ドラマや映画などで、映画を鑑賞するシーンで必ずと言っていいいほど登場するポップコーン。どうしてアメリカ人は映画鑑賞の際にポップコーンを食べるのでしょうか。また、日本のように塩バター味とは異なるフレーバーはあるのでしょうか。ここでは、アメリカでのポップコーンがどう食べられているか、家での作り方などを紹介していきます。アメリカのように、ポップコーンと映画で通な過ごし方をしてみましょう。

アメリカのポップコーンの特徴

アメリカのポップコーンの特徴

アメリカと日本では、ポップコーンの味付けや食べられ方、さらには文化的な位置づけに明確な違いがあります。

アメリカでは、ポップコーンは非常に日常的で身近なスナックとして食べられています。特に映画館では「映画といえばポップコーン」というほど深く結びついており、鑑賞中に大きなバケツサイズのポップコーンを片手に楽しむのが定番スタイルです。味付けの主流は塩味とバター味。映画館では人工バター風味のオイルをたっぷりかけた「バター・ポップコーン」が人気です。また、キャラメル味やチェダーチーズ味といったバリエーションも豊富で、甘いものとしょっぱいものを組み合わせた「シカゴスタイル」などの食べ方も親しまれています。

家庭でも電子レンジで手軽に作れるパックが普及しており、常にストックしてある家庭も少なくありません。スポーツ観戦やカーニバルなど、映画以外のイベントでもよく食べられており、まさに国民的スナックと言える存在です。

一方、日本ではポップコーンはアメリカほど日常的なものではなく、特定のシーンで楽しまれる傾向があります。映画館では定番のスナックではありますが、アメリカのように「必須アイテム」とまでは言えず、「あったらうれしい」くらいの存在です。

味付けに関してはキャラメル味が圧倒的に人気で、塩味とのミックスを注文する人も多く見られます。また、日本独自の進化として、醤油バターや抹茶、梅味といった和風フレーバーも登場しています。家庭での消費はアメリカほど一般的ではなく、完成品の袋入りポップコーンをスーパーで購入するか、お祭りの屋台やテーマパークなどで食べる機会が中心です。かつてはシカゴの「ギャレット ポップコーン」などの専門店が日本に期間限定でオープンし話題を集めたこともありましたが、ややブーム的な消費であり、定着は限定的でした。

なぜアメリカでは映画鑑賞の際にポップコーンを食べるのか?

アメリカでポップコーンが広く食べられている背景には、歴史的、文化的、そして経済的な要因がさまざまに深く関わっています。

まず、ポップコーンのルーツはアメリカ大陸そのものにあります。トウモロコシはアメリカ原産の作物であり、先住民たちはすでに何世紀も前から、ポップコーンのようにトウモロコシを加熱して弾けさせる調理法を用いていました。19世紀になると、ポップコーンの調理器具が開発され、サーカスや祭り、街頭などで販売されるようになり、一般の人々にとって手軽なおやつとして普及していきました。

特にポップコーンの消費が爆発的に広がったのは、1930年代の映画の黄金時代です。当時、アメリカは大恐慌の最中にあり、人々は安価で楽しめる娯楽として映画館に足を運んでいました。ポップコーンは安くてお腹にたまるスナックとして、映画鑑賞のお供にぴったりだったのです。さらに、第二次世界大戦中には砂糖が不足し、キャンディーやチョコレートの生産が制限されたため、代替としてポップコーンの消費がさらに増加しました。

経済的な側面でも、ポップコーンは非常に優れた商品です。原料となるトウモロコシは安価で、調理も簡単。保存性が高く、少量で大量に膨らむため、特に映画館では低コストで高い利益を出せる食品として重宝されました。そのため、映画館にとってポップコーンは単なるスナック以上の、重要な収入源となったのです。

参考:National Agricultural Library

最近人気のポップコーンフレーバー

最近人気のポップコーンフレーバー

アメリカでは、ポップコーンのフレーバーが多様化し、ユニークで個性的な味わいが人気を集めています。2024年には、伝統的な味から斬新な組み合わせまで、さまざまなフレーバーが登場し、消費者の好奇心を引きつけています。

