「よろしくお願いします。」この表現は、日本語ではとてもよく見かけますね。ビジネス英語の部類に入り、使わずに過ごすことはできないほど重要な表現です。しかし、英語でこの表現を適切に言えるかというと意外と難しいもの。というのも、日本語の「よろしくお願いします」はとても万能で、実にいろいろな場面で使えるからです。初対面の相手に対して使うこともできれば、別れ際に使うことだってできます。ということは、「よろしくお願いします」は英語でシチュエーション別に表現を見ていかなくてはいかないということです。以下に、そのシチュエーション別でよく使われる英語表現をまとめたのでぜひ参考にしてください。

初対面の人に対する「よろしくお願いします」

初対面の人に対する「よろしくお願いします」

仕事などで初対面の人に挨拶する時にも、「よろしくお願いします」と言いますよね。このシチュエーションでは、英語で「よろしくお願いします」にぴったりハマる表現がありません。ということで、別の表現で補う形となります。その別の形というのが “Nice to meet you.”。この表現は、「はじめまして」や「お会いできてうれしいです」と訳されます。中学校、いや、小学校の時に習ったくらいの基本的な英語表現です! これが日本語で初対面の相手に対して使う「よろしくお願いします」の代わりになります。

Aさん
Hello, I’m Yuki Tanaka. Nice to meet you.
訳)はじめまして。田中ユキと申します。よろしくお願いします。
Bさん
I’m Takashi Suzuki. Nice to meet you, too.
訳)鈴木タカシです。よろしくお願いします。

もし、相手が目上の人で丁寧な表現を使いたい時には、”It’s pleasure to meet you.”というの表現も使えます。

Aさん
Hello, I’m Yuki Tanaka. It’s a pleasure to meet you.
訳)はじめまして、田中ユキと申します。お会いできて光栄です。
Bさん
I’m Takashi Suzuki. Pleasure to meet you, too.
訳)鈴木タカシです。こちらこそお会いできて光栄です。

 

初対面で話すならそれが相手にとってのあなたの第一印象になるので、英語の場合もできるだけスムーズに、かつ誤解がないフレーズを使いたいですよね。意外と簡単な英語で言えるので、あとはこれらがスッと出て来るように英会話などで練習をしておきましょう。「これから一緒になることもあるかもしれないけれど、その時はどうぞよろしくね」という意味を上記の表現で込めることができます。

頼みごとをする時の「よろしくお願いします」

では、頼みごとをする時の「よろしくお願いします」は英語で何と言えばいいのでしょうか?

シンプルに “Thank you”と言うだけで、「よろしくお願いします」のニュアンスを出せる場合があります。例文を見てみましょう。

Aさん
Do you want me to do the work?
訳)あなたは私にその作業をしてほしいですか?
Bさん
Yes. Thank you.
訳)はい。よろしくお願いします。

 

感謝の理由を明確にしたい場合は、Thank you for ~ として、~に名詞か動名詞を入れます。例文を紹介します。
Aさん
We are closed on Sundays. Thank you for understanding.
訳)当社は日曜は休みです。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
Aさん
Please turn off your cell phone in the priority seats area. Thank you for your cooperation.
訳)優先席エリアでは携帯電話の電源をお切りください。ご協力よろしくお願いします。
「前もってお礼を言っておきます」という意味合いなら、”Thank you in advance.”と言うこともできます。
Aさん
We are scheduled to have a Q&A session after our presentation. Thank you for your attendance at the session in advance. 
訳)プレゼンの後、Q&Aセッションを持つ予定です。そのセッションへのご参加をよろしくお願いします。
Bさん
My pleasure.
訳)了解です。
Thank you in advance. はシチュエーションや相手によっては、押しつけがましくなってしまいますので、配慮して使うようにしましょう。

一緒に仕事をする時の「よろしくお願いします」

英語で「よろしくお願いします」はなんて言うの?ビジネス・カジュアルでの使い方・一緒に仕事をする時の「よろしくお願いします」

では、一緒に働く相手に対して使う「よろしくお願いします」は英語で何と言えば良いのでしょうか。こちらも英語でぴったりそのままの意味のフレーズがないため、他の言い回しで代用します。

日本語では、「迷惑をかけることがあるかもしれないけれどよろしくね」といった意味を含むこともあるかもしれませんが、英語ではあまり最初からネガティブな言葉は口にしません。どちらかというと、これから一緒に働けることを楽しみにしていることを伝えるのが失礼のない挨拶になります。ですから使うフレーズも結構ポジティブで、”I’m excited to ~(~するのにワクワクしています。)や、”I’m looking forward to ~ing (~するのを楽しみにしています。)」を使います。これらの表現を使って実際に使える例文を作ってみましょう!

