「この前さ、街で友達かなっと思って、目を凝らしてみたんだよ」
こんな会話のとき、じっと見るということをどのような英語で表現すればいいのでしょう?この場合、lookやwatchではないんですね。
この記事では英語peerの持つ様々な意味、その使い方を紹介します。誰かや何かを目で追うこと、そして能力や年齢などが同等であることを表す覚えると便利な単語がpeerです。後半では同調圧力についても紹介しましょう。
名詞peerとpeersの語源と意味
peerには名詞、そして動詞の意味があります。
ここでは、まず名詞のpeerについて紹介しましょう。
peerの語源
さて、peer(ピア)の語源を確認しましょう。多くの語源がラテン語由来ですが、peerも同様です。peerはラテン語で「等しい・同じ大きさの・釣り合う」の意味を持つparが語源です。そこから同じ立場の人、平等な関係を持つ人に使われる言葉になりました。等しいというコアイメージを捉えるようにしましょう。
peerの意味
名詞peerの意味は「同等・同格の人」「同僚」などがあり、同年代の人々であったり、仲間のニュアンスで使われます。例えば、peer activityで「仲間との活動」になりますので、学校や職場のテニスサークルや楽器演奏といった活動を表すことができます。
訳)私はよく仲間達と私たちの活動についておしゃべりします。
peerは可算名詞ですので、この例文のように複数の場合はpeersと-sをつけることを忘れないようにしましょう。
また、peerは上院議員や貴族の意味も持ちます。
訳)イギリス上院議員とは、貴族院のメンバーを指します。
ここで言う貴族院は上院のことであり、イギリスにおける二院制議会のひとつです。
同輩の意味
次に、peerのもう一つの名詞の意味である「同輩」を紹介しましょう。同輩とは、年齢も経歴にも上下の関係がない者を指します。
peerで「同輩」
同輩には学校の仲間であったり、自分と等しい立場の人=同僚という意味で職場で仕事を一緒にするといった社会的地位が同等の人々が含まれます。状況によっては、ライバルに近い存在にもなります。同輩の反対語には、後輩や先輩がありますし、上司は同輩ではありません。この同輩を表す英語がpeerです。
訳)彼は私の仲間だよ。
訳)両親に頼むよりも、仲間から助けを得る方が時には簡単な場合があります。
訳)10代の若者は、仲間からのプレッシャーで喫煙を始めることが多い。
訳)娘は仲間のグループから拒否されました。
ピア効果とは?
ピア効果とは英語でpeer effectと表現され、仲間や同僚がお互いの行動や生産性に影響を与え合うことを言います。切磋琢磨し、お互いのレベルをアップさせる相乗効果を「正のピア効果」、逆に悪い影響を与え合うような関係を「負のピア効果」と呼びます。「正のピア効果」にはpeer learningと言って、特に語学学習で仲間と学ぶことは有効な方法と言われています。
訳)生徒のクラスメートの能力が優れていて、生徒がクラスメートから直接学ぶ場合、それがピア効果です。
peer-to-peer discussionと言えば、オープンな対話に参加、アイデアを交換しコラボレーションをはかる環境を提供することです。
動詞ピアの意味
さらに、ここでは動詞のpeerを紹介します。
冒頭の日本文「この前さ、街で友達かなっと思って、目を凝らしてみたんだよ」に戻ってみましょう。
peerで「凝視する」
じっくり見る、目を凝らして見るという行動を動詞のpeerが表します。人や物を注意深く、または困難を伴って見ることであり、視線を向けるlookとは異なります。
訳)友人かもと思って、道行くその人をじっと見たんだ。
その人が友人なのか思い違いなのか、目を細めてじっと見ている様子が想像できますね。それがpeerです。
訳)なんで虫をじっくり見てるの?
虫の動きを凝視しているのはお子さんでしょうか?興味と好奇心を持ってもっと知りたいと見る行為がpeerです。
訳)彼が私の顔をじっと見つめている。私が何をしたか、話しそうになっちゃった。
peerとstareの違い
じっと見るという英語にはstareもあります。stareでは、驚き・怒り・不信感などを持ってジロジロ見るというニュアンスになり、感情が含まれるため失礼に当たることがあります。
一方、peerはより明確に見ようと凝視することを表現します。
peerの意味 – スラング
peerは「クラスメート」として使われますが、スラングになるともう少し違う意味で使用されます。
peerのスラング
クラスメートだけでなく、peerのスラングでは「親友」から様々な知り合いまで表します。例えば、同じ学年、教会の知り合い、スポーツチームの友達などなどです。このような関係は心理的発達の程度が似ている仲間とも言えます。
訳)私は野球チームの仲間を尊敬するし、彼らと一緒に楽しみたいって思っているんだ。
仲間は大切です。社会性の発達には欠かせない人たちですね。
peer pressure
最後に、peerが使われたpeer pressureというフレーズを紹介します。どんな意味か想像できますか?
同調圧力のpeer pressure
同調圧力または集団圧力と呼ばれる圧力があります。
少数派意見に対し、多数派と同じような考えや行動をとるよう強制する無言の圧力が同調圧力です。残念ながら、日本人に多く見られると言われています。
同じ立場の人、平等な関係を持つ人を意味するpeerから受けるプレッシャーというニュアンスですが、仲間意識を持つ反面、個人や少数派を尊重しない危険な行動だと言えるでしょう。
訳)同調圧力は、同僚に対する直接的または間接的な圧力である。
訳)同調圧力の一例としては、仲間に喧嘩したり誰かをいじめたりするよう勧めることが挙げられる。
訳)毎日残業するのは同調圧力であり、私はそれに反対だ。必要な場合は時間外労働をするけれど、必要がない限りサービス残業はしません。
特定のグループ内において、周りからの良くないプレッシャーに自分の意見が言えなくなってしまう例があります。同調圧力による行動は、本人の学業・仕事ひいては健康への影響も考えられます。
なお、peer pressureの反対語はindividualism(個人主義)やnon-conformity(非同調主義)です。
まとめ
peerには名詞で「同等・同格の人」「同僚」、動詞で「目を凝らして見る」という意味があります。
そして、仲間がいることのポジティブな面から、仲間内で起こる同調圧力という圧力まで幅広く紹介しました。同調圧力に関しては集団心理として、SNSの投稿でもよく目にします。社会生活や集団について話すときにpeerは欠かせない表現であり、この機会に使い方をマスターしましょう。
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