ここ数年、訪日外国人観光客の間で注目を集めているのが、日本各地に点在する「ゲストハウス」です。リーズナブルな料金で泊まれるだけでなく、旅人同士やスタッフとの交流が生まれる、“人とのつながり”を楽しむ宿泊スタイルとして人気を博しています。
観光庁が公表した観光白書によれば、2025年上半期の訪日外国人旅行者数は2,151万人を超え、地方エリアや体験型観光の需要も高まりつつあります。特に「地域の人とのふれあい」や「日本ならではの生活を体験できる宿」を求める旅行者にとって、ゲストハウスは魅力的な滞在先となっています。こうした背景の中で、ゲストハウスで働くスタッフには、単にチェックイン業務をこなすだけでなく、英語で地域情報を伝えたり、交流をサポートしたりする“コミュニケーション力”が求められるようになっています。
本記事では、日本のゲストハウスで働くスタッフが、自分の仕事や施設の特徴を英語でわかりやすく説明するためのフレーズや単語をご紹介します。英語に自信がない方でも安心して使えるよう、日本語訳も併記しています。日々の業務や就職活動、英語面接対策などにぜひお役立てください。

参照:観光庁|観光統計・白書

ゲストハウスとは?ホテルとの違いを英語で説明

ゲストハウスとは?ホテルとの違いを英語で説明

ゲストハウス(Guesthouse)とは、主に低価格で宿泊できる簡易宿泊施設のことで、旅行者同士の交流や地域とのつながりを大切にしているスタイルの宿です。
ドミトリー(相部屋)や共有キッチン、シャワー・ラウンジなどを備えた施設が多く、「旅先で人と出会いたい」「地元の文化に触れたい」と考えるバックパッカーや若い旅行者に人気です。
一方で、一般的なホテル(Hotel)は個室やサービスの充実度を重視し、プライバシーと快適性を求める宿泊スタイルに適しています。
こうした違いを、英語で外国人ゲストや面接官に説明するには、以下のような表現が役立ちます。

英語例文:
A guesthouse is a casual and budget-friendly place where travelers can meet and talk with each other.
Unlike regular hotels, they offer shared rooms and common spaces like kitchens and lounges.
Many guests enjoy the warm, home-like atmosphere and friendly conversations.

日本語訳:
ゲストハウスは気軽で低価格な宿泊施設で、旅行者同士が交流できるのが特徴です。
一般的なホテルとは異なり、相部屋や共有キッチン、ラウンジなどの共用スペースを提供しています。
多くのお客様が、家庭的な雰囲気や気さくな会話を楽しみに訪れます。

ゲストハウススタッフの主な仕事内容を英語で説明

ゲストハウスでは、スタッフが担う役割が多岐にわたります。単にチェックイン・チェックアウトをこなすだけでなく、地域の観光案内や、ゲスト同士が交流しやすい雰囲気づくり、イベント運営、そして日常的な掃除や設備管理まで、“顔の見える接客”が求められる点が特徴です。
英語で自分の仕事内容を説明する際には、以下のように短くシンプルに伝える表現が有効です。

英語例文:
I work at a guesthouse and help guests check in and check out.
In addition to that, local travel tips are provided so they can explore the area with confidence.
Shared spaces are kept clean and welcoming, and from time to time, events are organized for guest interaction.
One of the best parts of this job is having conversations with travelers from around the world and helping to create a friendly, comfortable atmosphere.

