「ローカル鉄道」や「ローカル新聞」など、「ローカル」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。
都心部から離れた田園地域のようなイメージがある「ローカル」ですが、パソコンやインターネットにおけるIT用語としても使われているのを知っていますか?
「ローカル」は、英語”local”をそのままカタカナで読んだ言葉です。
日本語では田舎や地元といった意味で用いられることが多いですが、本来の英語”local”はどのような意味を持っているのでしょうか。
今回は、知っているようで知らないカタカナ言葉「ローカル」について、正しい意味と使い方、類義語を解説していきます。
「ローカル」の意味
「ローカル」とは、英語”local”をそのままカタカナで読んだ言葉で、「地域の」や「地元の」といった意味だけでなく、「局所的な」または「部分の」「現場の」などさまざまな意味を持っています。
その地域特有なもの、あるいは地域に限定されたものを指すときに形容詞として、地元の人や地域の事柄を指すときには名詞としても使用されます。
「ローカル」の使用例
・ローカルニュース(特定の地域のニュース) ・ローカル紙(特定の地域の新聞) ・ローカル線(特定の地域の電車・バス) ・ローカルフード(郷土料理) ・ローカルグルメ(ご当地グルメ) ・ローカルカラー(地域特有の風習) ・ローカルビジネス(特定の地域のビジネス) ・ローカル戦略(マーケティング手法)など |
「ローカル」は、しばしば世界的な規模であるさまを表す「グローバル」と対比されることもあります。
「グローバル」がとてつもなくも広い範囲を示すのに対し、「ローカル」は特定の地域やコミュニティにだけ焦点を当てた限定的な情報や活動を指しています。
IT用語の「ローカル」
特定の地域の特色を大切にする表現としての役割を持つ「ローカル」ですが、じつはIT用語としてもの側面も持っていると知っていましたか?
IT用語の「ローカル」は、ユーザーの手の届く範囲にある電子機器やその環境のことを意味した言葉です。
おもに、ネットワークや通信の話題で用いられる用語で、通常ネットワークに接続されていなくてもアクセスが可能な状態を表します。
「ローカル」なパソコン内にあるファイルは「ローカルファイル」、パソコン内のWebサイトは「ローカルサイト」、ユーザーは「ローカルユーザー」と呼ばれます。
IT用語としての「ローカル」の使用例
・ローカルネットワーク(限られたエリア内で接続されたデバイスのグループ) ・ローカルハードディスク(デバイスに直接接続されている外部の記憶装置) ・ローカルバス(データをやり取りするためのインターフェース規格の総称) ・ローカルキャッシュ(ネットワークへのアクセス高速化のために使用される手段)など |
上記に共通しているのは、どれも非常に限られた範囲を指している点です。
ちなみに、「ローカル」の対義語としては、ネットワークを通じて操作する「リモート」が挙げられます。
近年増えてきている「リモートワーク」は、その代表例といえますね。
”local”の意味
英語”local”には、形容詞と名詞2つの用法があり、辞書では以下のように定義されています。
【形容詞】
・場所の、土地の
・(特定の)地方の、地元の、…地方特有の
・特定の地方向けの
・(病気など)局所的な
・同一区内の、市内配達の
・(電話が)市内の、特定地域内の
・(急行などに対して)各駅停車の【名詞】
・普通列車バス、ローカル線
・(特定の)土地の人、地元住民 ※複数形locals
・地方記事ニュース、ローカル紙
・(ラジオ・テレビの)ローカル番組
・労働組合支部
・地方チーム球団 ※複数形locals
・地元近所のパブ、行きつけのパブ
・局所麻酔薬参考:Weblio英和辞書
【adjective】
・from、 existing in、 serving、 or responsible for a small area、 especially of a country
狭い地域、特に国から来た、その地域に存在する、その地域に奉仕する、その国に責任を持つ・limited to a particular part of the body
身体の特定の部位に限定される【noun】
・a person who lives in the particular small area
特定の狭い地域に住んでいる人・a pub near to where a person lives
人が住んでいる場所の近くにあるパブ・a train or bus that makes all or most of the stops along its route,
路線のすべて、あるいはほとんどの駅に停車する列車やバス・a division within a union representing people from a particular area
特定の地域の人々を代表する組合内の部門
狭い土地や限定された特定の地域を意味するとともに、そこに住んでいる人やお店、電車やバスなどのことも意味しているのがわかります。
病院や医療の現場では、「地方」や「地元」とは全く違うイメージで「局所麻酔」のことを指しますので、覚えておくと混乱せずに済みますよ。
local”の発音記号は、 /ˈloʊ.kəl/ で、カタカナでは「ロゥコウ」のように読みます。
わたしたちが普段使っている「ローカル」とは発音が違うため注意が必要です。
カタカナ言葉は、つい英語でもそのまま使ってしまいがちですが、発音や意味が異なる場合も多いので気をつけましょう。
”local”を使った例文
”local”には、形容詞と名詞2つの用法がありましたね。
いざというときにパッと言葉にできるよう、それぞれの使い方を例文で確認しておきましょう。
形容詞の”local”
”local”の形容詞としての使い方を例文で紹介します。
訳)地元の人なら、一番美味しいお店を知っているでしょう。
訳)わたしたちは、地元のビジネスを応援しています。
訳)彼は、ちょうど地元のテニスクラブに入会したばかりです。
訳)地元の新聞に車の広告が載っていました。
名詞の”local”
”local”の名詞としての使い方を例文で紹介します。
訳)このカフェは、地元の人にも観光客にも人気があります。
訳)このあたりに住んでいる人たちは、本当にゆったりのんびりと暮らしています。
訳)論文のために、地域住民へのインタビューが必要です。
訳)このあたりは、地元住民よりも観光客の方が多いです。
”local”の類義語
「地域の」「地元の」といった意味を持つ”local”は、他の英語に言い換えることも可能です。
”local”と同じような意味を持つ類義語を3つ紹介します。
それぞれのニュアンスの違いを理解し、文脈に応じて適切な表現を選んでいきましょう。
regional
”regional”は、「特定の地域の」や「地方の」という意味を持つ形容詞です。
地域特有の文化や慣習、環境、経済などを表現する際に使われます。
”local”よりも広い範囲を指し示す場合もあります。
訳)そのレストランは、地元の郷土料理に特化しています。
community
”community”は、日本語でもそのまま「コミュニティ」と訳されているように、「地域社会」を示す英語です。
”local”よりもさらに密で狭い人間関係を意味しており、共通の関心事を持った集団や仲間、その人たちの活動、場所などを表します。
訳)わたしたちのコミュニティでは、みんなが楽しめるイベントを企画するために一丸となっています。
neighborhood
”neighborhood”は、自分が住むエリアの近隣を意味する英語です。
”local”よりも狭い範囲を示しており、「隣近所」「近隣住民」などと訳されることもあります。
訳)わたしの近所は、とても静かで安全です。
まとめ
知っているようで知らないカタカナ言葉「ローカル」について、正しい意味と使い方、類義語を解説しました。
「ローカル」は、英語の”local”から来た言葉で、「特定の地域の」「地元の」「局所的の」などといった意味を持っています。
IT用語として使われることも多く、その場合はネットワークに接続されていなくてもアクセスが可能な状態を表します。
形容詞と名詞さらにIT用語としてもさまざまな意味を持つ「ローカル」。
英会話では、”local”の正しい解釈と発音に注意しながら使っていきましょう。
合わせて読みたいおすすめ関連記事: