みなさんは「リリカル」という言葉を聞いたことはありますか?
最近では、漫画やアニメの分野で使われていることも多いですよね。
「なんとなく知ってはいるけれど、意味まではよくわかっていない」という人もいるかもしれません。
そもそも「リリカル」は、どのような意味を持っているのでしょうか。
「リリカル」は、英語の”lyrical”をカタカナ表記した言葉です。
”lyrical”には、「詩的」や「情熱的」などという意味がありますが、日本語の「リリカル」も同じような意味で使えるのでしょうか。
今回は、知らないまま使ってしまうと間違いやすいカタカナ言葉「リリカル」について、英語”lyrical”の正しい意味と使い方、類義語を紹介していきます。
「リリカル」の意味
「リリカル」は、英語の”lyrical”をカタカナで表記した外来語です。
- 〔詩が〕叙情的な、叙情詩の、叙情的なさま、
- 〔歌声が〕軽やかな
- 〔褒め言葉が〕ひどく感激した、熱狂した
参考:英辞郎 on the WEB / goo辞書
「叙情的」や「叙情詩」と聞いても、いまいちピンと来ないという人も多いですよね。
そもそも「叙情」とは、どのような意味を表すのでしょうか?
「叙情」… 感情を述べ表すさま
「叙情詩」… 作者の感情や情緒を表現した詩
「叙情」とは、自分の感情を素直に表す様子や非常に感慨深い様子を意味する言葉です。
感情や情緒を表現した詩のことを「叙情詩」、その「叙情詩」のような雰囲気を指して「叙情詩的」と言います。
「叙」は「想いを述べる」、「情」には「物事に感じて起こる心の動き」という意味があります。
つまり、自分の心の動き、偽りのない気持ちを素直に述べ表すことですね。
ただ心の中で思っているだけでは「叙情的」とはいえません。
気持ちを言葉や歌、音楽で表現してはじめて、「叙情的」となるのです。
「リリカル」は、自分自身の想いを歌や詩で誰かに伝える、何かを聴いたり見たりしたときに感じた気持ちを伝える、という意味になるのがおわかりいただけたでしょうか。
「リリカル」は、心にある想いを、歌や詩にのせて人に伝えることを意味します。
昔から音楽や文芸作品などに使われていましたが、最近はテレビや漫画、アニメなどに多くの場面でも用いられています。
日本語での「リリカル」の使用例
「リリカル」は、おもに音楽や芸術分野でよく耳にする言葉です。
歌や詩などの趣きを相手に伝える表現として幅広く使用されています。
・あなたが奏でるピアノの音色は、リリカルでとても素敵だ ・彼の描く作品には、リリカルに富んだものが多い ・リリカルな歌詞に胸を打たれ、心に深く響いた ・圧倒的にリリカルな歌声が、多くの人を感動させる ・芸術作品には、ある程度のリリカルさも必要だ ・リリカルな表現を使いこなすには、センスが求められる |
「リリカル」は、音楽、芸術、文学分野での「美しい」「優しい」「ロマンティック」などの意味で用いられることも多いです。
歌詞が心に響いて感動したときや、感情を揺り動かすような歌声を聴いたとき、または作者自身の気持ちや感情が込められた作品を表現するときにも使われます。
”lyrical”の意味
「リリカル」の元になっている英語”lyrical”は、先述した「叙情的」という意味以外にもいろいろな意味を持っている形容詞です。
辞書では以下のように定義されており、おもに音楽や文学の文脈における感情や情緒を豊かに表現する様子を示します。
情感豊かな歌や詞、詩的な表現などを指して用いられることが多いのが特徴です。
- beautifully expressed in words, poetry, or music
言葉、詩、音楽で美しく表現された- expressing personal thoughts and feelings in a beautiful way
個人的な考えや感情を美しく表現すること参考:Longman Dictionary of Contemporary English / Cambridge Dictionary
