キャリアアップや収入アップを目指すのに転職は有効な手段のひとつですね。

転職活動で大きくアピールできるポイントのひとつに「英語力」があります。

この記事では、転職活動で英語力がどんな風に有効に働くのか、英語力が活かせる求人はどんなものがあるのかをお伝えします。

なぜ今、転職市場で英語力が重要視されているのか?

転職

現代の日本の転職市場において、英語力の重要性が急速に高まっています。この傾向の背景には、グローバル化の進展、外国人労働者の増加、そして英語力がキャリアの選択肢を拡大させる要因があります。

グローバル化で英語が必須スキルに

近年、日本の職場環境は急速に国際化しています。グローバル化の影響は私たちの日常生活にも及んでおり、都会だけではなく地方でも英語を使った仕事の求人が目につくようになりました。

例えば、地元の製造業が海外と取引ができる人材を求めたり、地方の病院や役所が外国人住民のサポートのため英語対応ができる職員を募集したりしています。

このような変化により、転職市場でも英語力のある人材への需要がより高まると同時に、多くの職場で求められる基本的な能力の1つとして認識されつつあります。

転職活動において英語力をアピールすることで、より幅広い選択肢と、より良い条件での就職につながる可能性が高まるのです。

また外国人労働者の増加も英語を求められる理由のひとつです。厚生労働省の統計によると、2023年10月末時点で外国人労働者数は約204万人に達し、過去最高を更新しています。

このような環境の中で、英語は職場でのコミュニケーションツールとして必須のスキルになりつつあります。英語力は、もはや海外出張する人だけのスキルではありません。地元の企業でも、外国人同僚とチームワークを発揮したり、海外の取引先とやり取りしたりする機会が増えているのです。

参考:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)

英語力でキャリアの選択肢が拡大

英語力は、大企業や海外関連の仕事だけでなく、地域に根ざした身近な職種でも重要になってきています。より身近な職種での具体例を挙げてみましょう。

  • 小売・サービス業:観光地の店舗で外国人客への対応
  • 中小製造業:海外取引や展示会での交渉
  • 農業・漁業:特産品の海外販売
  • 医療・福祉:外国人患者への対応や医療通訳
  • 不動産:外国人居住者向けサービス

英語力は地方でも活かせる重要なスキルとなっており、キャリアの選択肢を大きく広げる可能性があります。英語を身につけることで、地域社会でも貴重な人材として活躍できるチャンスが増えています。

スキルや専門分野で差別化

英語力は、単に外国人とコミュニケーションを取るためだけのツールではありません。英語ができることで、最新情報にアクセスでき、さまざまな考え方に触れることができます。そうすることで新しいアイデアが生まれやすくなり、問題解決能力もアップするのです。

例えば、料理人なら海外で人気のレシピをすぐに知ることができ、美容師なら最新のヘアスタイルや技術をいち早く取り入れられます。このように、英語は自分の専門分野でアップデートを続けるための強力なツールとなります。

英語力を磨くことで、単に言葉が話せるだけでなく、常に新しい知識を吸収し、自己成長できる人材になれます。その結果、より魅力的な職場や、やりがいのあるポジションへの転職チャンスが広がるでしょう。

採用担当者が期待する英語力とは?

転職活動で採用担当者が期待する英語力は、日本で最も有力な英語資格のひとつであるTOEICを運営するIIBCが公開しているデータから見てとることができます。

採用担当者が転職希望者に期待するTOEICスコア

転職活動で採用担当者が期待する英語力の目安として、一般中途採用社員にはTOEIC560点程度海外部門社員にはTOEIC690点程度が期待されているといえます。

日本で最も有力な英語資格のひとつであるTOEICを運営するIIBCが公開しているデータによると、採用する企業や団体側が求めるTOEICスコアの平均が、一般中途社員は560点、海外部門の社員は690点であることがわかります。(出典:IIBC 英語活用実態調査2019 企業・団体

