日本語で会話をしているとき、「障害」という言葉を口にすることもあるでしょう。
しかし、よくよく考えてみると、「障害」という言葉には色々な意味がありますよね。ですから、英語で「障害」にあたる言葉を言いたい時には、しっかり使い分けるようにしなければなりません。

そこで今回は意味別に「障害」を意味する言葉を解説していきます。「この障害はなんて言ったらいいんだろう?」と疑問に思ったことがある人は、ぜひ参考にしてください。

「障害」にあたる英語はたくさんある!

日本語だと「障害」と言えばよいだけの言葉も、英語にすると、たくさんの言葉が出てきます。これは、私たちが日本語で「障害」と言っているとき、その「障害」を意味するもの、指し示すものが、シチュエーションによってかなり異なるからです。

「障害」にあたる英単語を1つだけ覚えて、日本語で「障害」という時に直訳のように当てはめても、全く伝わらないこともあります。これは、英語では全く別の単語があるからですね。

英語に限らず外国語を学ぶときには、日本語では1つの言葉で言えることにたくさんの単語があったり、逆に日本語でたくさんの言葉がある言葉に対して、1つの単語だけがあったりすることがあります。
ですから、安易に「障害=〇〇」として覚えず、ニュアンスや意味別にしっかり単語を調べることが重要なのです。

では次からは、ニュアンスや意味別に「障害」にあたる英語表現をご紹介していきます。

物理的な進行・前進などを妨げる「障害」

物理的な進行・前進などを妨げる「障害」

まずは、「障害物」と言うこともできるような、物理的に進行や前進の妨げをする「障害」にあたる英語表現をご紹介します。物理的な障害物という意味の「障害」には、下記のリストのような言葉が使われます。

  • obstacle
  • blockage
  • barrier

Obstacleは物理的・精神的なものを問わず、何かの進行を妨げる「障害」としてとても使いやすい言葉ですね。
物理的なものであれば、たとえば「There were too many obstacles on the road.(道路に障害物がかなりたくさんありました。)」のように使えます。

Blockageは、「ブロック」というニュアンスの障害です。何かの動きを止める、塞ぐ物理的な「障害」として使います。
Barrierは「バリア」ですが、blockageと同様に、何かを塞いだり、物理的な進行を妨げる「障害」として使えます。

行動や解決などを妨げる「障害」

行動や解決などを妨げる「障害」

次は精神的な「障害」、行動や解決を妨げる問題的な意味の「障害」をみてみましょう。

  • difficulty
  • hurdle
  • obstacle

Difficultyは「困難」という意味ですが、何かの進行・前進・解決を妨げる「障害」としても使われます。
たとえば「We have difficulties to overcome.(私たちには、乗り越えなければならない障害があります。)」といった感じです。

Hurdleは日本語でも使うハードルです。ハードル競争のハードルのことですが、日本語でも「障害」の意味で比喩的に使われるのと同様に、英語でもhurdleという言葉を乗り越えるべき「障害」という意味で比喩的に使います。

そして、ここでもobstacleが出てきていますが、obstacleは物理的な「障害」にも精神的な「障害」にも使える言葉です。たとえば、「My biggest obstacle is fear for the new things.(私の最大の障害は、新しいものに対する恐怖心です)」という風に使うことができます。

システム障害など機械のエラーを表す「障害」

ここまでの「障害」は何かを妨害するようなものでしたが、システム障害の「障害」などには、全く別の言葉を使います。

  • system failure(システム障害)
  • network failure(ネットワーク障害)
  • communication disturbance(通信障害)
  • outage(システム障害などでダウンして全く使えない状態)

IT・機械関連の障害だと、failureやdisturbanceという言葉が使われ、全く使えない状態になった「システム障害」や「通信障害」はoutageと言い表されます。

身体的・精神的な「障害」

身体的・精神的な「障害」

身体障害者・精神障害者が持つ症状や状態を表す「障害」はかなりセンシティブな話題です。障害者の持つ「障害」にあたる英単語を下記にリストアップしたので、まずはこちらをご覧ください。

  • handicap
  • disability
  • disorder
  • difficulty

センシティブな話題になるため、1つずつ丁寧に説明していきます。

Handicap

日本語で「ハンデをあげる」などのように使われるあの「ハンデ」はこちらの単語から来ているので、馴染みがある人もいるでしょう。スポーツやゲームなどで実力差を調整するために、用いられるもののことですね。
また、ハンディキャップには立場を不利にする条件や状態、弱者から見た強者との差という意味もあります。
それが転じて、身体障害などの「障害」にも使われるようになりました。ちなみに「障害者」だと「handicapped person」となります。

ただ、こちらの単語は蔑視としてとられることも多く、現在ではあまり好んで使われていません。ネイティブの中に使う人もいるかもしれませんが、自分では使わないようにしましょう。
ただし、ネイティブでもhandicapを身体・精神的な障害の意味として使う人はいますから、覚えておくことをおすすめします。

Disability

現在身体的・精神的な「障害」としてよく使われているのは、こちらのdisabilityの方です。「障害者」とするなら、disabledとなります。

一般的に使われている言葉なので使っても問題ありませんが、使い所や使い方には注意しましょう。
日本語でも言わないなと思ったら、言わない方が無難です。一般的に使われていると言いつつも、このdisability・disabledという表現を嫌う人もいるからです。

Disorder

Disorderは体の障害というよりも、精神的な障害に使われることが多いです。たとえば「mental disorder(精神障害)」のような使い方をします。

また、「パニック障害」は「panic disorder」と言いますし、「発達障害」だと「developmental disorder」とします。
「障害」というよりは、不調や軽い病気のようにとらえるとわかりやすいかもしれません。

Difficulty

Difficultyには、困難・難しさといった意味がありますが、身体的・精神的な「障害」にも使われる言葉です。
従来使われていた、blind(視覚障害)やdeaf(聴覚障害)を差別的な表現だとみなす人たちの間で、好まれる表現で、最近ではこちらを使うことが多くなっているようです。

たとえば、視覚障害は「seeing difficulties」、聴覚障害は「hearing difficulties」といいます。

伝えたい意味に合わせて「障害」を使い分けよう

今回は「障害」にあたる代表的な英単語を、ジャンル別にご紹介しましたが、まだまだ「障害」にあたる英単語はあります。言葉によっては、全く別の意味を持つことがありますから、それぞれニュアンスの違いなどを正確に理解して、使いわけるようにしましょう。

特に、心身の障害を言い表す時には、細心の注意を払うようにしてくださいね。