例えば、アメリカでは「ピクルスブーム」が到来しており、ピクルス風味のポップコーンが人気を博しています。例えば、Orville Redenbacher’sの「Kettle Corn」や「Vlasic Dill Pickle」シーズニングが登場し、スパイシーで酸味のある味わいが特徴です。

参考:Better Homes&Gardens

 

また、Costcoで販売されている「Peanut Butter & Jelly Grape Popcorn」は、甘さと塩気が絶妙に調和した懐かしい味わいのスナックです 。

参考:The U.S. SUN

ヘルシーなポップコーンも

最近では、アメリカではヘルシー志向な人のためにヘルシーなポップコーンも増えています。例えば、エアポップ(油を使わず、熱風だけで弾かせる)タイプのポップコーンや、 バターを使わず、オリーブオイルやココナッツオイルで軽く風味づけした商品も増えています。また、無添加やオーガニック商品のポップコーンも健康を気にする方に人気です。

そもそも、ポップコーンは全粒穀物(whole grain)であり、食物繊維が豊富です。腸内環境を整えるヘルシースナックとして評価されています。

スーパーで手軽に自宅用ポップコーンを購入

アメリカではポップコーンはどこのスーパーでもごく一般的に買えます。ポップコーンはアメリカ人にとって非常に身近なスナックです。

電子レンジ用ポップコーン(Microwave Popcorn)

電子レンジ用ポップコーンは、アメリカの家庭で食べられるもっとも一般的なタイプです。個包装された紙袋に入っていて、電子レンジで加熱するだけで完成します。種類が豊富で、バター、ライト(低脂肪)、キャラメル、チーズ、ピクルス味などがありす。代表的なブランドとしては、Orville Redenbacher’s、Pop Secretなどがあります。

すでに弾かれた完成品タイプ(Ready-to-eat Popcorn)

どこにも持ち運べるように、開封してすぐに食べられるパック済みのポップコーンもたくさん販売されています。ヘルシー志向の商品や珍しいフレーバーが多いです。代表的なブランドとしては、SkinnyPop(低カロリー・オーガニック系)、Boom Chicka Pop(おしゃれ系+オーガニックあり)、Smartfood(チーズ味が有名)などがあります。

 トウモロコシの種(Kernels)

自分で鍋やエアポッパーで作る人向けに、トウモロコシの種そのものもはんばいされています。最近では、オーガニックや遺伝子組み換えでない(Non-GMO)のものも多く、健康志向の家庭に人気です。

“popcorn”を使った面白い英語表現

ここでは、”popcorn”を使った面白い英語の言い回しを紹介します。日常会話でも使えるので参考にしてみて下さい。

“grab the popcorn!” / “Get your popcorn!”

“grab the poprcorn” “get your popcorn”は、「(これから面白い展開が起きそうだから)ポップコーン片手に見物しよう!」という意味です。ネット上では、誰かのケンカや議論、ゴシップなどを見物して楽しもうとする時によく使われます。

 

Aさん
Uh oh, they started arguing again… Grab the popcorn!
訳)おっと、またコメント欄で口論が始まった… ポップコーン持ってこい!

“Popcorn brain”

たくさんの情報を一気に取り込もうとして、頭の中がパンパンになっている状態を”popcorn brain”と言います。主にスマホ依存やSNS疲れの文脈で使われることが多いです。脳がポップコーンのように次々と物事が弾けてしまうイメージです。

Aさん
I have been on TikTok all day. I have total popcorn brain.
訳)1日中TikTok見てたわ。完全にポップコーン脳になってる。

“Popcorn moment”

最初の”grab the popcorn”と同様のニュアンスで、”popcorn moment”は「これから何か面白いこと・ドラマチックな展開が起きそうな瞬間」のことを指します。ポップコーン持ちながら映画を見るように、じっくりその瞬間を観て楽しみたいという気持ちを表します。

 

Aさん
“This meeting just turned into a popcorn moment…
訳)この会議、急にドラマチックな展開になってきたね。

“popcorn”はワクワクする瞬間にぴったりの食べ物

ポップコーンは、アメリカでは映画やドラマをいる際に必須のワクワクするアイテムです。英語でも”popcorn moment”はワクワクする瞬間を指すフレーズで、楽しいイベントの手元にはいつもポップコーンがある様子を表します。日本でも、レンジで作るポップコーンが販売されているため、お家で自分の好みの味付けにして楽しんでみてください。