Aさん
I’m excited to work with you.
訳)一緒に働くことにワクワクしています。
Aさん
I’m looking forward to working with you.
訳)一緒に働けることが楽しみです。

I’m excided to ~ の to は 「不定詞」で、~の部分には動詞の原形が来ます。この不定詞は、「原因や理由を表す不定詞」と呼ばれることがあり、~の部分がワクワクする原因や理由を表しています。

一方、I’m looking forward to ~ing の to は「前置詞」でその後には、名詞か動名詞が来ます。この to は「不定詞」ではないので、to の後には原形が来ません。

自分が相手と働くことに対してポジティブな感情を抱いていることを示すことが、日本語の「よろしくお願いします」に相当することになりますね。

別れる際の「よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」というフレーズは、相手との別れ際に使うこともありますよね。「今後とも」という言葉がついたような意味合いを含み、取引先の相手に言ったり、会社から帰宅する際に改めて上司に言うこともできます。このような時にも、実は先ほどご紹介したフレーズが使えます。

Aさん
It was nice meeting you.
訳)お会いできて良かったです。
Bさん
Nice meeting you, too.
訳)こちらこそお会いできて良かったです。

 

It was nice meeting you.やNice meeting you.は、初対面の相手に言うNice to meet you.と似ていますが少し形が違いますよね。これは英語が得意でも、去り際に言われてNice to meet you.の「初めまして」と勘違いし、混乱する人が多くいます。違うのは、動詞のmeetがing形になっていることですよね。また、It was nice meeting you.は、時制が過去形になっていて、meetingの部分は「会えたこと」という過去のニュアンスを表します。このフレーズは過去のことを表していることを覚えておきましょう。

~ing の場合、「~したこと」という過去の意味になるのは、remember や forget の後に、~ing が続くと、それぞれ「~したことを覚えている」「~したことを忘れた」という意味になるのと同様です。

単語を1つ1つ聞き取れなくても、別れ際に使われたのであればNice to meet you.ではないことは明白ですよね。ただ、自分も使えるようになるには正確に覚えておきたいので、これを機に今から覚えておきましょう!

Aさん
We’re looking forward to working with you in the future.
訳)将来一緒にお仕事できることを楽しみにしています。

Bさん
We, too.
訳)こちらもです。

 

We’re looking forward to working with you in the future.というフレーズは、主語がIではなくWeになっていることに気付きましたか? Iでも良いのですが、なぜWeにしているかというと、この「私たち」が自分が所属している会社を示すからです。「私という個人だけがあなたと将来働けることを楽しみにしている」のではなくて、「会社全体としても喜ばしいことなんですよ」と相手に伝えることができます。ちょっとした英語のコツなので覚えておきましょう。

会社としてあなた(方)と一緒働くことを楽しみにしている場合には、主語は We ですが、個人として、楽しみにしている場合には、主語は I でも全く問題ないです。

初対面の人にあいさつする場合には、working with you in the future(将来働くこと)を使いますが、一度一緒に働いたことがある場合には、working with you again(再び働くこと)に変えて使うと、かなり使える表現です。

メールの文末に書く「よろしくお願いします」

メールの文末に書く「よろしくお願いします」

メールなど、文章にする時には「よろしくお願いします」はもはや必ず書くルールがありますよね。今までは会話で使う「よろしくお願いします」というフレーズをご紹介しましたが、今回は文章で使うフレーズです。それが “Kind Regards”や “Best regards”です。たったの2語ということに驚いた方もいるかもしれませんが、これはメールの最後に書く英語の決まり文句です。ビジネス英語を使うならこれだけ覚えていれば大丈夫でしょう。

Kind regards (Best regards) / Sincerely / Sincerely yours

これだけでは物足りないなと思う時には、「返信をお待ちしております」などを付け加えても良いでしょう。この時も、ただ「待っている」と言うのではなく、「楽しみに待っている」ことを伝えていますね。英語では自分のポジティブな気持ちを相手に表明するフレーズがビジネス英語に多いです。

I look forward to hearing from you.
「ご連絡をお待ちしております。」

ビジネス等で返信を期待している場合に、この文は必ずと言っていいほど最後に入れます。できるだけ早く返信を欲しい場合には、I look forward to hearing from you as soon as possible. とする場合も多いです。

「~によろしくね」の英語表現

「~によろしくね」の英語表現

「よろしくお願いします」とは少し違いますが、「~によろしくね」と言いたい時は、英語で何と言うのでしょうか。

「~によろしくね」は、英語で ”Say hello [hi] to ~”と言います。例文を見てみましょう。

Aさん
Please say hello to your family.
訳)ご家族によろしくね。

Bさん
Yeah, I will.
訳)うん、分かった。

 

まとめ

ここまで読むと、日本語でよく使う「よろしくお願いします」がいかに万能で様々な意味を持つフレーズであったかを思い知らされることでしょう。「日本語のビジネスレターを英語に訳す」という場合に、「よろしくお願いします」という文言は含まれている可能性が高いですが、その文脈や状況に合うように、訳し分けることになります。

英語では、こんなに様々なシチュエーションで使えるフレーズはなく、その場に合ったものを使い分けています。といっても、そう難しいフレーズはないので覚えるのは簡単! あとはその場で実際に使えるよう練習を積むだけです。その場になるとあたふたしてしまうこともあるので、自主トレをしてシミュレーションを重ねましょう。そうすれば、同じシチュエーションになった時にスマートに言うことができます。