「やぶさかではない」と言われて、戸惑ったことはありませんか?

丁寧な言い回しに聞こえる一方で、「断られたのかな?」「結局OKってこと?」と、意味を取りづらく感じることも。否定の形が入っているのが、この表現のややこしいところです。

では、この表現を英語で言い換えるとどうなるのでしょうか?

今回は、まず「やぶさかではない」の日本語の意味を整理したうえで、英語での言い換えをニュアンス別にご紹介します。依頼への返答に迷ったときの“定番表現”として、ぜひ活用してください。

この記事の3行まとめ(AI要約)

  • 「やぶさかではない」は前向きに引き受ける意思を丁寧に表す表現で、否定形でもポジティブな意味を持つ。
  • 英語では「I’d be happy to」など、前向きさの強さに応じて表現を使い分ける必要がある。
  • 強さ(喜んで)・中(対応する)・弱(構わない)など、ニュアンスに合ったフレーズ選びが重要。

「やぶさかではない」の意味を確認しよう!

「やぶさかではない」の意味を確認しよう!

「やぶさかではない」は、「喜んで〜する」「協力するのは構わない」といった前向きな気持ちを、やや改まった言い方で伝える表現です。たとえば「ご相談に乗るのはやぶさかではありません」は、「ぜひお手伝いしたいです」という意思を丁寧に表した言い方になります。

この言葉がややこしいのは、語尾に「〜ではない」が入っている点です 。否定形なのでどのような意味なのか一瞬迷ってしまいますね。

もともと「やぶさか(吝か)」とは、物惜しみをする」「思い切りが悪い」「ためらう」といった、少しネガティブな意味を持つ言葉ですこの「やぶさか」を否定することで、「物惜しみしない」「ためらわない、つまり転じて喜んで〜する」「前向きに引き受ける」という強い意思を表す表現になるのです

英語ではどう言う?ニュアンスごとの表現をご紹介

「やぶさかではない」は、日本語では前向きに引き受ける気持ちを一言で表せる便利な言葉です。でも英語では、同じ気持ちでも 「どれくらい積極的に引き受けるのか」 によって、自然な言い方が変わります。

ここでは、前向き度合の強さごとの返答を3つに分けてご紹介します。

喜んで引き受ける(前向きさ:強/快く引き受け)

喜んで引き受けるときによく使われるのは次のような表現です。

  • I’d be happy to ~.(喜んで〜します)
  • I’d be glad to ~.(喜んで〜します:少し改まった感じ)
  • I’d love to ~.(ぜひ〜したいです)
  • I’d be more than happy to ~.(喜んで!大歓迎です)

例文で確認しましょう。

Aさん

Could you review this document?

この資料、確認してもらえますか?

Bさん

Sure. I’d be happy to.

もちろん。喜んでやります。

Aさん

Would you help me prepare the slides?

スライド作り、手伝ってもらえますか?

Bさん

Of course. I’d be glad to.

もちろん。喜んで。

Aさん

Can you join the meeting tomorrow morning?

明日の朝の会議、参加してくれますか?

Bさん

Yes, I’d love to join.

はい、喜んで参加します。

Aさん

Could you take a look at this email before I send it?

送る前にこのメール見てもらえますか?

Bさん

Absolutely. I’d be more than happy to.

もちろんです。喜んで!

依頼を受ける(前向きさ:中/対応を明確にする)

依頼を「引き受けます」「こちらで対応します」と、担当する意思をはっきり伝えたいときは、次のような表現が便利です。

  • I can take care of it.(こちらで対応します)
  • I’ll handle it.(私が対応します)
  • I can work on it.(取りかかります)

例文で確認しましょう。

Aさん

We need someone to contact the client. Can you do it?

クライアントに連絡する人が必要です。お願いできますか?

Bさん

Sure. I can take care of it.

もちろん。こちらで対応します。

Aさん

Can you update the document by tomorrow?

明日までに資料を更新できますか?

Bさん

Yes. I’ll handle it.

はい、私が対応します。

Aさん

Can you look into the cause of the error?

エラーの原因を調べてもらえますか?

Bさん

Yes. I can work on it and get back to you.

はい、確認して、あとで連絡します。

構わない(前向きさ:弱〜中/やんわりOK・許可)

「喜んで」ほど強くはないものの、「大丈夫です」「構いません」とやんわりOKしたいときは、次のような表現が使えます。

  • I don’t mind ~ing.(〜しても構いません)
  • That’s fine. / That works for me.(大丈夫です)
  • No problem.(問題ないですよ)
  • Not at all.(全然構いません)

例文を確認しましょう。

Aさん

Do you mind if I call you later?

あとで電話してもいいですか?

Bさん

I don’t mind. Anytime after 3 is fine.

構いません。3時以降ならいつでも大丈夫です。

Aさん

Would it be okay if we reschedule to next week?

来週に予定を変更してもいいですか?

Bさん

That works for me. What day are you thinking?

大丈夫です。何曜日の予定ですか?

Aさん

Is it okay if I bring a colleague to the meeting?

会議に同僚を連れて行ってもいいですか?

Bさん

No problem.

問題ないですよ。

Aさん

Do you mind waiting for a few minutes?

少し待ってもらってもいいですか?

Bさん

Not at all. Take your time.

全然構いません。ゆっくりで大丈夫ですよ。

イディオムを使って表現しよう

イディオムを使って表現しよう

「やぶさかではない」には、「喜んで引き受ける」だけでなく、「努力を惜しまない」というニュアンスも含まれます。英語でも前向きさをしっかり出したいときは、次の2つが使いやすいです。

spare no effort(努力を惜しまない)

「できる限り頑張ります」と言い切りたいときの定番です。

Aさん

We really want this project to succeed.

このプロジェクト、絶対成功させたいよね。

Bさん

We’ll spare no effort to make it happen.

実現するために努力を惜しまないよ。

go the extra mile(期待以上にやる/もう一歩踏み込む)

「そこまでやってくれるの?」という“上乗せ感”を伝えられます。

Aさん

Can you help us meet the deadline?

締め切りに間に合うよう手伝ってもらえる?

Bさん

Sure. We’ll go the extra mile to support you.

もちろん。期待以上にサポートするよ。

参照サイト

英辞郎 on the WEB 

Oxford Learner’s Dictionaries

まとめ

「やぶさかではない」は、丁寧で便利な一方、否定の形が入っているぶん、人によっては受け取り方がぶれやすい表現です。だからこそ大切なのは、言葉そのものに寄せることよりも、相手に「前向きさ」がまっすぐ伝わる返し方を選ぶことです。

英語でも同じで、「やります」の一言にも温度差があります。快く引き受けたいのか、対応する意思をはっきり示したいのか、やんわりOKしたいのか。まずは自分のスタンスを決めてからフレーズを選びましょう。迷ったときは、いちばん誤解が少ない 「喜んで引き受ける」の表現に寄せるのがおすすめですよ。

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tsuru 英語教材開発者・英語教育ライター / English Curriculum Developer & Writer
英会話スクールで20年以上にわたり教材開発と指導に従事。TOEIC880点を保持し、子ども向け英語教育やカリキュラム設計の経験を活かして、学習者目線の英語学習情報を発信している。