日本語訳:
私はゲストハウスで働いていて、チェックイン・チェックアウトの対応をしています。
加えて、地域を安心して楽しんでもらえるように観光情報を提供しています。
共有スペースは常に清潔で快適な状態に保ち、ときにはゲスト同士の交流イベントも企画します。
世界中の旅行者と会話を楽しみ、温かく居心地の良い雰囲気を作ることが、この仕事の大きなやりがいです。

よく使う英単語・英語フレーズ集

ゲストハウスで働くスタッフにとって、日常的に使う英単語や英語フレーズを覚えておくことは、スムーズなコミュニケーションに欠かせません。ここでは、場面ごとによく使う語彙や表現をカテゴリ別に整理しました。

1. 宿泊業務で使う単語

英単語・フレーズ 日本語の意味
check-in チェックイン
check-out チェックアウト
reservation 予約
bed linen シーツ・寝具
shared shower 共同シャワー
key box キーボックス
dormitory room 相部屋
private room 個室
front desk フロント・受付
amenities アメニティ(備品)

2. 観光案内・地域案内で使う単語

英単語・フレーズ 日本語の意味
local map 地図(地域の)
recommendation おすすめ
sightseeing spot 観光地
rental bicycle レンタサイクル
convenience store コンビニ
hot spring 温泉
walking distance 徒歩圏内
open hours 営業時間

3. コミュニケーションによく使う表現

英語フレーズ 日本語訳
Enjoy your stay! 滞在を楽しんでください!
Please feel free to ask. どうぞ遠慮なく聞いてください。
Let me know if you need anything. 何か必要なことがあれば教えてください。
You can use the kitchen anytime. キッチンはいつでもご利用いただけます。
We have a community event tonight. 今夜は交流イベントがあります。
You can meet other travelers here. 他の旅行者と交流できますよ。

これらの単語や表現を覚えておくだけでも、日々の接客がずっと楽になります。

シーン別ロールプレイ英会話

シーン別ロールプレイ英会話

ゲストハウスでの接客は、フロントでの対応だけでなく、共有スペースや観光案内など、多様な場面での英語コミュニケーションが求められます。
そこで次回の記事では、よくある状況を想定したシーン別ロールプレイ英会話を、日本語訳つきの吹き出し形式でご紹介します。

掲載予定のシーン例

  1. チェックイン時のやりとり
    予約確認、パスポート提示、鍵の渡し方など
  2. 周辺観光地や飲食店の案内
    「おすすめありますか?」「どのくらいかかりますか?」への対応
  3. 共有キッチン・ルールの説明
    「ここは何時まで使えますか?」「冷蔵庫は自由に使えますか?」などの質問に対応
  4. イベントやゲスト交流の案内
    「今夜イベントがあります」「よければ他のゲストとお話しませんか?」など、声かけの英語表現

これらのロールプレイは、実際の現場で頻出する英会話を想定しており、英語が苦手な方でも安心して使えるフレーズで構成する予定です。
次回記事にて、それぞれのシーンを吹き出し形式(Staff/Guest)で詳しく紹介します。
どうぞお楽しみに。

まとめ

日本のゲストハウスは、単に安価な宿泊施設にとどまらず、地域住民との交流や旅人同士の“つながり”を提供する体験型宿泊施設として、訪日外国人に支持されています。
日本政府観光局(JNTO)によると、2025年1〜3月期の訪日外国人旅行消費額は約2兆3,000億円に達し、前年同期比で28%増加しています(日:2兆2,803億円相当) さらに2024年の年間消費では、約8.1兆円と過去最高を更新し、宿泊(約2.7兆円)や飲食、買い物など多様な支出が含まれていました。
こうした経済規模と背景を踏まえると、ゲストハウスのような 「交流と文化体験を提供する宿泊スタイル」 は、観光産業の中でも特に注目される存在となっています。
ゲストハウスで働くスタッフには、チェックイン対応や清掃業務に加えて、地域の観光案内や旅人同士の交流を促す“ホスト役”としての接客スキルが重要です。流暢さよりも、明るく誠実な対応とシンプルな英語表現が、世界中のゲストに安心と楽しさを届けるカギになります。
今回ご紹介した英単語やフレーズは、日々の接客で実践できる内容ばかりです。「伝えたい」という積極的な気持ちを持って、一歩ずつ英語対応を試してみてください。
ゲストハウスは、旅人と言葉や文化をつなぐ場所。
少しの英語と大きな気づかいで、世界の旅人たちに温かな“おもてなし”を届けましょう。

参照:JNTO|インバウンド消費動向調査