英語に興味があっても、学ぶとなるとちょっと躊躇してしまったり、始めても続かずに諦めてしまったりという方も多いのではないでしょうか?それは何事にも共通して言えることかもしれません。例えば、パラリンピックの競技種目である5人制サッカーでも、本人に興味がなく、続ける意志がなければ優れた選手には育ちません。こちらではそんな5人制サッカーについて知りながら、英語学習のきっかけになるような内容をお伝えします。

5人制サッカーとはどんな競技?

5人制サッカーとは、視覚障害を持った選手によって行われるサッカーのことです。国際サッカー連盟(FIFA)の定めたフットサルのルールを視覚障害者がプレーできるようアレンジし、国際ブラインドスポーツ連盟(IBSA) が統括しています。日本の5人制サッカーを統括する日本ブラインドサッカー協会によるとその歴史は、1980年代に欧州や南米中心に始まり、2004年のアテネ大会から正式種目となりました。

別名ブラインドサッカーと言われ、英語にすると「Blind Soccer」となります。この「Blind」は形容詞で「目の不自由な」「盲目の」という意味がある他「見る目がない」「無計画な」などの意味で使われることもあります。また形容詞以外にも、動詞として「盲目にする」「判断力を奪う」。名詞として「日よけ」「ごまかし」「障害」。副詞として「やみくもに」「完全に」などの意味も持ち、とても奥の深い単語です。

ルールから英語を学ぶ

5人制サッカーは具体的にどのように行われているのでしょうか?ここではそのルールについて英語の用語や例文を交えながら説明します。

4人のフィールドプレイヤーと1人のゴールキーパー(視覚障害のない、もしくは弱視)の計5人で構成されます。試合時間は前半と後半で20分間ずつの計40分で行われ、その間にハーフタイム10分間を挟むことになっています。ゴールキーパー以外のフィールドプレイヤーはアイマスクを着用し、視覚を遮断することで公平性を保ちます。フィールドプレイヤーは、英語で「field player」となります。意味はサッカー、ホッケーなどのスポーツでゴールキーパー以外の選手を表す総称です。

ボールは内部に鈴や鉛を仕込んだ専用のもので、転がると鳴る音で選手はボールを把握します。また相手のゴール裏に立ち攻撃の指示を出す「ガイド」、守備の指示を出す「ゴールキーパー」、ピッチ中盤の選手に指示を出す「監督」と、それぞれの指示を出す範囲が決まっています。その声を頼りに選手は動くので、範囲外の選手に声をかけることはファウルになります。

先ほど出てきた「ガイド」は、英語で「guide」となります。「案内人」「手引書」などを意味する名詞ですが、動詞として「案内する」「指導する」などの意味も持っています。

「guide」を動詞として使った場合の例文

Aさん
He guided his side to first place.
訳)彼はチームを1位へと導いた

守備側がボールを取りにいく際は、相手との接触を避けるために「ボイ」と声を出すルールになっていて、違反するとファウルになります。このように音と声が頼りのスポーツなので、観客にも試合中は静寂が求められます。ただし、ゴールが決まった時は大きな歓声で選手を称えることができます。

先ほど出てきた「守備」は「ディフェンス」と言いますが、英語で表すと「defence」となります。また日本ではこれに対し「オフェンス」という言葉を使いますが、英語の「offence」は「攻撃」という意味の他に違反、罪などがあります。実際のスポーツ用語で使う場合は「attack」の方が一般的です。

競技の見どころと英語豆知識

5人制サッカーの見どころについて説明する前に目を閉じて想像してみて下さい。暗闇の中、視覚以外の感覚を研ぎ澄ませ、仲間の声や音を頼りにピッチを駆け巡る様を。フィールドプレイヤーの選手は常にこの状態で試合をしているのです。

フィールドは40メートルx20メートルのフットサルコートを使い、選手やボールがコートから飛び出さないよう、サイドライン上には1メートルほどのフェンスを立てます。このフェンスに触れる事によって、選手は自分の位置を知る目安にしたり、パスを送るために、あえてフェンスに向かってボールを蹴ってバウンドさせることもあります。

