日本ではクレームという言葉を苦情という意味で使いますが、実は英語では全然違う意味だって知ってましたか?
ということで、今回のテーマは「苦情(クレーム)」です。英語で苦情を何と言うのか、クレームという英単語が本来どういう意味なのか、そしてクレームに関する英語表現について、たくさんの例文を交えて説明していきます。
これを読めば、英語でクレームを言う場合も対応する場合も役立つ知識が得られますよ。
それでは、早速始めていきましょう!
「苦情」は英語で何て言う?
「苦情」を英語で表現するなら “complain” が適切です。発音は「kəmpléɪn(kʌˈmpleɪn)」、カタカナで表記すると「カンプレイン」となります。
complain はラテン語由来の単語で、「com(共に)+plain(嘆く)」から「共に嘆く」となり、そこから「不平不満を言う、愚痴をこぼす」という意味で使われるようになりました。
会社などへの苦情にはもちろん、仲間内でのカジュアルな会話でも使える表現です。
「苦情を言う」という動詞で使う場合は complain のままで、「苦情」という名詞で使いたい場合は “complaint” という形になります。
You are always complaining.
訳)あなたっていつも不満ばかり言うのね。
You are always making complaints about me.
訳)君はいつも僕についての苦情ばっかりだね。
クレーム= claim じゃない?
日本語では苦情のことをカタカナ英語で「クレーム」と表現しますが、英語の claim という単語には苦情という意味はないので注意が必要です。つまり、日本語のクレームはいわゆる和製英語ということになります。クレームの意味で claim を使うのは絶対NGですよ。
claim の英語での正しい意味は「主張する」です。「叫ぶ」というのが原義なので、声高らかに宣言するようなイメージの単語です。insist や assert とほぼ同じ意味で使われます。
I claimed my innocence in court.
訳)私は法廷で無実を主張しました。
Some doctors claim that excessive exercise does harm for our bodies.
訳)過度な運動は私たちの身体に害を及ぼすと主張する医者もいます。
The health food claims a dieting effect.
訳)その健康食品はダイエット効果があると主張しています。
ただし、claim でポイントとなるのは「本当かどうかはわからない」ということ。
自信ありげに強く主張していれば一律に claim を使うことが可能なので、その内容が正しいか否かについては、根拠を確かめるなどしてしっかり見極める必要があります。
Our father claims that many girls got crazy with him in his youth days.
訳)お父さん、若いころはモテて仕方なかったって言ってるよ。
For real? It sounds fishy.
訳)まじ?なんかうさんくさいな。
なぜ「クレーム」という和製英語が生まれたのか?
日本でなぜ苦情のことをクレームと言うのか、その正確な経緯は不明です。しかし、日本は和を尊ぶお国柄であるため、声高に主張すること即ち苦情であると文化があり、それが原因で誤訳に繋がったのではないかと推測されます。
The customer is claiming to return the product.
訳)そのお客さんが製品を返品したいと主張してるんですが。
Umm…
訳)うーん(確かにあの人いつも苦情言ってるもんなー…)
「泣き寝入り」なんて言葉もあるくらい、日本人は主張するのが苦手な民族です。不本意なことを受け入れないよう、自分の思うことはしっかり主張(claim)していくようにしましょう。
「苦情(クレーム)」に関連する表現
続いては、苦情(クレーム)に関連する表現について確認していきましょう。
英語で苦情を言いたい場合も、反対に苦情に対応しなければいけない場合も、適切な表現を知っていればスムーズに事が運ぶはずです。
※何度も「苦情(クレーム)と併記し続けるとわずらわしいので、ここからは苦情という意味合いでクレームと表記していきます。
クレームを言う in English
「~についてクレームを言う」という場合は、以下の2通りのいずれかを使いましょう。
- complain about ~
- make a complaint about ~
先述の通り、日本人はクレームを言うことが苦手です。しかし、正しいクレームは自分にとってのみならず、相手にとっても有益なものです。明らかにおかしい、改善した方が良いと思われることがあれば、ぜひ率先して意見を発するようにしましょう(程度にはよりますが…)。
I complain about products of the company every day!
訳)私は毎日その会社の製品にクレームを入れてるの!
You are going too far.
訳)やりすぎだよ。
クレーマー in English
ただただ苦情を言ってくるという意味でのクレーマーであれば、”complainer” と表現します。ただし、これには「いつも不満ばかり言っている人」というマイナスのイメージが含まれます。
その一方、製品やサービスに満足しておらず、より良いものを得るための権利としてクレームを言っている人の場合は “dissatisfied customer” と呼ぶのが適切です。直訳すると「不満を持っている顧客」となります。
彼らのクレームは会社や自分にとって有益なものであることが多いです。クレームだからと一括りにせず、1つひとつに真摯に対応することが大切です。
My mother is a complainer to me. She always says, “Be a good girl.”
訳)うちのお母さんって私に対してクレーマーで、いつも「良い子にしなさい」ってうるさいの。
Maybe, she is not a complainer, but a dissatisfied customer. You should listen to her.
訳)それはたぶん質の良いクレーマーだよ。お母さんの言うことにしっかり耳を傾けなよ。
クレーム対応 in English
クレームに対応する場合、動詞としては “deal with” か “handle” を使うのが適切です。
I have to deal with about 1,000 customer complaints a day.
訳)1日に約1,000件のクレームに対応しなきゃなんだよね。
What a terrible job!
訳)なにそれブラック過ぎ!
まとめ
今回は、苦情(クレーム)について説明してきました。
日本語で使われるクレームは和製英語なので、英語としては通じません。苦情なら complain、意見の主張なら claim としっかり使い分けていきましょう。
苦情というとどうしても悪いイメージが付きまといますが、中には自分自身を高めるためのヒントになるものも含まれます。他人から苦情を言われたら、成長するための1つの機会と捉えてみるのも良いかもしれませんよ。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!