企業や団体が転職者に求める英語力

転職活動の際には現在のTOEICスコアだけではなく、希望する企業や団体の中で、その英語力を用いてどんな風に活躍したいかをアピールすることも重要になります。

先程挙げたIIBCのデータには転職希望者に期待するTOEICスコア以外にもさまざまなデータを公開しています。

例えばTOEICのスコアを昇進・昇給の要件にしている企業・団体のうち、係長・主任になるための要件としてTOEIC515点、課長になるための要件としてTOEIC530点、部長になる要件として565点、役員になる要件としてTOEIC600点が平均として設けられていることがわかります。

さらに、海外出張者や海外赴任者の抜擢にTOEICのスコアを要件・参考にしている会社や団体では、海外出張者はTOEIC620点、海外赴任者はTOEIC635を平均としていることがわかります。

これらのスコアを、現在あなたが持っているTOEICのスコアと参照しながら、「今後私はTOEICスコアをこれだけ伸ばして、海外出張をして現地のパートナー企業と信頼関係を築ける人材になります。」といった感じでアピール出来ると、より具体性を持った自己アピールとなり採用担当者に好印象を与える役に立つでしょう。

企業・団体は社員・職員に”英語力”を求めている

IIBCの同調査によると、TOEICを活用している企業や団体が「今後のビジネスパーソンにとって重要な知識とスキル」として、コミュニケーションスキルや問題解決力、実行力をおさえて「英語」がトップを占めています。

さらに、同じ調査対象企業・団体が「社員や職員に不足している、今後強化する必要がある知識やスキル」として、またしても「リーダーシップ」や「問題解決力」をおさえて「英語」がトップを占めています。

このことから、「採用する企業や団体にとって、英語力は不足していて、なおかつ必要とされているスキル」だと言うことができ、すなわち「企業や団体にとって、英語力は広く、強く求められている」と言うことができますね。

TOEIC以外に転職に役立つ英語資格

TOEICは確かに広く認知されていますが、転職に役立つ英語資格は他にもあります。以下に、TOEIC以外の英語資格を紹介し、それぞれの特徴や利点を説明します。

英検

英検(実用英語技能検定)は、日本で最も歴史が長く、認知度の高い英語資格です。リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの4技能から英語力を測ります。

転職では、高校卒業相当レベルとされる英検2級以上が英語力のアピールに有効です。準1級以上であれば、より高度な職種や外資系企業への転職に有利になります。

IELTS

IELTS(アイエルツ)は、主に海外留学や就労のために使用される国際的な英語能力試験。海外ではTOEICよりもIELTSスコアが重視されることも多く、グローバル企業や外資系企業での評価は高いです。

面接形式のスピーキングテストや英文を書く筆記試験など、実践的なコミュニケーション能力を評価されます。

転職ではオーバーオールスコア6.0以上が望ましく、より高度な職種では6.5以上が求められることもあります。

TOEFL

TOEFL(トーフル)は、第二言語が英語の人に向けた英語試験です。主に、北米の大学入学に使用されます。

専門分野で使われるような高いレベルの英語力を測定するため、研究職や高度専門職での評価が高いのが特徴。

日本ではオンラインでの受験が可能です。転職では、iBTスコア60点以上(120点満点)が有利とされます

日商ビジネス英語検定

日商ビジネス英語検定は、日本商工会議所が実施する、ビジネス英語に特化した資格試験です。商談やスモールトークビジネス文書の作成など、実務で使う英語力を1~3級のレベルで評価します。

転職では2級以上を目指すと良いでしょう。1級取得者は、国際ビジネスの場で即戦力として評価されます。

ケンブリッジ英語検定

ケンブリッジ英語検定は英国ケンブリッジ大学が認定する英語資格です。A1からC2まで、欧州言語共通参照枠(CEFR)に準拠したレベル設定があり、ビジネス英語に特化した試験もあります。

合格証書に有効期限がないため、生涯にわたって英語力を示すのに活用できます。

転職に有利なレベルはB1以上です。B2レベル以上であれば、高度な英語力が求められる職種で高い評価を得られます。

英語力を求められる求人にはどんなものがある?

英語力を求められる求人にはどんなものがある?

