みなさんは「カーボンニュートラル」という言葉を聞いたことはありますか?
初めて聞いた方も、なんとなく言葉だけは知っていたという方も、はっきりとした意味まではわからない方が多いのではないでしょうか。
「カーボンニュートラル」とは、英語の”carbon neutral”をそのままカタカナで表記した言葉です。
環境に配慮し「二酸化炭素を排出しない」ことを表して使われています。
今回は、ニュースや新聞、広告などで耳にするカタカナ言葉「カーボンニュートラル」について、日本で進められている取り組みと、英語”carbon neutral”の正しい使い方を解説していきます!
「カーボンニュートラル」の意味
「カーボンニュートラル」は、英語の”carbon neutral”をそのままカタカナ表記した言葉です。
”carbon neutral”は、辞書で以下のように定義されています。
- it does not add to the total amount of carbon dioxide in the atmosphere
大気中の二酸化炭素の総量を増やさないこと- it removes the same amount of carbon dioxide from the environment as it releases into the environment
環境に放出するのと同量の二酸化炭素を環境から除去する
”not add”や”removes”とあるように、排出される二酸化炭素の総量を増やさないことと、取り除くことの両方を指していることがわかります。
二酸化炭素の排出量と吸収量が同等である状態が”carbon neutral”です。
環境化学の用語では、二酸化炭素の排出量が吸収量を上回ることを「カーボンネガティブ」、排出量よりも吸収量のほうが上回ることを「カーボンポジティブ」と呼びます。
「カーボンニュートラル」の取り組み
日本では、2050年までに「カーボンニュートラル」を目指すと宣言されました。
二酸化炭素に限らず、メタンや一酸化二窒素、フロンガスなどを含む「温室効果ガス」が対象で、総排出量から吸収量+除去量を差し引いた合計をゼロにするのが目標です。
エネルギー基本計画の策定 | 2020年10月「2050年カーボンニュートラル」宣言 2021年4月「2030年度の温室効果ガス排出46%削減」目標制定 |
バイオマス燃料の利用 | バイオマスエタノール、薪や木質ペレットなどを利用したバイオマス発電を推進 |
植樹・植林の推進 | 光合成を利用して二酸化炭素の吸収量を増やすことを目的とする |
二酸化炭素を回収する技術の開発 | 排出された二酸化炭素を回収し、地中に圧入する技術や、それを資源として活用する技術の開発が進む |
「カーボンニュートラル」と「脱炭素」の違い
「カーボンニュートラル」と同じ意味で使われることが多い「脱炭素」についても解説しておきましょう。
「脱炭素」という言葉自体には明確な定義がなく、「カーボンニュートラル」とほぼ同義と捉えておいて問題ありません。
しばしば「低炭素」ともいわれますが、いずれも二酸化炭素の排出をできる限り低く抑えることを意味します。
あえて区別するならば、「脱炭素」は二酸化炭素に限定した表現といえます。
「カーボンニュートラル」は、二酸化炭素以外にメタンやフロンガスなども含んだ温室効果ガス全般を指していると認識しておくとわかりやすいですね。
「カーボンニュートラル」と「カーボンオフセット」の違い
「カーボンニュートラル」と似ている言葉に、「カーボンオフセット」があります。
「オフセット」は、英語で”offset”と表記され、「相殺」や「埋め合わせ」を意味する単語です。
つまり、わたしたちの生活で排出される二酸化炭素を何らかの方法で「相殺」または「埋め合わせ」することを表します。
a payment for something to be done, for example planting trees, that reduces the amount of carbon dioxide in the environment, as a way of trying to reduce the damage caused by activities that produce carbon dioxide
二酸化炭素を発生させる活動によって引き起こされる被害を軽減するために、環境中の二酸化炭素の量を減らすようなこと、例えば植林などを行うことに対して支払われるもの
「カーボンオフセット」は、2005年、イギリスの環境大臣が「飛行機の利用で発生した二酸化炭素を植林活動などで相殺しよう」と呼びかけたのがきっかけで広まりました。
再生エネルギーの開発と活用、森林保護、植林などによる「カーボンオフセット」は、日本でも今後ますます増えていくことでしょう。
”carbon neutral”を使った例文
”carbon neutral”を使った例文を紹介していきます。
”carbon neutral”とは何かの説明を含む表現として、以下のようなものがあります。
訳)本物の木はカーボンニュートラルであり、吸収する以上の二酸化炭素を排出せず、適切に処分できます。
訳)カーボンニュートラル都市のような先進的なデザインは、すでに新しい方向性のアイディアを提供しています。
”carbon neutral”を表明する際には、以下のような例文の型も覚えておくと良いでしょう。
訳)この法案は、2050年までに政府の事業全体をカーボンニュートラルにすることを義務付けるものです。
訳)同大学は、その運営をカーボンニュートラルにすることを約束しました。
”carbon neutral”の具体的な内容について述べている表現も忘れずに。
訳)低エネルギーでカーボンニュートラルなこのニュータウンは、リサイクル素材で建設されています。
訳)これらの燃料は、大気中の温室効果ガスの増加をもたらさないために、カーボンニュートラルとみなされます。
まとめ
環境問題の話題では必ず登場するといっても過言ではない言葉「カーボンニュートラル」について、その取り組みをはじめ、英語”carbon neutral”の意味と正しい使い方を解説しました。
「カーボンニュートラル」は、英語の”carbon neutral”をそのままカタカナ表記した言葉です。
”carbon neutral”は、日常生活や経済活動によって排出される二酸化炭素の総量を増やさず、取り除くことを意味しています。
「カーボンニュートラル」と同義の「脱炭素」や、語感の似ている「カーボンオフセット」など、あまり聞き慣れない言葉は、もとになっている英語の意味を正しく理解しておくことが大切です。
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