インターネット回線を通じて講師と画面越しに向き合う「オンライン英会話」は、英語学校や英会話教室などの英会話学習法に比べて、非常に低価格です。また、決まった時間にどこかに通わなければならない学校型のサービスと違い、インターネット接続さえあれば、自宅でも学校でも、好きなところから、都合のよい時間を選んで手軽にレッスンを受けられることで、たいへん人気のある英語学習サービスです。
せっかく授業料を払い、頑張って英語を勉強するのですから、満足度の高いオンライン英会話レッスンを受けたいですよね。それでは、オンライン英会話サービスの満足度は、何によって決まるのでしょうか?
この記事では、オンライン英会話の満足度を決める要素を紹介します。
何がオンライン英会話の満足度を左右するかを知ることで、この記事を読んだみなさんが、賢く、適切に自分に合ったオンライン英会話のコースを選べる助けになることをめざしています。
記事を読み終わるころには、どんな視点でオンライン英会話を選べば満足度の高いレッスンを受けられるかがわかるはずなので、ぜひ最後まで読んでください。
満足度が高いオンライン英会話のレッスンとは?
オンライン英会話を受けたひとが、どれくらい満足するかにはたくさんの要素がかかわります。満足度は、「オンライン英会話に何を期待しているか」と「その充足度」の相関性によるからです。
満足度を決定する大きな要素としては、以下の3つのポイントがあります。
- 講師の質
- 教材の質
- カリキュラムの合理性
順番にみていきましょう。
満足度を決定する大きな要素「講師の質」
オンライン英会話の満足度を決める大きな要因として、まず「講師の質」が挙げられます。
ひとくちに「講師の質」といっても、これもまた複数の要素から構成されていますが、大別すると、以下の3点に分けられます。
- 講師の英語力
- 講師の教える技術
- 講師と受講生との相性
以下、それぞれについてわかりやすく説明します。
1.講師の英語力
英語学習は、英語の上手なひとの発音やイントネーションを「真似する」「コピーする」ことで上達します。ですから、オンライン英会話でも、講師の英語力が高いことが求められるのは言うまでもありません。
オンライン英会話の場合、文法や語彙よりも「英会話」を中心にしたレッスンです。もし講師の英語の発音やイントネーションが、英語のネイティブスピーカーのそれとはあまりにもかけ離れていたら、それを真似・コピーして身につけても、実際の英会話で苦労する場面が出てくるかもしれません。
机上の独学では得られない、オンライン英会話でのレッスンだからこそ、講師の英語力はオンライン英会話を受講する満足度に大きくかかわるといえます。
2.講師の教える技術
英語力だけでなく、「教え手」としての講師の技術も、オンライン英会話で満足できるかどうかの大きなポイントになります。
スポーツでも料理でもそうですが、「自分ができること」と、それを「相手に教えてできるように導くこと」は違います。
いくら講師の英語力が高かったとしても、受講生に英語を教えて「できるようになってもらう」技術が低ければ、レッスンを受ける側の満足感にはつながりません。
なぜなら、受講生がオンライン英会話のレッスンを受ける目的は、「英会話ができるようになること」だからです。
日本語ができれば、だれでも日本語を教えられる?