英語力を求められる求人をインターネットで検索してまとめてみました。

「英語力を求められる求人には、例えばこんなものがあるんだな」という認識を得る参考にしてみてください。

大手不動産グループ 接客業 ホテルスタッフ 正社員

ホテルフロント業務での接客業で英語力を求められる求人です。

ホテルのフロント業務などで海外からのお客さんも迎えるため、日常会話レベルの英語力が求められます。

この求人では、入社後の配属前研修で「接客で使われる丁寧な英語表現を学ぶ、”おもてなし英語研修”」を実施していて、「英語を使った接客業」という視点でスキルを磨きたい方にピッタリのキャリアを歩めます。

ITエンジニア(PL・PM・PMO・コンサル) 正社員

ITエンジニアの求人でも英語力は歓迎要件として記載されていました。

特にITエンジニア業はプログラミングスキルが使われます。

プログラミング言語はほとんど英語で書かれるため、英語力との親和性が非常に高いわけですね。

この求人では大手自動車メーカーの自動運転プロジェクト、スマホアプリ、医療などのさまざまな分野に携われるので、広いITエンジニアリングスキルやプロジェクト管理能力を養えるので、英語力とITスキルをかけ合わせた専門的なキャリアを積むことが可能です。

大手上場グループ 営業・コンサル業 契約社員・正社員

続いて大手上場グループの営業・コンサル業での求人です。

応募要件に「TOEIC600点以上」との記載があり、さらに入社後TOEIC800点を取得することで正社員へ登用してもらうことも可能です。

顧客の状況を細かくヒアリングした上で改善案を提示して売上の最大化をするコンサルティング業務なので、営業系の経験を活かして大手上場グループでキャリアを積むことが可能です。

英語学習コンサルタント 正社員

英語学習のコンサルタント業で正社員の求人もありました。

英語学習のコンサルタントとは、具体的な英語の知識を教える「英語講師」とは違い、「英語を話せるようになるために、どんな勉強をしたら最も効果的に成果を出せるか。」を的確に情報提供をして受講者の目標達成を目指す業務です。

要求される英語力は「TOEIC700点程度(目安)」とのことでした。また、海外留学経験者優遇の記載もありました。

コンサルティング業務は受講者の目標達成のために、論理的に学習方法を組み立てていく業務なので、プロジェクトを企画する企画職や、顧客の悩みを聞き出し解決する営業職的な側面も併せ持つので、広く大きなスキルアップに繋がります。

英語力に加えて根本的なビジネススキルが身につく求人です。

外資系企業への転職に英語力は必須?

英語力を求められる求人にはどんなものがある?

日本ではなく外国の資本で運営されている外資系企業への転職は、「外資系」という言葉から「英語力は必須なのかな…?」というイメージを持っている方が多いです。

結論から言えば、外資系企業への転職に英語力は「必須ではありません。」

なぜなら、外国資本で運営される企業も、日本での業務である以上「部署によっては英語を使用しない」「日本支社では日本人社員が90%以上」という可能性も十分あるからです。

ただし、外資系企業は「日系企業以上に英語力をアピールするチャンスがある」とも言えます。

なぜなら、外国にある本社や外国人上司とのやりとりに英語を使うチャンスがあるからです。

特に日本人スタッフが多い日本支社とのコミュニケーション要因として英語が出来る人材が重宝されたり、他の日本人社員ができない英語での業務を評価される場合もあるでしょう。

ゆえに、「外資系企業への転職に、英語力は必須ではない。ただし、英語力をアピールするチャンスは日系企業よりも多い。」と言えます。

転職活動で準備しておきたい英語面接の練習法

面接

英語を使う職場の場合、面接が英語で行われることも少なくありません。多くの人にとって、最も緊張する場面といえるでしょう。

しかし準備をしておくことで、自信を持って自分をアピールすることができるはずです。

ここでは、事前にひとりでできる英語面接の練習法をご紹介します。

一般的な英語学習とのちがい

英語面接の練習は、幅広い話題や語彙を学ぶ英語学習と以下の点で大きく異なります。

  • 業界特有の言葉を身につける
  • 効果的に情報を伝える技術を向上させる
  • 表情やジェスチャーの使い方を磨く

業界特有の言葉を身につける

一般的な英語学習では日常会話や基本的なビジネス英語を学びますが、英語面接では志望業界や職種に特化した専門用語が必要になります。

練習法として、志望業界の英語専門誌や業界ニュースから用語をリストアップすることや、学んだ専門用語を使って文章作成することなどが有効です。

効果的に情報を伝える技術を向上させる

一般的な英語学習では正確な文法や単語の使用に焦点を当てがちですが、英語面接では自分の経験や能力を魅力的に物語として伝える力が重要です。

ストーリーテリング力を上げるには、STAR法練習:Situation(状況)、Task(任務)、Action(行動)、Result(結果)の順で、過去の経験を構造化して語る練習をしましょう。

