アレスとはギリシャ神話において、戦争での狂気を神格化した神でオリュンポス十二神の中でも一、二を争うほどの美形だったと言われています。ギリシャ神話で語り継がれる戦争で、数々のエピソードを残したアレスの性格や他の神々との関わりはどのようなものだったのか。この記事では荒ぶる神アレスの正体を英語を交えて解説します。

アレスとは?

アレスはギリシャ神話に登場する戦争の神で、オリュンポス十二神の一柱です。ローマ神話では「マルス」という神に相当し、「火星」の名前の元となりました。ギリシャ神話においては荒々しい戦争の側面を象徴します。彼はゼウスとヘラの息子であり、血気盛んで攻撃的な性格を持つ神として描かれています。
アレスは戦いの暴力や混乱を司り、戦略的な知性を持つ神「アテナ」に対して、純粋な力や破壊を象徴する存在です。ギリシャではあまり人気がありませんでしたが、ローマでは軍事の守護神として広く崇拝されました。

英語での説明:

Ares is the Greek god of war, one of the twelve Olympian gods. In Roman myths, people call him Mars, and the planet Mars is named after him.
In Greek myths, he represents the violent and brutal side of war. He is the son of Zeus and Hera, and he is aggressive and hot-tempered personality.

Ares is the god of violence and chaos in battle. Unlike Athena, who is the goddess of strategic warfare and wisdom, Ares represents pure force and destruction.
While he wasn’t very popular in Greece, he was widely worshiped in Rome as the patron god of the military.

参考記事:Ares Myths 1 General

アレスの神話とエピソード

アレスの神話とエピソード

アレスの戦いと恋愛のエピソードについて解説します。交戦的な性格は当時のギリシャ人にはあまり好かれていなかったようで、常にアレスが不利な立場に追いやられる話が多いようです。

1.アフロディーテとの関係

アレスは愛と美の女神アフロディーテとの不倫関係で有名です。彼女は鍛冶の神、ヘパイストスの妻でしたが、アレスと密かに恋仲になりました。しかし、ヘパイストスは二人を捕まえるために巧妙な罠を仕掛け、彼らを金の網で捕らえ、裸のまま他の神々に晒しました。金網から解放されたのち、アレスはその恥ずかしさから走るように逃げていったと言われています。

英語での説明:

Ares is also famous for his love affair with Aphrodite, the goddess of love and beauty. She was married to Hephaestus, the god of blacksmiths, but she secretly loved Ares.
Hephaestus found out about their affair and made a clever trap to catch them. He used a wire net to trap them naked in bed, and then he showed them to the other gods. Ares was so embarrassed that he ran away.

2.トロイア戦争での役割

アレスは「イリアス」において、トロイア側を支援する戦争神として登場します。しかし、アテナとディオメデスとの戦いでは、ディオメデスの放った槍をアテナが導き、アレスの下腹部に突き刺したのでした。アテナとディオメデスに打ち負かされたアレスは、戦場から退くことになります。退却する途中で、アテナは追撃を与えます。黒い大岩をアレスの頭を目掛けて投げつけたのです。この戦争ではアレスはことごとくアテナに敗北したのでした。

英語での説明:

In the “Iliad” story, Ares helps the Trojans in the war. But when he fights Athena and Diomedes, he loses. Athena guides Diomedes’ spear, and it hits Ares in the stomach. Ares has to leave the battlefield.
As he runs away, Athena throws a big black rock at his head. Ares loses every fight against Athena in this war.

3.アロアダイ兄弟との戦い

9歳になったアロアダイの双子の兄弟は、かつて神々に戦いを挑みました。その戦いの中で、アレスは双子の巨人オトリスとエピアルテスに捕らえられ、青銅の壺に13か月間閉じ込められました。アレスが息絶える寸前のところで、ヘルメスによって救出され一命を取り留めることとなりました。

英語での説明:

Two giant twin brothers aged nine, Otus and Ephialtes, tried to fight the gods. Their name was the Aloadai. During the fight, the twins captured Ares and locked him in a bronze jar for thirteen months.
Ares was almost dead when Hermes rescued him. Hermes saved Ares’ life.

4. ディオメデスとの戦い

トロイア戦争では、アレスはギリシャ軍の英雄ディオメデスと対決しました。アテナの加護を受けたディオメデスは勇敢にアレスに立ち向かい、彼を負傷させます。アレスは戦場を去り、オリュンポスに戻ってゼウスに助けを求めました。この話は、アテナの知略がアレスの力に勝ることを示しています。

英語での説明:

During the Trojan War, Ares fought against Diomedes, a hero from the Greek army. Athena, the goddess of wisdom and war helped Diomedes. Diomedes bravely fought Ares and hurt him.
Ares had to leave the battlefield and went back to Mount Olympus to ask Zeus for help. This story shows that Athena’s cleverness and strategy are stronger than Ares’s brute force.

5. ヘラクレスとの対決

アレスの息子、キュクノスはデルフォイへの巡礼者を襲撃していました。業を煮やしたアポロンがヘラクレスに命じてキュクノスの討伐をさせました。ヘラクレスがアレスの息子キュクノスを殺したことで、アレスは怒り狂い、ヘラクレスに戦いを挑みます。しかし、ゼウスが雷光を放ち仲介したことで、両者引き分けたとされています。

英語での説明:

Ares’s son, Cycnus, used to attack people traveling to Delphi. Apollon got angry and told Hercules to kill Cycnus. Hercules killed Cycnus, and Ares was furious.
Ares challenged Hercules to a fight. But Zeus stopped them by throwing lightning bolts. So, they didn’t finish the fight.

アレスのシンボルと崇拝

アレスとは?

アレスの象徴は、盾、槍、そして戦士の兜です。彼の息子には、恐怖を意味する「デイモス」と恐慌を意味する「フォボス」がいます。これらの神霊はアレスの従者として戦場に恐怖を与えたとされています。
古代ギリシャではアレスの崇拝は限定的でしたが、スパルタでは彼を軍事の守護神として特に重視しました。一方、ローマでは彼は国家の守護者として「マルス」と呼ばれ、より崇拝されました。

アレスとアテナの対比

アレスは戦争の暴力的で本能的な側面を象徴するのに対し、アテナは戦略や知恵を伴う戦争を司ります。この二神の対比はギリシャ神話における戦争観の違いを表しています。アテナが冷静で計算された勝利を重視するのに対し、アレスは混沌と破壊を楽しむ神として描かれます。

まとめ

アレスはギリシャ神話における戦争と暴力の象徴であり、情熱的で攻撃的な性格を持つ神です。アフロディーテとの恋愛やトロイア戦争での敗走は有名です。ギリシャでは人気がなかったものの、ローマでは国家の守護者として重要視されました。
現代でもアレスの名前は戦争や闘争の象徴として語り継がれており、ギリシャ神話における重要な存在として多くの作品に影響を与え続けています。