ロシアの首都モスクワには、歴史と建築の結晶ともいえる場所があります。それが「クレムリンと赤の広場」。クレムリンは14世紀に築かれた城塞で、かつてはロシア皇帝の居城であり、正教の中枢でもありました。その足元に広がる赤の広場は、かつて商人たちが行き交った市場であり、今では世界中の観光客が集まるモスクワの象徴です。
この記事では、この世界遺産の魅力を、英語を交えてご紹介します。
モスクワのクレムリンと赤の広場とは?

モスクワ(Moscow)は、ロシアの首都にして最大の都市。人口は約1300万人と、ヨーロッパの都市の中でも特に規模が大きく、政治・経済・文化の中心地です。
そのモスクワの中心にあるのが「クレムリン(Kremlin)」。今なおロシア大統領府が置かれる、国家の中心地でもあります。
クレムリンとは?
「クレムリン(Kremlin)」という言葉は、ロシア語で「城塞」を意味します。モスクワのクレムリンは、5つの門と29の塔に囲まれた三角形の城壁を持つエリアです。
その起源は12世紀、ユーリー・ドルゴルーキー公が木造の要塞をモスクワ川沿いに築いたのが始まりです。14世紀にはモスクワ大公が石造りに改築。さらに15世紀にはイヴァン3世(イヴァン大帝)が、イタリア人建築家たちを招き、西欧の技術と東方正教の精神が融合した大聖堂や鐘楼を建設しました。
特に有名なのが次のような建物です。
- ウスペンスキー大聖堂
- アルハンゲリスキー大聖堂
- ブラゴヴェシチェンスキー大聖堂
- イヴァン大帝の鐘楼
さらに17世紀にはテレムノイ宮殿、19世紀には大統領府としても使われるクレムリン大宮殿が建設され、現在の姿になりました。
赤の広場とは?
クレムリンの東側に広がるのが「赤の広場(Red Square)」です。1493年、イヴァン3世がクレムリンの前の土地を整備したのが始まりとされています。
その後、赤の広場は政治的儀式や軍事パレード、公開処刑などの舞台となり、特にソ連時代には革命記念日の軍事パレードやメーデーの式典などが行われてきました。
「赤い(Красная)」はロシア語で「美しい」という意味も持ち、実際には「美しい広場」という意味合いも込められています。
映画やコンサートなどの舞台に
近年、赤の広場は文化イベントの会場としても活用されています。
- 1988年、アメリカ映画『レッドブル』が赤の広場で撮影
- 1993年、山本寛斎が12万人を動員するショーを開催
- 2003年、ポール・マッカートニーがコンサートを実施
- 2004年、日清カップヌードルのCMが撮影
アクセス方法
モスクワ市内からは地下鉄が便利です。地下鉄1号線の「Okhotny Ryad(オホトニー・リャード)」駅や、3号線の「Ploshchad Revolyutsii(革命広場)」駅から徒歩数分です。
モスクワのクレムリンと赤の広場の歴史的背景

この地は、モスクワの誕生とともに歴史を歩んできました。クレムリンはツァーリ(皇帝)や正教の宗教指導者たちの居所であり、赤の広場は民衆の生活とつながっていました。
ソ連時代には国家の象徴として厳格な管理下に置かれましたが、今では自由な文化の発信地としての役割も担っています。
世界遺産としての価値
「モスクワのクレムリンと赤の広場(Kremlin and Red Square, Moscow)」は1990年にユネスコ世界遺産に登録されました。
登録理由は?
ユネスコはこの場所を次のような理由で評価しています。
- 東西の建築文化の融合を示す顕著な例であること
- 政治・宗教・商業の中心地として歴史的役割を果たしてきたこと
- ソ連時代の象徴でもあり、20世紀の世界史と深い関係を持つこと
UNESCO World Heritage Convention:Kremlin and Red Square, Moscow
覚えておきたい英会話フレーズ
旅行中に歴史的な場所の感動を共有する会話を想定して、以下のようなフレーズを覚えておくと便利です。
訳)クレムリンがこんなに大きいとは思わなかった!
訳)ぼくも!まるで都市の中の都市だね。
訳)この大聖堂、本当に息をのむほど美しいわ。こんなに古いなんて信じられない!
訳)ほんとだね。15世紀に建てられたなんて信じられないよ。
訳)なんで“赤の広場”って呼ばれてるの?
訳)実は、昔のロシア語で“赤”は“美しい”って意味もあったんだよ。
クレムリンと赤の広場で絶対に見たい場所

広大な敷地に点在する壮麗な建物や庭園。それぞれにロシアの歴史が詰まっています。ここでは、訪問時に見逃せない注目スポットをご紹介します。
グラノヴィータヤ宮殿
15世紀末、イタリア人建築家マルコ・ルッフォとピエトロ・ソラーリによって建てられた格式ある宮殿です。外観の角ばった装飾が名前の由来で、「グラノヴィータヤ」とは「多くの角を持つ」という意味を持ちます。ここでは歴代の皇帝が外国の使節と面会し、国家の重要な儀式が行われてきました。
テレムノイ宮殿
17世紀に建てられたこの宮殿は、皇帝の居住空間として使用されました。2階建ての建物に後から3・4階を増築した構造で、色彩豊かな装飾タイルや細やかな木彫が特徴です。
クレムリン大宮殿
1839年から1849年にかけて建てられた巨大な宮殿で、現在はロシア大統領府としても使用されています。建物は新古典主義のスタイルを基調としており、黄金のドームと大理石の装飾が非常に豪華です。内部には大小の式典用ホールがあり、国の重要な式典や外交イベントが今もここで行われています。
大聖堂群
クレムリンの中心には、ロシア正教会を象徴する3つの大聖堂が建ち並び、信仰と権力の融合を感じさせます。
ウスペンスキー大聖堂
1475〜1479年にイタリア人建築家アリストーテレ・フィオラヴァンティによって建てられた壮麗な聖堂です。「ウスペンスキー」は「就寝=永眠」を意味し、聖母マリアに捧げられています。
アルハンゲリスキー大聖堂
1505〜1508年に建てられたこの聖堂は、大天使ミカエルに捧げられています。中にはイヴァン雷帝をはじめとした皇帝たちの墓があり、荘厳な雰囲気に包まれています。
ブラゴヴェシェンスキー大聖堂
1484〜1489年にかけてプスコフ出身のロシア人建築家たちによって建設されました。かつての皇帝たちの私的な礼拝所であり、内部には見事なイコノスタシス(聖画の壁)が残されています。
クレムリンの塔
城壁には20の塔があり、特に赤い星が輝くスパスカヤ塔などは夜景にも映えます。
赤の広場
聖ワシリィ大聖堂やグム百貨店など、美しい建築が広場を彩ります。現在は市民の憩いの場としても人気です。
おわりに:英語で世界遺産を旅しよう
モスクワの「クレムリンと赤の広場」は、ロシアの歴史、宗教、政治、文化の交差点。壮麗な建築と深い歴史を感じながら、英語でその魅力を語れたら、旅の楽しさは何倍にもなります。
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