この「ことわざ」、「英語」で何と言う?シリーズ、今回は、「高低」のつく「ことわざ」を英語に翻訳してみました。

「高い」とは、数量や程度などが大きいことをいい、反対に「低い」とは、数量や程度が小さいことを言います。この2つの差を「高低差」といい、高低差がある程、でこぼこしていることを現すことができます。

そんな「高低」のつく「ことわざ」を今回は5つ選んで英語に訳しました。

1. 武士は食わねど高楊枝

1. 武士は食わねど高楊枝

武士は空腹でも楊枝を口にくわえることで、満腹であることを演出していたといいます。「武士は食わねど高楊枝」は、そんな武士の姿に例え、貧しくても気品高く悠然としていることを意味する「ことわざ」です。

英語では
“A samurai uses a toothpick even when he doesn’t have anything to eat.”
と翻訳することができます。

直訳すると「武士は食べるものが何もない時でさえ、楊枝を使う」という意味で、英語ではこの「ことわざ」が使えます。江戸時代、武士は「士農工商」という身分制度の一番高い位に置かれ、日本を統治する階級でしたが、すべての武士が裕福だとは限らず、貧しい武士もいました。しかし、武士は身分制度の最高位に置かれているので、気品とプライドを持っていたようです。

”samurai”は「武士の」の意味で、”The Last Samurai”という映画もありましたね。「何も食べるものがない」は、”not have anything to eat”で表現できます。

「武士は食わねど高楊枝」ということわざは、「武士は困難な状況でも決して弱みを見せない」という表現でも言い表すことができます。それを英語にすると、このようになります。

“A samurai never shows his weakness even when he is in a difficult situation.”

この表現を対話文の中で使ってみましょう。

Aさん
Dad, how did you handle everything when Mom was in the hospital?
訳)母さんが入院していたとき、父さんはどんなふうにすべてのことに対処したの?
Bさん
It wasn’t easy … but I never wanted to show my weakness even in a difficult situation. I had to be strong—for you.
訳)それはたやすくなかった… でも、困難な状況でも自分の弱みを見せたくなかった。おまえのために強くならなきゃいけなかったんだ。

2. 高嶺の花

2. 高嶺の花

「高嶺の花」とは、見えるだけで手折ることのできない花に例え、手の届かない人やものを指していることを意味する「ことわざ」です。

英語では
“S is out of one’s league”
と翻訳することができます。

直訳すると、「Sは~のリーグの外」ですが、手が届かない人やものを指すときに使える表現です。

「高嶺の花」の別の英語表現としては、こちらも使えます。
“S is too good for me.”

直訳すると、「Sは私にとっては良すぎる」となります。

上記の表現を対話文の中で使ってみましょう。

Aさん
Why don’t you confess your love to the woman you’ve been in love with?
訳)ずっと想いを寄せている女性になぜ愛の告白をしないの?
Bさん
Well, she is too good for me.
訳)う~ん。彼女は高嶺の花だよ。
Aさん
I don’t think so. She is not out of your league.
訳)私はそうは思わないわ。彼女はあなたにとって高嶺の花じゃないよ。

3. 低き処に水溜る

「低き所に水溜まる」は、利益のある所には自然に人が集まってくることを意味する「ことわざ」です。

英語では
“Water pools in low places.”
と翻訳することができます。

”pool”はここでは自動詞で「溜まる」という意味です。

Aさん
Why’s the basement always the first to flood?
訳)なぜ地下は洪水の被害に遭う一番の場所になるの?
Bさん
Water pools in lower places. It always finds the lowest ground.
訳)低き所に水溜まるだよ。水はいつも最も低い地面を見つけるんだ。

4. 高みの見物

4. 高みの見物

「高みの見物」は、利害の及ばない高いところで見物することを意味する「ことわざ」です。もともと「高みの見物」は、高い場所から下を見下ろすように眺めることを指していましたが、それが転じて、自分には直接関係ない事柄を、他人事として楽しそうに見る様子を表す言葉として使われるようになりました。

英語では
“To see it rain is better than to be in it.”
と翻訳することができます。

”A is better than B”は「BよりもAするほうが良い」という意味であり、直訳すると「雨に降られるよりも雨を見ているほうがいい」となります。

別の英語表現もできます。

“look down at … from a distance”
「遠くから … を見下ろす」という意味になります。

この表現を対話文の中で使ってみましょう。

Aさん
It’s eerie how calm everything looks from up here.
訳)ここから見ると、すべてが落ち着いて見えるのが不気味だよ。
Bさん
Yeah, when you look down at the world from a distance, it’s easy to forget what’s really happening on the ground.
訳)そう、遠くから世界を見下ろしていると、地上で実際に起きていることを忘れてしまうのは簡単だね。

5. 眼高手低

「眼高手低」とは、見る目は高いが、実力は伴わないことを意味します。つまり、鑑識眼はあって批評するけれど、スキルはあまり高くないということですね。

英語では

”S has a high standard but a little ability.”
と翻訳することができます。

別の英語表現では

“S is good at criticizing but hopeless at getting anything done.”
とも翻訳することができます。

直訳すると、「批判するのは上手だけど、何かを成し遂げるのは絶望的だ」という意味です。

この表現を対話文の中で使ってみましょう。

Aさん
Why is Derek always criticizing everyone’s work?
訳)なぜデレックはいつもみんなの仕事を批判してるの?
Bさん
You know how it is—he has a high standard but a little ability. Loudest one in the room is the weakest one to show for the project.
訳)どんな感じか知っているだろ。彼は高い基準は持っているけど、能力が低いんだ。その部屋で最も騒がしいけど、プロジェクトのために示すものは弱いよ。

まとめ

今回は、「高低」のつく言葉にまつわる「ことわざ」をまとめてみました。

「高い」がつく「ことわざ」は、「高根の花」や「高みの見物」など日常生活でも用いられる「ことわざ」が多いですね。英語での表現もばっちり覚えておきましょう!  対話表現の中で、その英語表現を使う実例も提示しているので、参考にしてみてください。

今後も様々な「ことわざ」や「名言」を翻訳していきますので、お楽しみに!