日本でも師走という別名を持つ12月。クリスマスに年末と慌ただしくも楽しいイベントで盛りだくさんです。
そんな1年の締めくくりに相応しい12月、欧米諸国にはどんな行事があるのかをまとめてみました。
12月第一土曜日 ニコラウス祭り(スイス)
カトリックの司祭であった聖ニコラウスは、カトリック信仰のある国では色々な守護聖人として祀られています。スイスもそのひとつで、12月5日の聖ニコラウスの日に先駆け、毎年12月の第一土曜日、スイスのフリブール州でニコラウス祭り”St. Nicholas Day”が行われます。
日が暮れると、ロバに乗ってお供を連れた聖ニコラウスが彼を祀っている大聖堂まで行進を行います。大聖堂に着くと、今年の出来事を振り返る為の説教を始めます。
子供の守護聖人として知られている聖ニコラウスは、もしも行進の途中で悪い子を見つけると、お供の鞭を持った男がお仕置きをします。これは、日本の秋田県男鹿市のなまはげの風習に似ていますね。
ちなみに、聖ニコラウスは子供の守護聖人(他にも船乗りの守護聖人でもあり、肉屋の守護聖人でもあります)の為、しばしばサンタクロースと同一視されます。
12月6日 独立記念日(フィンランド)
12月6日は、フィンランドがロシアから独立をした日です。毎年12月6日はフィンランドでは独立記念日(Independence Day)として、国民の祝日となっています。12月6日はフィンランドの国旗の色である青と白に町中が飾り付けられ、フィンランドの各地で独立記念日を祝う催し物も開催されます。なお、祝日の為国内の企業や店舗はほぼ全てお休みになります。
特にフィンランド国民の注目が集まるイベントが、首都ヘルシンキにある大統領官邸で行われるディナーパーティです。パーティの様子はテレビ中継され、毎年の招待客や装いを見るのも独立記念日の風物詩となっているそうです。
12月8日 無原罪の懐胎の日(カトリック教の国々)
アルゼンチン、オーストリア、イタリア等カトリック教の国では、カトリック教徒は、原罪を持たずに生まれたと信じられている聖母マリアを称えるために、無原罪の懐胎の日 “Immaculate Conception Day” を祝います。「無原罪の御宿りの日」と呼ばれることもあります。
この日は教会に行ったり、ごちそうを食べたりして祝うことが多いです。
12月10日 ノーベル平和賞受賞式 (ノルウェー)
ノーベル賞(Nobel Prize)の授賞式はスウェーデンで行われていますが、ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)のみノルウェーのオスロにあるオスロ市庁舎で毎年12月10日に授賞式が開かれています。これは、ノーベル賞創設者のアルフレッド・ノーベルがスウェーデンとノルウェー両国の和解と平和を祈念する為です。
今年の受賞者は誰が選ばれるのか、世界中が注目する式典です。
Aさん
Unfortunately, there were no Japanese Nobel Peace Prize winners in 2023.
訳)残念ながら2023年は日本人のノーベル平和賞の受賞者がいませんでした。
12月12日 聖母グアダルーペの祝日(メキシコ)
メキシコ人とメキシコ系アメリカ人は、愛国心と献身を象徴するメキシコの守護聖人である聖母グアダルーペの祝日”Feast Day of Our Lady Guadalupe”をよく祝います。
グアダルーペ聖母マリア大聖堂へは、1531年にメキシコの先住民が目撃したとされる聖母マリアの出現のひとつを記念するお祭りを祝うために、12月には通常数百万人の巡礼者が訪れます。
聖母マリアの顔は、メキシコの家庭、商店、神社などあちこちで見かけられます。
12月13日 ホノルルマラソン(アメリカ)
毎年12月13日には、ハワイ州ホノルルで世界最大級の市民マラソンであるホノルルマラソン “Honolulu Marathon” が開かれます。誰でも参加できるマラソンとして知られており、アットホームな雰囲気で楽しめるマラソンとなっています。
アラモアナからスタートし、ダウンタウン~ワイキキ~ハワイ・カイ~カピオラニ公園がゴールの42.195kmを走るフルマラソンの他、10kmのレースデー・ウィークや、他に楽しめるイベントも多く開かれ、ホノルルはお祭りムード一色になります。