日本語では、「軽やかな」「感情豊かな」「情熱的な」「ひどく感激して」「大喜びで」など、さまざまな表現で訳されます。
”lyrical”は、何かを見たり聴いたりしたときに、自分の心に湧き起こった前向きな感情や明るい気持ち、喜びなどを表す言葉です。
明るく前向きな気持ちも含まれているのが、カタカナの「リリカル」とは違うところですね。
音楽では、感情的で詩的な表現を含むメロディーや歌詞が、文学では、詩的な表現や感情的な描写の豊かな作品が”lyrical”で表現されます。
”lyrical”の発音記号は、 /ˈlɪr.ɪ.kəl/ で、カタカナにすると「レィリカル」のように読めます。最初の「リ」を「レィ」と発音すると、より自然な英語になるでしょう。
”lyrical”は、古代ギリシャ語の”lyrikos”が語源といわれています。
詩人たちが、自分たちの詩を演奏しながら歌うことに由来してできた言葉で、音楽的で詩的な言葉や表現を指す形容詞として使われていました。
”lyrical”を使った例文
「叙情的」や「叙情詩的」以外にも、「情熱的」または「大喜びで」などの意味を持つ”lyrical”の例文を紹介します。
音楽や映像作品の感動を表現するときには、次のように言ってみると良いでしょう。
訳)この曲には叙情的なメロディーがあり、深く感情移入できます。
訳)彼らの叙情的で心地良い演奏スタイルは、多くの聴衆を魅了しました。
訳)これは、終わってからも長く心に残る叙情的な瞬間に満ちている映画です。
詩や小説などの文学作品には、次のような表現もできますよ。
訳)詩人の叙情的な愛の表現は、みんなの心に響きました。
訳)彼女の小説は、叙情的な文章が読む喜びを与えてくれます。
訳)彼の叙情的な文体は、他の作家と一線を画しており、広く評価されています。
”lyrical”の類義語
”lyrical”は、詩的で感情的な意味を持つ形容詞です。
”lyrical”と言い換えが可能な類義語を例文で確認していきましょう。
poetic
”poetic”は、「詩的な」「詩のような」という意味を表す形容詞です。
想像力や感受性を刺激するようなもの、感動や共感を呼び起こすような芸術性を含んだ詞や言葉を指して使われます。
訳)この言語は、とても豊かな詩的伝統を持っています。
rhapsodic
”rhapsodic”は、「熱狂的」「情熱的」などを意味する英語です。
音楽や文学の分野において、感情豊かな詞や演奏、詩などを指して使われます。
訳)バイオリニストの熱狂的な演奏は、観客を沸かせました。
expressive
”expressive”は、「感情豊か」「表現力がある」という意味を持つ英語です。
音楽や芸術の分野、特に何演技やダンスなどで、表情や動作から感情を表現するのが得意な人や物を指して使われます。
言葉だけでなくさまざまな方法で、自分の想いや考えを上手に表現できることを表します。
訳)彼のパフォーマンスは、すべて自然への愛が表現されています。
emotional
”emotional”は、「感情的な」「感動的な」という意味を表す英語です。
具体的には、喜びや悲しみ、怒り、恐怖などの感情が強く表れる状態のことを指しています。
訳)映画のエンディングはとても感動的で、涙が止まりませんでした。
まとめ
意味を知らないまま使ってしまうと恥ずかしい、間違いやすいカタカナ言葉「リリカル」について、英語”lyrical”の正しい意味と使い方、類義語を紹介しました。
「リリカル」は、英語の”lyrical”をカタカナで表記した外来語です。
英語の”lyrical”には、「叙情的」の他にも「軽やかな」「感情豊かな」「大喜びで」などさまざまな意味があります。
「叙情的」の意味では、「リリカル」と”lyrical”に大きな違いはないのですが、”lyrical”には「喜び」や「感動」など、明るく前向きな気持ちも含まれています。
カタカナ言葉の解釈に迷ったときは、元になっている英語の意味をしっかり理解して、正しく使えるようにしておきましょう。
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