通訳や翻訳の仕事には、高度な語学力が必要だと思う人も多いでしょう。たしかに、語学力は必要です。しかし、実際の現場で必要なのは、教科書で学ぶ英語とは異なる「使える英語」です。
会議や観光、医療現場など、それぞれの場面で求められる英語は異なり、状況に応じた柔軟な表現力や対応力が必要とされます。
そこで、今回は、通訳者・翻訳者として活躍したい方や、英語を仕事にしたい方のために、実践で役立つフレーズや、すぐに使える英語をロールプレイ形式で紹介します。ぜひ、英語学習の参考にしてください。
通訳者、翻訳者が実践で求められる英語
通訳者や翻訳者は、「英語が得意」というだけでは現場で通用しません。実際の仕事では、正確かつ簡潔、そして、わかりやすく伝えることが求められます。
とくに、通訳の場合は相手の話をリアルタイムで聞き取り、瞬時に別の言語に置き換える必要があります。そのため、丁寧でありながらスピーディーな表現力が重要です。
たとえば、会議の場では次のようなフレーズがよく使われます。
- Shall we begin the meeting?
会議を始めましょうか? - Let me interpret that for you.
通訳いたします - Could you say that again, please?
もう一度おっしゃっていただけますか?
翻訳者については、文脈に合った自然な表現を使う必要があります。たとえば、日本語の「お世話になっております」は、直訳では不自然なので、以下のような表現に書き換える必要があります。
Thank you for your continued support.
このように、「実際に使える英語」とは、状況に応じて選ばれた、相手に伝わる英語のことです。語彙力や文法だけでなく、相手の文化や期待に配慮した英語運用力が大切です。
実践で使えるフレーズ
ここでは、通訳者や翻訳者が実践で使えるフレーズを見ていきましょう。
- 【通訳】
Shall we begin the meeting?
会議を始めましょうか? - Let me interpret that for you.
通訳いたします。 - Could you please repeat that more slowly?
もう少しゆっくりお願いできますか? - They’re saying that the schedule needs to be adjusted.
スケジュールの調整が必要とのことです。 - Let me confirm your point before interpreting.
通訳の前に、ご意見を確認させてください。 - 【翻訳】
Would you prefer a literal translation or a more natural expression?
直訳と自然な訳、どちらをご希望ですか? - This part of the source text is unclear. Could you clarify the meaning?
この箇所の意味が不明確なので、確認させてください。 - There are multiple possible translations for this term. Which one should I use?
この用語には複数の訳があるため、ご希望の表現を教えていただけますか?
【ロールプレイング形式】通訳者や翻訳者が実際に使える英語
ここでは、通訳者や翻訳者が実際に使える英語をロールプレイング形式で紹介します。
【会議】
この会議の目的は、来年度の予算案を議論することです。
提案書の主なポイントを説明していただけますか?
もちろんです。まず、主要な経費項目について説明します。
【観光】
このお寺はどれくらいの年数が経っていますか。
このお寺は400年以上経過しています。
【医療】
あなたの症状を詳しく説明していただけますか?
頭痛と喉の痛みがあります。
お薬にアレルギーがありますか?
通訳者、翻訳者に必要なスキル
ここでは、通訳者、翻訳者に必要なスキルについて見ていきましょう。
まず、言語力は必要です。通訳者や翻訳者は、もとの言語と、訳す言語の両方における高度な理解力と表現力を持っている必要があります。
語彙力、文法、構文を理解していることはもちろん、とくに通訳者の場合はリスニングと瞬時に訳す能力が重要です。また、発音やアクセントを正確に理解する能力も、通訳においては欠かせません。
次に、異文化理解力も非常に重要といえるでしょう。言語だけでなく、文化的背景や社会的な文脈を理解していないと、ニュアンスが正しく伝わらないことがあります。通訳者や翻訳者は、ジョークや、地域ごとの特有の表現を理解し、適切な訳を選ぶ能力が求められます。
また、通訳者にとっては、集中力と瞬時の判断力が不可欠です。とくに、通訳は、一度に大量の情報を処理しなければならないため、状況に応じて素早く判断し、正確な訳を提供することが求められます。
一方、翻訳者は、時間をかけてでも正確さを求められますが、効率的に作業を進めるためには、集中力が重要です。さらに、リサーチスキルも非常に重要です。とくに、医療や法律、技術などの専門的な分野を扱う場合は、あまり使われない用語やフレーズが出てくることがあるため、適切なリサーチを行う能力が必要です。
なおm通訳者や翻訳者は、クライアントと良好なコミュニケーションを取ることが求められます。仕事の進行中に確認や質問を行い、納品時には修正やフィードバックに柔軟に対応する能力が必要です。フィードバックを受け入れ、次に活かす柔軟性も重要なスキルです。
通訳者や翻訳者には、タイムマネジメント能力も欠かせません。とくに、納期を守ることは非常に重要です。複数のプロジェクトを同時に進めることが多いため、優先順位を付けて効率よく作業を進める能力が求められます。
最後に、現代ではテクノロジーの活用も不可欠です。翻訳支援ツールを活用することで、効率的に仕事を進めることができます。通訳者も、音声認識ツールや録音を活用して、通訳技術を向上させることができます。
言語能力だけでなく、異文化理解、専門知識、テクノロジーの活用など、多岐にわたるスキルを磨くことが、優れた通訳者・翻訳者になるための鍵となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は「通訳者、翻訳者」をテーマに、実践で使えるフレーズに加え、実際の通訳シーンをロールプレイング形式で紹介しました。
通訳者や翻訳者は、英語スキルが高いことはもちろん、異文化理解や専門領域に関する知識も必要となります。正確に情報を伝えるためには、日頃から練習する必要があるでしょう。
これから通訳者や翻訳者を目指す人は、ぜひ今回の記事を参考にしてください。