スルツェイ島はアイスランドの南にある無人島です。火山活動の痕跡が残されているということから、世界遺産に登録され、保護されてきました。この記事ではアイスランドの世界遺産について英語を交えて解説します。

スルツェイ島とは?

スルツェイ島の誕生と特徴

スルツェイ(Surtsey)はアイスランド南岸に位置する火山島で、1963年に海底火山の噴火によって誕生しました。この島は自然の変化の過程を観察するための貴重な研究対象として世界的に知られており、2008年にはユネスコの世界自然遺産に登録されました。

スルツェイ島の誕生と特徴

スルツェイ島は1963年11月14日に始まった海底火山の噴火によって形成されました。この噴火は1967年まで続き、最終的に約1.4平方キロメートルの面積を持つ島が誕生しました。

島の形成:海底約130メートルの深さで起こった噴火により、溶岩と火山灰が積み重なって島が出現。
現在の規模:侵食により縮小し、現在は約1.3平方キロメートル程度。
名前の由来:「スルツェイ」は北欧神話の火の巨人「スルト(Surtur)」にちなんで名付けられました。

ウルトラブルカノ式噴火とは?

スルツェイ島はその噴火の特徴から、「ウルトラブルカノ式噴火」と名付けられました。
ウルトラブルカノ式噴火は、海底火山が浅い海域で噴火する際に発生する特殊な噴火形態です。これは「水」と「マグマ」が直接触れ合うことで爆発的な反応を起こす「マグマ水蒸気爆発(マグマ・フレグマティック爆発)」の一種です。

英語での説明:

Ultra-Vulcanian eruptions are special kinds of volcanic explosions that happen when underwater volcanoes erupt in shallow water. It’s a type of “magma-water steam explosion” where hot magma and water touch each other, causing a powerful blast.

噴火の特徴:爆発的な噴火

水と高温のマグマが接触することで急激な水蒸気爆発が発生し、爆風と大量の火山灰を伴います。これはマグマ水蒸気爆発と似た性質です。スルツェイ島の噴火では、数百メートルに及ぶ火山灰の柱(噴煙柱)が形成されました。

スルツェイ式噴火の例

スルツェイ式噴火を起こす火山は世界中にあります。その一部を紹介します。

  • ボゴスロフ島 – アメリカ合衆国、アラスカ州、1796年
  • アナク・クラカタウ島 – インドネシア、
  • 昭和硫黄島 – 日本、鹿児島県、1934年
  • タール火山 – フィリピン、バタンガス州、1997年
  • ズバイル諸島 – イエメン、2011年–2012年

比較的浅い海域に存在する海底火山という部分が共通していますね。海水が流れ込む位置に火口があると水蒸気を伴う爆発的な噴火がみられることがわかります。

世界遺産としての価値

スルツェイ島は、人間の手が加わっていない純粋な自然環境の中で、植物や動物がどのように定着・発展していくかを観察できることから、「生態系の実験室」となっています。
自然の形成過程を観察できる貴重な場所として重要視されています。

登録基準

ユネスコはスルツェイ島を「地球の進化と自然環境の変化を示す顕著な例」として世界遺産に登録。

研究対象

科学者のみが立ち入ることを許可されており、観光客の上陸は禁止されています。

火山がどのようにして変化し、自然環境が形成されていったのかが分かる貴重な環境資源なので、人の介入がないように厳重に管理されているのですね。

スルツェイ島の生態系

スルツェイ島の生態系

島が誕生した当初は無生物の環境でしたが、時間の経過とともに生命が定着しました。
スルツェイ島はアイスランドのベストマン諸島南方約20kmに位置し、火山活動で形成された新しい陸地です。この島は、自然の力だけで植物や動物が定着していく過程を観察する貴重な研究拠点となっています。

1963年の噴火から1年後にカビや細菌が現れ、1965年には維管束を持つ植物が確認されました。1998年に低木が登場し、2004年までには60種の維管束植物を含む多様な植物が生育しています。海鳥の定着は1970年頃から始まり、大量のフンが土壌を豊かにし、アザラシの繁殖も1983年に確認されました。2004年には89種の鳥類と335種の無脊椎動物が記録されています。

この島は厳格な保護区に指定されており、スルツェイ島研究学会が管理を行っています。許可を得た科学者以外の立ち入りは禁止され、外部からの有機物や鉱物の持ち込み、廃棄物投棄、狩猟も厳しく制限されています。島には研究者用の簡素なプレハブ小屋が1棟あるのみで、自然環境の保全が徹底されています。

英語での説明:

Surtsey Island is a new island made by a volcano. It is located about 20 km south of Iceland. It’s a special place where scientists watch how plants and animals start living on new land all by themselves.

After the volcano erupted in 1963, little things started to appear. One year later, mold and tiny bacteria were found. In 1965, bigger plants started growing.
Later, in 1998, bushes showed up. By 2004, many kinds of plants had grown, reaching around 60 types.
Birds that live by the sea came around 1970, and their poop made the ground good for plants.
Seals started having babies there in 1983.
By 2004, scientists had seen many different birds and small animals living on the island.

This island is a protected place. Only scientists can go there. A group called the Surtsey Research Society takes care of it.

If you’re not a scientist with permission, you can’t go. People can’t bring plants, rocks, trash, or hunt there. This helps keep the island natural. There’s only a small house for the scientists.

Everything is done to protect the island’s nature.

アクセスと観光情報

スルツェイ島は研究保護区域であり、一般の観光客は立ち入ることができません。現地でも近くでスルツェイ島を観察できるようなツアーは行われていないようなので、遠くから島の姿を見るに止まるようです。

まとめ

スルツェイ島は自然の進化をリアルタイムで観察できる特別な場所であり、科学的・地質学的に非常に価値のある世界遺産です。人間の介入を排除することで、自然環境がどのように変化するかを長期的に観察し続けるこの島は、地球の生命の営みを理解するための重要な場所となっています。

また英語での表現を理解すれば、よりアイスランドの旅を楽しむことができます。英語力を上達させるならKimini英会話を活用してみてはいかがでしょうか。

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