ここで出てきた「バウンド」ですが、英語では「bound」と表します。意味は、「(ボールなどが)弾むこと」「跳ね返ること」などの他に「境界」「限界」などもあります。また動詞「bind=縛る・結びつける」の過去形でもあります。ここで「bound」を使った例を2つ挙げます。

名詞として使用した例文

Aさん
There were no bounds to his ambition.
訳)彼の野望は無限だった

動詞「bind」の過去形として使用した例文

Aさん
The police officer bound the man’s hands behind him.
訳)その警官はその男の手をうしろ手に縛り上げた。

5人制サッカーの場合、ファウルがあると相手チームにペナルティーキック(PK)が与えられるのですが、PKは2通りあります。1つはペナルティエリアの中でファウルがあった場合、ゴールから6メートルの位置に選手が立ち、ゴールキーパーと1対1で対峙し、シュートを狙います。2つ目は、前半と後半それぞれで、チームの累積ファウル数6つ目から相手チームに与えられ、1つ目よりも遠い8メートルの位置で行います。凄いのはこれらのプレーを全て視界の遮られた状態で行っているということです。

ここで出てきた「ファウル」ですが、英語では「foul」と表します。主にスポーツ用語で「反則」「ルール違反」「接触」などの意味です。
もう一つ「ペナルティーキック」ですが、英語では「penalty kick」になります。サッカーなどで使われるスポーツ用語ですが、元々この「penalty」は、これ自体名詞として「罰則」「罰金」「不利益」「ハンディキャップ」などの意味があります。

競技の展望と英語学習

リオデジャネイロ2016大会後、ルールの一部に改正がありました。主な改正点の1つはゴールのサイズで、従来のフットサルサイズ(幅3メートルx高さ2メートル)からフィールドホッケーサイズ(幅3.66メートル×高さ2.14メートル)に拡大されました。得点の可能性が高まると同時に、失点のリスクも高まったと言えます。

ここで使われている「リスク」ですが、英語で表すと「risk」となり、「危険性」「恐れ」という意味になります。通常は名詞として使うことが多いですが、動詞「リスクを負う」「賭ける」などとして使うこともできます。

「risk」を名詞として使用した例文

Aさん
He has a risk of being fined 100 million yen.
訳)彼は1億円の罰金を科せられるリスクがある

「risk」を動詞として使用した例文

Aさん
He risks being fined 100 million yen.
訳)彼は1億円の罰金を科せられるリスクをとっている

「risk」を名詞で使用している文は受け身のニュアンスが強いですが、動詞で使用している方はより積極的な印象があります。

もう一つのルール改正点は試合時間の変更です。元々サッカーの試合と同様、ランニングタイムによる前・後半25分ハーフのノンストップで試合を行っていましたが、新ルールでは、プレーが続いている間のみ試合時間を計測するプレイングタイムによる20分ハーフに変更されました。これによって、ボールアウトやファウルなどで計時が止まるようになったので、実質的には試合時間の延長になると思われます。これによって戦術や体力の配分にも影響が出てくることも考えられるので、今後の戦い方に注目です。

ここまで5人制サッカーについて説明してきましたが、ちょっとしたところに英語学習のきっかけが隠れています。5人制サッカーに限らず、何事も見方を変えるとそこに「学び」があります。それに気がつくことができれば、英語習得の可能性に繋がるのではないでしょうか?

楽しみの中に学びを見つけよう

いかがでしたか?5人制サッカーの魅力について英語学習のきっかけを交えながら紹介してきました。学ぶ方法やテクニックはもちろん必要ですが、一番大切なことは興味を持ち続けることなのかもしれません。そのためには学ぶということを意識しすぎるよりも、日常の楽しみの中から、少し見方を変えてみるというのも1つの方法ではないでしょうか。この記事がこれからの英語学習のきっかけになれば幸いです。