調査にはフィリピンが含まれていないため、英語力の高いフィリピンも含めると、アジア圏で1位とは言い切れない可能性があります。ただ、少なくともマレーシアの英語力がアジアトップクラスであることは間違いありません。
マレーシアで英語が通じる日常生活のシーン
マレーシアでは英語が通じやすいことがわかりましたが、必ずしも現地にあるすべての場所で英語が通じるわけではありません。ここでは、実際に生活するシーンを想定し、英語が使えるのか解説します。
【買い物に行く場合】
マレーシアには多くのスーパーやデパート、ショッピングセンターがあり、ほとんどの場所で英語が通じます。また、品物表記がマレーシア語や中国語の場合でも、大抵の場合は英語表記もあるため、買い物で困ることは少ないでしょう。
【食事をする場合】
マレーシアにはレストランやフードコート、屋台まで、さまざまな食事スポットが存在し、日本よりも安く食事できる場所がたくさんあります。基本的に、飲食店でも英語が通じますが、ローカルエリアの郊外のお店では、マレーシア語や中国語などの地元の言語しか通じないこともあります。
ただし、そのような場合でも、メニューを指差しするなどして注文することは可能です。
【病院を利用する場合】
病院を利用する場合、国公立病院、私立総合病院、クリニックなどの選択肢があります。国公立病院は主にマレーシア語しか通じません。そのため、風邪など軽度の症状であれば、英語が通じるクリニックを利用するとよいでしょう。
このように、マレーシアでは場所を選べば英語が通じなくて困るというシーンは比較的少ないといえるでしょう。観光地でも基本的に英語が使えるため、旅行も安心できます。
マングリッシュとは
世界人口のうち、約25%(17.5億人)が英語を話せますが、そのうちネイティブスピーカーはたったの3.9億人です。つまり、英語を母国語としない人々が圧倒的に多く、母国語が英語でない方は、英語に特有の訛りや癖が出ることも少なくありません。
日本語でも「カタカナ英語」と表現される通り、英語の読み書きができても、ネイティブスピーカーとは発音が違う方も多いですよね。
マレーシアも同様に、母国語が英語でないこともあり、特有の訛りや独特の特徴があることから、マレーシアで話される英語は「マングリッシュ」と呼ばれています。
マングリッシュの特徴
マレーシア英語、つまりマングリッシュは発音や表現に独特の特徴があります。
【語尾】
語尾に「lah」をつけることが多く、「OK, lah!」や「No problem, lah!」などと言います。「lah」は強調の意味を持ちます。
【表現】
マレーシア英語は英語とマレー語が混ざり合った表現がよく見られます。
たとえば、「食べる」はマレー語で「makan」と言い、これを英語にミックスして、「Let’s go makan!=ご飯食べに行こうよ!」と表現することがあります。
では、挨拶を例に、英語とマングリッシュを比較してみましょう。
・英語
Hey, how’s your day?Yeah, I’m fine.”
・マングリッシュ
Eh, you today how?Okay, okay lah.
このように、マングリッシュは英語と全く同じ表現ではないものの、ポイントを押さえておくと意味を理解できます。
まとめ
今回はマレーシアの国の特徴や英語が通じるのかなどを解説しました。
マレーシアは多民族国家であり、マレー語、中国語、タミル語などが各民族の言葉として用いられています。しかし、各民族間のコミュニケーションツールとして英語が使われています。かつてイギリスの植民地だった歴史的背景もあり、英語が広く浸透しているのが特徴です。
そのため、マレーシアの英語レベルは高いと評価されており、EF英語能力指数でもアジアの中でトップレベルの英語力があることがわかっています。留学や旅行などで英語が通じないと困ることはないでしょう。
なお、マレーシアでは英語とマレー語が混ざり合った「マングリッシュ」も存在します。特有の訛りや表現があるので、マレーシアを訪れるときはポイントを押さえておきましょう。