パラリンピックの車いすバスケットボール関連で覚えられる英単語だけでも、さまざまな種類があります。車いすバスケットボールに興味を持った機会に、用語に関する英単語を覚えてしまいましょう。普段の学習の中でも役立つ英単語もあるため、車いすバスケットボールの試合を楽しみながら英語学習へとつなげることが可能です。

最初に歴史を知ろう

車いすバスケットボールの歴史は古くなく、1946年の第二次世界大戦で車いす生活となった全米退役軍人病院で傷痍軍人がはじめたことが最初という説があります。また同時期にイギリスでも対麻痺障害者のリハビリテーションの一環として車いすバスケットボールが採用されています。

日本での車いすバスケットボールの始まりは1960年になります。実際に車いすバスケットボールの歴史を理解したら、歴史という言葉の英単語も合わせて押さえておきましょう。歴史は英語にすると “history”と表現します。ちなみに日本史と表現したい場合には、”Japanese history”と表すことが可能です。

パラリンピックと車いすバスケットボール

第1回パラリンピックが開催されたのは、1960年ローマ大会のことです。実は車いすバスケットボールは、第1回のパラリンピックから採用され続けている種目です。またパラリンピックが正式名称として採用されたのは、1988年のソウル大会からになります。そして名前の由来はギリシャ語のパラ=Para(沿う、平行)+Olympic(オリンピック)からきています。つまりもう1つのオリンピックというのが、パラリンピックの名前の由来です。ここで押さえておきたいのが、英単語の最初に “para”がつく単語がいくつかあるという点です。例えば “parallel” という単語は、平行という意味があります。パラレルワールドが平行世界と覚えておくと、英語長文で出会ったときに焦らずに済みます。

ちなみに”para”を使った表現は他にもあります。例えば、”paralegal”という単語は”para”+”legal”がくっついてできた単語で、「法律事務員」とも呼ばれるアメリカで生まれた職種で、弁護士の指示に従って法律事務業務を補佐する仕事です。

車いすに乗ってプレイするバスケットボール

車いすに乗ってプレイするバスケットボール

車いすバスケットボールと通常のバスケットボールの最大の違いといえるのが、車いすに乗ってプレイするという点です。競技用の車いすは、衝突から足を守って他の選手の車いすにひっかからないように保護バーがついています。またタイヤはハの字をしていて、スピードを出したときも転倒しづらく、小回りも効く作りになっています。車いすは英語で “wheelchair”といいますが、”wheel”が車輪、”chair”が椅子を意味しています。

Aさん
I didn’t know that wheelchairs for wheelchair basketball competitions have protective bars. 
訳)車いすバスケット競技用の車いすに保護バーがついているのは、知らなかったです。
Bさん
Protective bars are needed to protect the players’ legs from collisions and to prevent them from getting caught on other players’ wheelchairs.
訳)保護バーは、衝突から選手の足を守ったり、他の選手の車いすにひっかかったりしないようひ必要です。
Aさん
Wheelchairs for wheelchair basketball competitions certainly have tires that are inverted V-shaped. 
訳)車いすバスケット競技用の車いすは、確かにハの字をしていますね。

「ハの字」は、英語で “inverted V-shape”と表現できます。V字の逆さなので、”inverted V-shape”となるのは納得できますね。

中学生の英語教科書で「車いすバスケットボール」が出てきて、教えている生徒さんから、「車いすを表す英語には、なぜ “car”が付かないの?」と聞かれたことがありました。「車いすは、車輪 “wheel” の上にいすが付いているでしょう。だから “wheelchair”という英語になるんだよ」と説明したら、理解してくれました。車=carというのがインプットされていて、単語を部分で区切って文字通りに訳す傾向があるので、そんな質問が湧いてくるのかなと思いました。

また “wheel”という用語は、車輪のほかにも名詞には「回転」動詞の場合は「車輪がついたものを動かす」などの意味もあります。例えばベビーカーを押すという例文なら、”wheel a baby carriage forward” となります。複数の例文で使われ方とセットで単語を覚えるようにしましょう。

ダブルドリブルのルールはない

車いすバスケットボールのルール説明で押さえておきたい点の1つが、通常のバスケットボールにおける「ダブルドリブルは反則」のルールが存在していないことです。通常のバスケットボールの場合、ドリブルしている最中に1度ボールを持ったら再びドリブルをするのは反則です。ダブルドリブルは反則のルールがない車いすバスケットボールでは、ドリブルしてボールを持った後も再びドリブルをすることが可能です。ただし車いすバスケットボール独自のルールとして、ボールを保持した状態で車いすを漕げるのは2回までという独自のトラベリングのルールがあります。

ちなみにダブルドリブルのダブルは、英語だと “double”で2倍などの意味で使われます。2倍は “two times”と表現することもあるため、合わせて覚えておきましょう。

