「コードブルー」といえば、医療ドラマや映画でもよく知られている言葉ではないでしょうか。
救命救急センターをはじめとする医療現場で、患者の容態が急変し、緊急事態が発生したことを知らせる際に使われます。
作品中では、おもに病院外からの「ドクターヘリ要請」のキーフレーズとして登場している「コードブルー」ですが、実際は、ヘリの要請に限った用語ではなく、世界各国で使われており、国や病院によってさまざまな意味を持っています。
今回は、ドラマで広く知られることになった医療用語「コードブルー」について、英語での意味や使い方、そのほかのコードカラーを解説していきます。
「コードブルー」の意味
「コードブルー」とは、病院内で、患者の容態が急変した際に、医師や看護師に緊急事態を知らせる救急コールです。
英語では、”CODE BLUE”と大文字で表記され、病院によっては「コード99」と暗号を使うところもあります。
全館放送で院内にいる医師や看護師に緊急事態を知らせ、現場へ召集するために用いられる「コードブルー」は、病院スタッフにしかわからない隠語でもあります。
「緊急事態」や「非常事態」という誰でも知っている言葉を使ってしまうと、患者さんをはじめ、院内にいる人たちがパニックを起こしたり、思わぬ混乱やトラブルを招きかねません。
緊急事態に加え不要な二次災害が発生する可能性があるため、病院内では関係者にしかわからない「コードブルー」を使うのです。
「コードブルー」の語源
「コードブルー」は、アメリカを発祥として作られた病院内における情報共有の仕組みです。
緊急事態を意味する隠語として日本で「コードブルー」が使われるようになったのには、いくつかの理由が考えられます。
- 緊急事態が発生している現場の患者さんの顔色が青ざめていることを表す
- 青色が持つ「冷静」や「落ち着き」といったイメージが、緊急事態に必要な冷静さを表す
- 救命救急センターの医師が着ている青色のユニホームを表す
ほかにも青色には「最優先」の意味合いが込められている、という説もあります。
いずれも、「コードブルー」が医師と患者を含む緊急対応が求められる現場を、わかりやすく示した医療用語であることがよくわかりますね。
”CODE BLUE”の意味
「コードブルー」は、英語”CODE BLUE”をカタカナで表記した医療用語で、おもにアメリカで使われており、大文字で表記されるのが一般的です。
”CODE BLUE”は、辞書で以下のように定義されています。
a medical emergency in which paramedics are dispatched to aid a person undergoing cardiac arrest
心停止に陥った人を救助するために救急隊員が派遣される医療上の緊急事態
なお、”CODE BLUE”は、”stat call”(スタットコールまたはスタッドコール)とも呼ばれます。
英語の”stat”には、「急を要する」「すぐに」という意味があり、”CODE BLUE”と同様に、緊急事態発生時に発令されます。
”CODE BLUE”を使った例文
”CODE BLUE”を使った例文を紹介します。
訳)「コードブルー」は、蘇生が必要な医療緊急事態に対して発令する病院の警報です。
「コード・ブルー」は医療関係者の間で使われる隠語で、ドクターヘリとは直接の関係はありません。
訳)病院内で前を歩いていた人が突然倒れ、「コードブルー」というアナウンスが流れると、多くの医師や看護師が駆けつけました。
「コードブルー」と同義の「スタットコール」の”STAT”を使った例文も紹介しておきましょう。
訳)すぐにチームと救急車を呼んでください!
訳)ただちに彼らに従う必要があります!
”CODE BLUE”以外の緊急コール
病院内で緊急事態が発生したときに発令される緊急コール「コードブルー」。
じつは、コードブルー以外にもコードレッドやコードホワイトなど、ほかにもさまざまな種類があります。
病院によってコードが示す意味と内容には違いがありますが、万が一のときに備えて知っておくと役立つでしょう。
CODE RED (コードレッド)
コードレッドは、そのまま赤色イメージである火災や煙の発生時に発せられるコードです。
火災発生のほか、炎や煙の発生、防火扉の閉じ込めなど、火災に関連する緊急事態で緊急避難が必要な場合に出されます。
CODE WHITE(コードホワイト)
コードホワイトは、病院内での不審者の侵入、暴言や暴力などのトラブルが発生し、「今すぐ逃げろ!」という意味で発令されることの多いコードです。
コードホワイトが出されたら、複数の警備員あるいは職員(多いと10人ほど)が現場に駆けつけ、対象人物を取り押さえて制圧します。
CODE PINK(コードピンク)
コードピンクは、新生児・乳児・子どもの誘拐事件が起きたことを知らせる緊急コードです。
子どもが行方不明になったり、児童虐待が発生したりした際にも発令されます。
産科の緊急事態も含まれるため、新生児と小児の「コードブルー」と認識しておいて間違いないでしょう。
CODE ORANGE(コードオレンジ)
コードオレンジは、洪水や水漏れ、ガス漏れ、建物の崩壊など、災害による避難命令として発令されるコードです。
コードオレンジが示す災害には火災も含まれますが、院内外における爆発物の発見や危険物流出、大量の死傷者を含む大事故、生物テロなどが多いです。
CODE YELLOW(コードイエロー)
コードイエローは、院内の医療サービスに支障をきたすような緊急事態を意味します。
水道や電気系統、コンピューターシステムなどの不具合によって、治療や救急対応ができず、診察待ちの外来患者であふれてしまっている状況に発令されます。
CODE PURPLE(コードパープル)
コードパープルは、脅迫電話や不審な郵送物が発見された際に発令されるコードです。
病棟宛に「爆弾を仕掛けた」といった脅迫電話がかかってきたときは、情報を聞き出すために話を引き延ばすのが鉄則とされており、逆探知までの時間を稼ぐように対応します。
まとめ
救命救急センターを舞台にしたドラマで広く知れわたった医療用語「コードブルー」について、英語での意味や使い方、そのほかのコードカラーを紹介しました。
「コードブルー」は、院内で発生した緊急事態を医師や看護師に知らせるための救急コールです。
英語では、”CODE BLUE”と大文字で表記されることが多く、病院によっては「コード99」と暗号を使う場合もあります。
院内のパニックを防ぐための隠語でもある「コードブルー」ですが、色はブルー以外にもいろいろあり、それぞれのカラーによって示す意味と内容が異なります。
ドラマの影響で、「コードブルー」=ドクターヘリ要請、と思っていた方も多いと思いますが、緊急事態発生による医師と職員の召集であることを改めて頭に入れておきましょう。
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