表情やジェスチャーの使い方を磨く

英語面接では姿勢、アイコンタクト、表情などの非言語要素も重要な役割を果たします。

見られているということを意識しながら話すミラートーキングや、自分の模擬面接を録画して分析する方法が練習として適しています。

面接で聞かれる質問例

以下は、面接でよく聞かれる4つの質問と対策をまとめました。また、質問の回答に使えるフレーズもあわせてご紹介します。

自己紹介

自己紹介は、多くの面接でまず尋ねられる質問です。自分の経験やスキルを1~2分程度で簡潔に伝えることが求められます。

まずは現在の状況、そして過去の経験、最後に将来の目標で締めくくると伝わりやすいです。志望する企業や職種に絡めた内容となるため、事前に答えを考えて起きやすい質問といえます。

Bさん
Tell me about yourself.
自己紹介してください。
Aさん
I have eight years’ experience in Food industry, focusing on plant-based products.
食品業界で8年の経験があり、植物性食品に特化しています。
Aさん
Your sustainable food production aligns with my values.
御社の持続可能な食品生産への取り組みに共感しています。

志望動機

この質問は、志望する仕事への理解度を見るためのものです。その企業理念やサービス、製品などの知識について触れる内容で、熱意や興味を表現する場面となります。貢献できるポイントを押し出すことが試されるといえるでしょう。

Bさん
Why are you interested in this position/company?
なぜこの仕事/当社に興味を持ったのですか?
Aさん
I’m drawn to your company’s innovative approach to sustainable packaging.
御社の環境に配慮した革新的な包装への取り組みに強く興味を持ちました。
Aさん
I believe my experience in plant-based product development can contribute to your innovative product line.
植物性食品開発の経験を御社の革新的な製品開発に活かせると考えています。

強みと弱み

ここでは志望職種に関連するスキルや特性を絡めた強み、そして改善のために取り組んでいる弱点を挙げることで、どの程度自分を理解しているのかを伝えます。

Bさん
What are your strengths and weaknesses?
あなたの長所と短所は何ですか?
Aさん
My strength is finding creative solutions to problems. This helped me create a product that won an award.
私の強みは問題に対して新しいアイデアを生み出すことです。この力を活かして受賞した製品を作り出しました。
Aさん
I’m good at developing new products, but I’m trying to get better at giving presentations.
新製品の開発は得意ですが、人前でのプレゼンテーションがもっと上手くなるよう努力しています。

過去の経験

この質問は、問題解決能力やその時の行動を評価するために使われます。具体的な状況やアクション、そこで得た学びをポジティブな結果に落とし込んだ回答を整理しておきましょう。

Bさん
Can you describe a challenging situation you’ve faced at work?
職場で経験した難しい場面や課題について教えていただけますか?
Aさん
In my last job, I led a team that cut down food waste in our production by 30%.
前の会社では、製造過程で出る食品廃棄物を30%減らすチームを率いました。
Aさん
I created and launched a new line of organic snacks that sold 25% more than we expected.
新しいオーガニックスナックシリーズを企画・発売し、予想より25%多く売れました。

まとめ

この記事では、転職活動で有利に働く英語力を、「どんな風に有効に働くのか」「英語を活かした求人にはどんなものがあるのか」についてお伝えしました。

ここまでお読みのあなたは、英語力をアピールすることでどんな風に転職活動が有利に働くのか、英語力を活かした求人ではどんな働き方が出来るのかについて十分な知識を持って理解しているでしょう。

この記事でお伝えした内容が、あなたの転職活動をより有利に働かせるのに役立てば幸いです。