Aさん
Wheelchair basketball players can push their wheelchair while dribbling the ball.
訳)車いすバスケットボールの選手は、ドリブルをしながら車椅子を押すことができます。
Bさん
However, after every two pushes, the players must either pass, shoot, or dribble again to avoid a traveling violation. 
訳)でも、2回押すごとに、プレーヤーはトラベリング違反を避けるために、パス、シュート、ドリブルのいずれかを再度行わなければなりません。
Aさん
In wheelchair basketball, there is no double-dribble rule, meaning players can stop and restart dribbling without penalty.
訳)車いすバスケットボールには、ダブルドリブルのルールはなく、選手はペナルティなしでドリブルを中断し、再開することができます。
Bさん
It’s good that there is no double-dribble rule in wheelchair basketball, but the players must be careful enough to avoid a traveling violation.
訳)車椅子バスケットボールにダブル・ドリブルのルールがないのは良いことですが、プレイヤーはトラベリング違反を避けるために十分に注意しなければならないです。

車いすからお尻を離したらNG

通常のバスケットボールの場合、シュートの際に軽くジャンプをして勢いをつけることもあるでしょう。しかし車いすバスケットボールでは、ゲーム中にお尻を車いすから離すとバイオレーションの反則で相手ボールになります。パスやシュートの際にもお尻を離すことができないので、上半身の筋肉のみで動作をする必要があるスポーツです。

ちなみにバイオレーションは英語で”violation” で、バスケットボールではファウル以外の禁止されている行為を”violation”で表します。ボールの扱いや時間に関する内容などが含まれるので、試合をより楽しむためにどのようなルールが存在しているのか確認しておくといいですね。ルールの内容と英語での名前を合わせて覚えると、英語学習に役立てられます。

Aさん
Wheelchair basketball players must remain seated and cannot use their legs or feet on the floor to steer the wheelchair.
訳)車いすバスケットボールの選手たちは座ったままでいなければならず,車いすを操作するためにフロアー に脚や足を使ってはいけません。

「車いすからお尻を離してはいけない」→「座ったままいる」と解釈して、英語では “remain seated”と表現するのが適切です。

選手ごとのクラス分けを知ろう

車いすバスケットボールでは、障害の度合いが違う中でも平等に試合ができるように選手をクラス分けしています。選手には障害のレベルに応じて1.0~4.5の持ち点が定められていて、コート上でプレイしている5人の持ち点の合計を14以下にする必要があります。持ち点を超えないようにどのようなメンバー構成にするのか、選手ごとにどのような役割を与えるかなど監督の采配によって駆け引きや戦略が異なるスポーツです。クラス分けのクラスは英語で “class” になりますが、さまざまな意味で使われる用語です。例えば分類や種類、組など意味がありますが、共通しているのが同じような人や物の集まりに対して使われるということです。

コートの広さは変わらない

車いすバスケットボールでは、健常者がプレイするコートと同じ広さのコートで試合が実施されます。試合が実施されるコートのことを英語で「coat」と表現すると思っている方がいます。しかし「coat」は試合をするコートではなく、洋服のコートのことを示す英単語です。バスケットボールコートは英語で、「basketball court」になります。日本語のカタカナ表記が同じことから勘違いされやすいので、間違いのないように覚えておきましょう。

ゴールの高さも通常のバスケと同じ

コートの広さだけではなく、ゴールの高さも通常のバスケットボールと同じ条件で試合が実施されます。車いすに乗っているため、通常のバスケットボールよりも低い位置からシュートを放って得点を取る必要があります。しかも車いすからお尻を離せないため、上半身の筋肉だけでシュートを決めなければいけません。ゴールは英語で “goal” ですが、スポーツにおけるゴールのほかにもさまざまな形で使われるケースが見られます。目的という意味で使われる場合、例文が目的を達成するなら “reach one’s goal” と表現できます。使い方も合わせて押さえておきましょう。

ファウル判定を理解しよう

ファウル判定を理解しよう車いすバスケットボールでは、急停止や急な方向転換ができないことで、通常のバスケットボールよりも接触が多くなります。接触が多いときに注目したいのが、ファウルに対する考え方です。ファウルの判定基準としては、車いすを故意に当てるもしくは相手の車いすをつかむなどの好意は反則です。ファウルを英語で書くと “foul” になりますが、例文であれは小さなファウルだったという文章があったら “That was a small foul” と表現します。

Aさん
A wheelchair basketball player who commits five personal fouls must be replaced by another player.
訳)5回ファウル行為をした車いすバスケットボールの選手は、別の選手と交代になります。

バスケットボールならではの例文を押さえよう

車いすバスケットボールをより楽しむために、試合の実況などでよく使われる例文の英語表現を押さえておくのも1つの手です。よく使われる文章が英語で説明できるようになれば、英語学習に役立てられます。実際の表現としては、同じ意味でも複数の英文で説明することが可能です。例えば点が決まったという表現でも、”Count the basket!”と書くこともできれば、少し丁寧な言い方で “Drained it” や “Puts it in” と表すこともできます。複数の表現を使い分けて、英語学習のステップアップへとつなげましょう。さらにキレイなパスを褒めるときには “What a pass!” という表現が使えます。プレイごとの英語表現を説明できるようにすることが大切です。

車いすバスケットボールだけで多くの英語が学べる!

パラリンピックの車いすバスケットボールを観戦するなら、一緒に英語学習をするのも一つの方法です。車いすを示す英単語や試合で使われる例文を押さえることで、英語学習に役立てられます。バスケットボールのルールなどに関連する英単語だけでもさまざまな種類があるので、1つずつ確認していって普段の学習へとつなげられるようにしましょう。