日本語の場合に置き換えてみましょう。
日本生まれの日本人は、日常的に日本語を話し、学校でも日本語で知識を学びます。しかし、だからといって外国人に日本語を上手に教えられるかどうかは別な問題です。外国人学習者は、日本人ほど豊富に日本語の用例に触れていませんし、日本人には当たり前のことを知らないかもしれません。
外国人に日本語を教えるために訓練を受けたひとがなれるのが、日本語教師です。必ずしも外国語ができる必要はありませんが、外国人にはわかりにくい日本語の特質を知識として知っていて、実践例から外国人学習者が間違いやすいパターンも把握しています。
特に意識せずに日本語を使っている日本人ネイティブスピーカーには、運用は十分にできても、「わからない相手に、わかるように説明する」訓練を受けていません。従って、「どうして日本語では〇〇というのですか」と外国人学習者に質問されたとしても、「え? いや日本語ではそういう風に使うのが普通なのです」といった要を得ない答えしかできないかもしれません。それでは、学習者の疑問は解決しませんし、知識も増えません。
教える技術の高い講師は、「あらゆる手を使って受講生の能力を引き出す」「受講生の成長を自分のことのように喜ぶ」といった共通の性質があります。そのためには教材や教授法の研究だけでなく、学習者の心理も理解しています。
こうした「教える技術が高い講師」から学んだ方が、気分よく学べて成果も上げやすいので、当然満足度は高くなる、ということになります。
3.講師と受講生との相性
初対面ではなかなか見極められないことではありますが、受講生と講師との相性も、オンライン英会話の満足度に大きく影響します。
自分が「ほめられると伸びるタイプ」だと知っていれば、ほめて伸ばすタイプの講師を選べます。逆に、自分は「甘やかされるとサボるタイプ」だと知っていれば、アメとムチを上手に使い分けられる、指導は厳しく、かつできたらほめてくれる講師を選んでレッスンを受講できます。
オンライン英会話では、英語学校や英会話教室と異なり、受講生が講師を指名できます。英会話サービスによっては、講師の自己紹介動画を公開していますので、講師の話し方や印象を見てからレッスンを予約できます。その点で他の学習方法に比べて「運任せ」の要素は回避しやすい利点があります。
ただ、人気の高い講師は、それだけレッスンの予約が取りづらい傾向があります。最初のうちは、とりあえず人気のある講師のレッスンを取ってみるのもよいでしょうが、やはり自分の希望に合った授業をしてくれる、相性のいい講師を選んだ方が満足度は高くなるでしょう。
そのためには、オンライン英会話で自分が期待することを、受講生自身がみつめておく必要もあります。
「単純に英語に触れる時間を増やしたい」「英語の会話を楽しみたい」のか、「海外でも仕事ができるレベルに高めたい」あるいは「TOEICで〇〇点までスコアを上げたい」のかによって、望ましい講師やレッスン内容も変わるはずです。オンライン英会話の講師にも、初心者や子どもを得意とする講師もいれば、中・上級者の英語力を引き出すのが上手な講師もいます。
自分がレッスンに望むことをあまり考えずに、人気の講師や会話が楽しい講師を漠然と選んでも、英語力の向上にはつながらないでしょうし、時間と労力に比してあまり効果が上がらなければオンライン英会話の満足度も下がってしまいます。
以上のことから、いろいろな意味での受講生と講師の相性も、オンライン英会話の満足度に大きく影響することがわかりますね。
満足度を左右する「教材の質」
オンライン英会話を受講するひとの満足度を決定する大きな要素のひとつに、「教材の質」があります。
コースにもよりますが、オンライン英会話のレッスンの多くは、教材を使って進行します。
担当講師がどんなに英語力が高くて、かつ教えるのが上手だったとしても、レッスン教材の質が悪かったり、レッスン教材が講師や受講生との相性が悪かったりすると、講師の指導力を十分に発揮できないかもしれません。
前提として、講師が高い英語力を有し、十分な指導力をもっていることが望ましいわけですが、講師の力を十全に発揮できる教材でレッスンを受けたいものですよね。その上で、講師と受講生との相性がよければ、相乗効果が期待できます。
まれに、英語学校・英会話教室などで受講生のニーズ・英語力と教材が合っていないことを感じて、教材を使わずに「受講生ファーストなオリジナル講義」を展開してくれる講師もいます。しかしそれは、指導者としての講師の技量に大きくかかわる上、受講生間の公平性も問われる面があるため、教室運営の権限があるかどうかにもよります。
教材は、レッスンの基本となるものだからこそ、教材の質の高さは、そのままオンライン英会話全体の満足感に直結するといってもよいでしょう。
オンライン英会話には実にさまざまなサービスがあります。次の記事では、教材出版社として実績のある学研の「kimini英会話」を例に、目的別のコースや料金などを案内しています。
「カリキュラムの合理性」も重要な要素
