東京オリンピックが開幕しました。本大会では、自転車競技も注目される種目になっていますね。自転車競技の歴史は古く、オリンピックでは第一回のアテネ大会から正式種目として採用されている伝統的な協議のひとつです。現在は、プロ選手の参加が認められていて、人気の高い種目です。そのような自転車競技は、種目ごとに英語の言い方も異なります。その言い方や意味、由来を知れば、より楽しく観戦ができる事でしょう。
自転車競技の種目を知りましょう。
オリンピックの自転車競技は、大きく4種目あります。まずは、アクロバティックなBMX、悪路の山道で着順を競うマウンテンバイク、各種トラック競技、そしてロードレースです。それでは、それぞれの種目ごとに、競技の内容や英語の言い方を説明していきましょう。
アメリカ生まれのBMX
BMXは、Bicycle motocross の略です。日本語にすると、自転車のモトクロスということですね。また、モトクロス(motocross)というのは、オートバイ(Motorcycler)によるクロスカントリー(cross-country)という意味です。つまり、BMXとは自転車で道なき荒野を走るクロスカントリーということになりますね。
1970年代に、カリフォルニア州の子どもたちが自転車でモトクロスの真似事をしたのが始まりと言われるBMXですが、オリンピックでは、レーシングとフリースタイル・パークの2種目が行われます。レーシングは英語表記もRacingで、その言葉の通り着順で勝敗を競います。高さ8mのランプと呼ばれる傾斜台から一斉にスタートし、ジャンプを繰り返しながら傾斜のついたコーナーを回っててゴールを目指す、とてもダイナミックな競技です。それに対してフリースタイル・パークは、バックフリップと呼ばれる後方宙返りや空中で車体を横回転させる技を競い合う採点競技です。フリースタイル・パークの英語表記はfreestyle park で、これは元々のコースがスケートパークだったことに由来しています。フリースタイル・パークのコースには、さまざまなジャンプ台が設置されていて、そこで競技が行われます。
とてもワイルドなマウンテンバイク
マウンテンバイクは、英語ではMountain bike、もしくはMountain bicycleといいます。どちらも、山道用の自転車という意味ですね。1970年代後半に、サンフランシスコ郊外のマリン郡でヒッピーたちが急こう配の山道を自転車で下りタイムを競ったのが、マウンテンバイクの始まりといわれています。そして、そのマリン郡にあるMount Tamalpais(タマルパイス山)で、当時最大のマウンテンバイクレースが開催されてたことから、マリン郡がマウンテンバイクの発祥の地とされています。
This mountain bike is suitable for running on mountain roads.
訳)このマウンテンバイクは、山道を走るのに適している。
マウンテンバイクもBMXと同じように悪路を走破する競技ですが、山岳地帯を長距離走れるように、サスペンションや強力なブレーキがついているのが特徴です。今回のオリンピックでは、全長2500メートル、高低差85メートルのオフロードコースを周回します。そして、トップ選手とのタイム差が基準以上になった選手はレースから脱落していく、とても過酷なサバイバルレースです。他の選手との駆け引きはもちろんのこと、急峻な下り坂や鋭角なカーブなどの悪路を、圧倒的なスピードと巧みなバランスで乗り越えていく体力と技術が試される競技です。
たくさんの種目があるトラック競技
傾斜のついたコースを周回するトラック競技では、自転車競技の中でもっとも多い種目が実施されます。大きくは、スプリント、パシュート、マディソン、オムニアム、そしてケイリンの5種目に分類されます。それでは、それぞれの種目について詳しく説明していきましょう。
1対1で競うスプリント
スプリントは、英語でsprintと表記します。sprintのもともとの意味は、陸上競技の短距離走ですね。また、「全力疾走する」、「ダッシュする」といった意味もあります。その意味の通り、自転車競技のスプリントは男子は1km、女子は500mの距離を最速のタイムで走り抜ける競技です。そのときの最高速度は60km/hに迫りますから、まさにsprintですね。また、空気抵抗の多い先頭をいかに避けながらレースを展開するのかも重要で、その駆け引きもスプリントの大きな見どころです。
中・長距離種目のパシュート
スプリントよりも長い距離で競うのがパシュートです。英語ではpursuitと表記します。もともとは追跡、追撃という意味の英語ですね。相対する選手が、それぞれホームストレッチとバックストレッチからスタートして、相手選手をpursuit(追跡、追撃)する競技です。pursuitという用語の本来の意味が分かると、ルールの理解もより深まりますね。パシュートには、個人戦と団体戦があります。団体戦はチームが一列となり、空気抵抗の影響を少なくするために途中でフォーメーションを変更しながらトラックを疾走します。そのチームワークも観戦のみどころになります。
新競技のマディソン
本大会から新たに加わったマディソンは、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで人気種目だった競技です。そこから、競技名もMadisonとなりました。男子50km、女子30kmを、2人1組交代で走ります。この選手交代を、専門用語でchangeoverといいます。changeoverのときに走行中の選手が交代する選手の手を引き勢いをつけてトラックに戻すハンドスリングが、マディソンの最大の見所です。
複合競技のオムニアム
一斉スタートで着順を競うスクラッチや、周回ごとに得点するテンポレースなど4種目のトラックレースの合計得点を競うのがオムニアム(omnium)です。この言葉はラテン語で、すべて、全部の意味になります。その言葉の通り、スピード、持久力、駆け引きなど、選手の総合力が問われる競技です。
日本が発祥のケイリン
そして最後はケイリンです。英語表記もKEIRINで、語源は日本語の競輪です。2000年のシドニー大会で採用された新しい種目ですね。1周250mのトラックを6周します。前半3周は電動オートバイが先導することで選手は風圧を避けながらスピードを上げ、残り3周で電動オートバイが離脱したところで勝負になります。先導するオートバイは、英語ではpacemakerと言います。もともとは、陸上競技で先頭に立ちペースを作る人のことですね。ケイリンは、ベストポジションをキープするための駆け引きと、ラスト1周におけるスタートダッシュが最大の見どころです。
自転車競技の花形、ロードレース
そして最後は、一般道を数百kmも走り着順を競うロードレースです。英語では、road bicycle racing といいます。また、自転車に乗るという意味のcyclingが使われることもあります。オリンピックの公式サイトでは、Cycling Road と表示されていますね。どちらでも意味は通じますが、確実に相手に伝えたいときは、road bicycle racing を使うようにしましょう。
東京大会のロードレースは、一都三県にまたがって行われます。スタートは東京都の武蔵の森公園で、神奈川県と山梨県を経由して静岡県の富士スピードウェイがゴールになります。男子は244km、女子は147kmの距離を走り切ります。男子の獲得標高は約4865mにもなり、これはフランスの名峰モンブランに匹敵します。また、女子の獲得標高も約2692mであり、猛暑の中での壮絶なサバイバル戦になることが予想されています。
競技以外の用語について
競技以外にも、自転車競技にはいろいろな用語が使われています。たとえば、自転車競技の監督は、英語ではSpots directors、もしくはTeam Manager といいます。一般的に、スポーツの監督はhead coachということが多いのですが、自転車競技の場合は少し違っているようですね。また、コーチは英語でもcoach、あるいはassistant coachというようです
英語の言い方や本来の意味を知ると、自転車競技の理解がより深まります。
以上、自転車競技について、競技名や用語を英語でなんというのか説明してきました。自転車競技は種目も多く、どのような競技なのか分かりづらい部分も多いと思います。そのようなとき、英語で本来の意味を知ると、競技の内容やルールがより詳しく理解できますね。そして、競技のことを深く知れば、より一層観戦が楽しめると思います。