12月18 – 26日 ハヌカ(イスラエル、アメリカ等)
12月18日から8日間、ユダヤ教の祝日ハヌカ “Hanukkah” が始まります。ユダヤ教の光の祭典の中心は、毎晩9本の枝に分かれたメノラーに火を灯すことです。(9本目のロウソクは他のロウソクを灯すのに使われます)。
この儀式は、紀元前165年にユダヤ人の小集団と強力なギリシャ・シリア軍との戦いで、1日分の油が奇跡的に8日間持ちこたえたことを象徴しています。ユダヤ教の伝統によれば、彼らは勝利を収め、エルサレムの聖廟を取り戻したと言われています。
ハヌカで慣習的に食べられる食べ物には、ラテ(ジャガイモのパンケーキ)、スフガニヨット(ジャム入りドーナツ)、ブリスケットなどが含まれます。子供たちはよくドライデル(ヘブライ文字のついた回転するコマ)で遊びます。
12月21日-1月1日 ユール祭(北欧)
ウィッカとネオペイガンは、ユール祭 “Yule” を通して冬至(1年で最も暗い日、12月21日)を祝います。
冬至は英語で “winter solstice” といい、1年で一番日が短くて夜が長く、最も暗い日です。
ユール祭では太陽が再び顔を出し、日が再び長くなり始めることを祝います。この祭りは、北欧の祭りとしてスカンジナビアで最初に祝われました。
一般的な伝統はユールログを燃やすことで、これはもともと太陽の復活を祝うために行われていました。それ以来、ユールはクリスマスの伝統にも組み込まれています。実際、ユールは9世紀にクリスマスと結びつきましたが、今でも本来のユール祭にこだわる人もいます。
Aさん
Wiccans and Neo-Pagans celebrate the winter solstice through the festival of Yule.
訳)ウィッカとネオペイガンは、ユール祭を通して冬至を祝うよ。
訳)ああ、彼らは太陽の復活と日がまが長くなり始めることを祝うんだね。
12月中 クリスマス・イルミネーション(フランス)
12月になると、世界中の各都市ではクリスマス・イルミネーション(Christmas illumination)が飾られます。
日本でも、著名なクリスマス・イルミネーションスポットは多くありますよね。
世界の中で、特に有名なクリスマス・イルミネーションがフランスの首都パリのシャンゼリゼ通りを飾るイルミネーションです。凱旋門からコンコルド広場までは、415本のプラタナスの木が植えられていますが、これらを約100万個のガラス製電飾で彩る、たいへん見ごたえのあるクリスマス・イルミネーションです。
毎年恒例となっていて、世界中から多くの人がシャンゼリゼ通りのイルミネーションを見に訪れます。
Why don’t you go see some Christmas lights?
訳)クリスマスのイルミネーションを見に行きませんか?
12月24日・25日 クリスマス(世界各国)
言わずと知れたイエス・キリストの生誕を祝うお祭りやイベントが世界中で開かれます。元々宗教色の強いお祭りだったクリスマス”Christmas”も、現在はキリスト教徒以外にも、一般的な年中行事のひとつとして祝われるようになりました。
キリスト教徒の多い欧米では、家族全員がクリスマスの食卓を囲み、イエス・キリストの生誕をお祝いしたり、クリスマスミサに参加したりします。その一方で、キリスト教以外のイスラム教、仏教、ヒンズー教など、いわゆる「異教徒」でもクリスマスをお祝いします。(例外として、国教としてキリスト教以外が定められている場合は除きます)日本も含めて、これらの異教徒たちがクリスマスをお祝いする方法は、「親しい人と集まってパーティをする」「クリスマスプレゼントを贈り合う」などがあります。
クリスマスの存在が一般化したのは、サンタクロースによる功績が大きいでしょう。日本やアメリカはサンタクロースがクリスマスプレゼントを持ってくると言われていますが、イギリスでは家族でクリスマスプレゼントを交換し合う風習があります。
Aさん
In the UK, it is customary for families to exchange Christmas gifts with one another on Christmas Day.