オンライン英会話の満足度を決める大きな要因として、「カリキュラムの合理性」も大きくかかわるといえるでしょう。
つまり「レッスン内容が、受講生の目的と合致しているか」と言い換えることができます。受講生の目的に合ったレッスン内容であれば、「カリキュラムの合理性がある」ということですし、合っていなければ「合理性はない」ということになります。
目的に合ったカリキュラムを選ぶことが大事な理由
たとえば、「TOEICで600点を取りたい」という目標をもっているひとが、英検2級の対策コースを受講するのは、明らかに学習内容が受講生の目的に合っていません。理由は、TOEICと英検では測定しようとしている英語力が異なるため、出題内容もかなり違うからです。TOEICは問題文も選択肢も英語なので、仮に知識があったとしても、問題形式になれていないと答えにくいものが含まれています。
この場合は、受講生の側が自分の目的に合ったコースを選んでいないことが原因ですが、意外にも似たような例はたくさんあります。なんとなく英語を学びたいので「一般英語」コースを選んだり、社会人だから「ビジネス英語」コースを選んだりすることは、わたしたちの周りでもよく見聞きしますよね。
多種多様な英語の資格・試験のなかで、どれを受験するかは迷うところだと思います。次の記事では、英検・TOEIC・TOEFL・IELTSなどの代表的な資格・試験を取り上げ、どのような英語力を評価するのか、出題内容などを紹介しています。
あるいは、このような例もあるかもしれません。
たとえば、海外支社をもつ製薬会社で働いているひとがいたとします。海外支社とやりとりする海外事業部門などに配属されたいという希望がある場合、多くのひとは、「ビジネス英語コースを受講しよう!」と考えるでしょう。
しかし「ビジネス英語」といっても、ビジネスの業界や職種によって、使う英語はかなり違います。医療分野なのか、法律分野なのかで使う単語も違いますから、ビジネス英語のコースを受講したとしても、薬剤に関係する専門用語は自分で勉強することになるかもしれません。
また、そのひとは国内にいて海外支社とやりとりすることを考えていますが、コースによっては、海外に出張して使うビジネス英語や、ZOOMで行う英語の会議を想定したビジネス英語のレッスンが内容かもしれません。
こうした場合、選んだカリキュラムは受講者の目的に合っているといえるでしょうか。
オンライン英会話の受講目的を明確にする
背景には、このような要素がありそうです。
- 受講目的が具体的でない →自分に合わないコースを選んでしまう
- ふさわしいコースがなく、選べない →仕方なく「近そうな」コースを選んでしまう
- コース内容の説明が不十分であるか、わかりにくい →コース内容を誤解したまま受講してしまう
こういったケースを避けるには、対策を立てましょう。
- なぜオンライン英会話を受講するのか、自分の目的を明確にする
- その目的のためにふさわしいコースを探す
- コースを提供する英会話サービスを比較・検討する
- 自分に合った講師を探す
- 候補のコース・講師が見つかったら、トライアル・レッスンを受けてみる
最初のほうで、オンライン英会話の満足度は「オンライン英会話に何を期待しているか」と「その充足度」の相関性による、と書きました。期待を満たすためには、受講生であるあなた自身が、英語を学ぶ目的が何かを明確にしておく必要があります。そして、その目的に合ったコースや講師を提供してくれる英会話サービスを調べて探す作業にも少し手間をかけるほうがよいでしょう。
オンライン英会話は、通学型の英語学校や英会話教室に比べて自由度が高いのが魅力です。その一方、お仕着せでない分、自分の目的に合ったサービスを自分で探す必要があります。
目的にぴったり合ったコースで、相性のよい講師に出会えれば、必然的に望ましい成果につながります。その結果、オンライン英会話に対する満足度も上がるはずです。
たとえば、オンライン英会話サービスには、事前に予約が必要なものと、空いている時間にすぐにレッスンを受けられるものがあります。次の記事では、実際の利用の仕方や効果にはどのような違いがあるのかを説明していて、参考になります。
まとめ
この記事では、オンライン英会話の満足度を決定する要素を、以下の3つの角度から説明してきました。
- 講師の英語力・指導力…受講生との相性にかかわり、満足度を決定的に左右する
- 質の高い教材…講師と受講生の力を引き出すことでレッスンの質が上がり、受講生の満足度が高くなる
- 適正なカリキュラム…受講生の目的とレッスン内容が合致し、期待が満たされるので高い満足度につながる
読んでいただいたみなさんは、オンライン英会話で満足度を決定する要素を知っているので、自分の目的に合わせて、より具体的・効果的にオンライン英会話のコースやレッスン、担当講師を選べるはずです。
この記事でお伝えした内容で、英語が効果的に学習でき、いっそう英語力が伸びることにつながれば幸いです。