訳)イギリスでは、クリスマスの日に家族でプレゼントを交換する慣習があるんだって。
訳)本当?! イギリスはクリスマスプレゼントに関して日本とはかなり違うね。
日本では「良い子にしているとサンタクロースからプレゼントを貰える」と子供たちに伝え、もしも子供が悪い事をしたら「悪い子はサンタさん来てくれないよ!」と、躾の方法としてサンタが使われる事も…。一方で、サンタクロースの存在を信じている子供たちの為に、クリスマスまでにそれとなく欲しいプレゼントを子供から聞き出す、あらかじめプレゼントをラッピングの上用意し、こっそり夜枕元に置いておく…とパパサンタ、ママサンタは大活躍する日でもあります。
サンタクロースからプレゼントを貰えない大人たちは、大切な人とプレゼントの贈り合いをします。これらを踏まえ、日本はおもちゃ業界からファッション業界まで、クリスマス商戦が繰り広げられます。
カトリック教徒の多いイタリアでは、クリスマスにサンタクロースからプレゼントを貰えるのではなく、1月6日の「御公現の祝日」に同じイベントが行われます。しかも、プレゼントを持ってくるのはサンタクロースではなくほうきに乗った魔女!良い子の靴下の中にはお菓子やプレゼントを入れ、悪い子の靴下の中には炭を入れてしまうと言われています。
「良い子にしていないとプレゼントがもらえない」というのは、日本もイタリアも共通していますね。
What are you asking Santa for Christmas?
訳)サンタさんに何をお願いしているの?
また、クリスマスは大切な人と過ごす日ともされています。これは、欧米の風習のひとつ「クリスマスの日にヤドリギを室内に飾り、その下で出会った男女はキスをしてもよい」から来ているとの説があります。
一年の中でも大切なイベントとして知られているクリスマスは、クリスマスが近づくにつれてお楽しみも増えてきます。
欧米諸国で特に著名なのが、季節の挨拶としてクリスマスのグリーティングカード(greeting card)を贈り合う、アドベントカレンダー(advent calendar)を楽しむ、などです。
12月26日 ボクシングデー(イギリス、カナダ、オーストラリア等)
ボクシングデー “Boxing Day”は、クリスマスの翌日に行われるイギリスの伝統行事で、その起源はヴィクトリア女王が統治していた1800年代にさかのぼります。
当時、上流階級の英国人は、使用人や労働者にプレゼントを贈ることに加えて、彼らに休日を確実に与える日でした。それ以来、この祝日は贈り物をするためのより商業的な機会へと発展してきました。
12月25日の「クリスマス」に贈られたプレゼントの箱を、翌日、教会に持って行くというイギリスの伝統を受け継いでいます。貧しい人のために寄付を募り、集まったお金やプレゼントの箱を開ける日であったことが、その名前 Boxingの由来です。
イギリス連邦をはじめとする国々では、12月25日の「クリスマス」に働く使用人や、郵便配達員に向けて、プレゼントを贈る習慣があります。
現代では、「ボクシングデー」を祝う習慣がある国の多くがバーゲンセールを開催する傾向があります。あらゆる商品が、クリスマスの翌日にとても安くなるので、街は買い物客でいっぱいになります。
12月31日 シルベスタークロイゼ(スイス)
スイスのアッペンツェル・アウサーローデン州の年越しの風習として行われているのがシルベスタークロイゼ “Silvesterkläuse” です。また、現在の12月31日の他、旧暦の大晦日にあたる1月13日にも行われます。
クロイゼとは、精霊の一種です。美・醜悪・自然を司る3種類のクロイゼがいるとされています。シルベスタークロイゼでは、人々がクロイゼの風貌に変装し、3種類のクロイゼにそって3人一組になり、村中でヨーデルを歌いながら鈴を鳴らして練り歩くイベントとなっています。
12月31日 カウントダウン(アメリカ)
毎年大晦日には、アメリカ、ニューヨーク州のタイムズスクエア(Times Square)で新年へのカウントダウンが行われます。世界中から新年のカウントダウン”Countdown”を行うために人々が集まり、11時59分になると熱気も最高潮。人々が声を揃えてカウントダウンを始めます。12時になった瞬間に紙吹雪が舞い、新年を祝う歓声があがります。
カウントダウン会場では、特設会場が設けられライブパフォーマンスなども楽しめます。
おそらくテレビなどで見たことがある人も多いのではないでしょうか?
New York’s countdown is also broadcasted on TV, you know.
訳)ニューヨークのカウントダウンはテレビでも放送されていますよ。
まとめ
いかがでしたか? 世界の12月の行事をたくさん紹介しましたが、知らなかったものは幾つあったでしょうか。
12月は世界中でも有名なイベントが集まる月でもあります。特に有名なクリスマスも、各国によって風習が異なるのが興味深いですね。
カウントダウンが終われば、いよいよ新しい年が始まります。
皆様にとってよい年になりますように!