イギリスの現在の世界遺産は33ケ所、首都ロンドンに絞ると4つになります。そのひとつが日本語でロンドン塔と呼ばれるThe Tower of Londonです。読者の皆さんのなかにロンドン塔に行ったことのある人がいるかもしれませんね。テムズ川沿いにそびえる塔はそれほど有名です。ところで、この塔の英語表現や歴史をご存知ですか?

この記事では、ロンドンのThe Tower of Londonが世界遺産であることについて説明し、英語表現も紹介します。ロンドンを1070年代まで遡ってタイムトラベルしましょう!

ロンドン塔の基本情報

さっそく、ロンドンに行ったらぜひ訪れたい名所「ロンドン塔」の基本情報を紹介します。

「ロンドン塔」の基本情報

まず、「ロンドン塔」の英語表現がThe Tower of Londonであることを押さえましょう。英語と日本語が結びつきやすい名称ですね。

Aさん
The Tower of London is located on the north bank of the River Thames, in central London, England.
訳)ロンドン塔は、イギリスのロンドン中心部、テムズ川の北岸に位置しています。

the north bankで北岸を意味し、ロンドンにはthe south bank(南岸)も存在します。

Aさん
The Tower of London, an historic citadel, was founded by William the Conqueror in the 1070s, serving as a Royal Palace, fortress and prison throughout its history.
訳)歴史的な城塞であるロンドン塔は、1070年代にウィリアム征服王によって建設され、その歴史を通じて王宮、要塞、そして刑務所として機能してきました。

例文で分かるとおり、The Tower of Londonは1,000年以上の歴史を持ち、当時女王陛下の王宮および要塞でした。刑務所として機能していたため、恐ろしい処刑も行なわれた場所でもあります。

ロンドン塔が世界遺産になった理由は?

ロンドン塔が世界遺産になった理由は?

ロンドン塔はロンドンの歴史を物語る存在であることから、イギリス観光で非常に人気のスポットであるとともに、世界遺産にも登録されています。
ところで、ロンドン塔が世界遺産になった理由は何だったのでしょう。

「ロンドン塔」が世界遺産に登録された年

Aさん
The Tower of London was designated as a UNESCO World Heritage Site in 1988.
訳)ロンドン塔は、1988年にユネスコの世界遺産に登録されました。

「ロンドン塔」が世界遺産になった理由

ロンドン塔は以下2つの基準を満たし、世界遺産に登録されました。

1. ウィリアム征服王の時代から王権の象徴であり、11世紀末から王国全体で傑出したモデルとなっていました。
“A monument symbolic of royal power since the time of William the Conqueror, The Tower of London served as an outstanding model throughout the Kingdom from the end of the 11th century.”

ウィリアム征服王(William the Conqueror)とは、ウィリアム1世のことであり、北フランスノルマンディーのノルマン人でした。1066年のヘイスティングズの戦いで勝利し、イングランドを征服した人物です。このため、ロンドン塔はノルマン様式となっています。

2. ホワイトタワーは、11世紀後半のノルマン王城の傑出した例です。
“The White Tower is the example par excellence of the royal Norman castle in the late 11th century.”

もともとは木造の砦であった当初のロンドン塔は、数十年をかけて石材で再建され、これが「ホワイトタワー」と名付けられました。

引用:Historic Royal Palaces

悪名高き国王ヘンリー8世とロンドン塔

悪名高き国王ヘンリー8世とロンドン塔

ウィリアム征服王によって築かれた城のロンドン塔。その後、悪名高き国王で有名なヘンリー8世が深く関わったのです。

イングランド王・ヘンリー8世

ヘンリー8世(Henry VIII)は、1509年4月〜1547年に死去するまでイングランド王に在位していた人物です。カトリックと対立、独立した教会の制度を作り、生涯で6人の女性と次々に結婚しました。彼女たちはそれぞれ離婚、斬首、死亡、離婚、斬首、生存という運命を辿ります。それが現在ロンドンで“Six(シックス)”というミュージカルになっています。それぞれの妻たちが一堂に会し、自分が一番大変だったとコミカルに言い争うのです。少し調べると、日本でも2025年1月に来日版が行なわれていました。このように、ヘンリー8世はイギリスで今でも語り継がれる非常に有名な王です。

Aさん
Henry VIII was the King of England from the 22nd April 1509 until his death.
訳)ヘンリー8世は、1509年4月22日から死去するまでイングランド王でした。

ヘンリー8世とロンドン塔

さて、このヘンリー8世はハンプトン・コート宮殿(Hampton Court Palace)に住んでいたことで有名ですが、ロンドン塔にそれはそれは深く関わっています。
ヘンリー8世の時代、16世紀に新しい宮殿を建設します。そして、ロンドン塔を監獄として利用し始めました。

Aさん
Henry VIII made various changes in the Tower of London like repairing the walls and towers of the castle, and modernising and refurbishing the medieval palace.
訳)ヘンリー8世はロンドン塔で城壁や塔の修理、中世の宮殿の近代化と改修など、さまざまな変更を行ないました。

ロンドン塔で処刑された人々とは?

ロンドン塔はヘンリー8世時代に兵器庫、財宝庫や造幣所、そして身分が高い者の牢獄としても使用されるようになります。そして、敷地内ではタワー・グリーンと呼ばれる処刑場という芝生のエリアもあったのです。

Tower Greenで処刑された妻たち

ヘンリー8世の6人の妻のうち、2人が処刑で斬首されました。その2人とは、2番目のアン・ブーリンと5番目の妻キャサリン・ハワードです。アンは男児を流産した上にやたらと政治に口出しをして疎まれていたところにヘンリー8世に愛人ができたので邪魔にされ、キャサリンは彼女に対しての浮気調査が始まりラブレターが証拠になって処刑・・・という激しい時代でした。

Aさん
Anne Boleyn and Catherine Howard, along with other nobles, were executed by beheading on the Tower Green within the Tower of London.
訳)アン・ブーリンとキャサリン・ハワードは他の貴族たちとともにロンドン塔内のタワー・グリーンで斬首刑に処せられました。

タワー・グリーンはタワーヒルでの公開処刑に比べ、貴族たちにとって威厳のある場所を考えられていました。

The Tower of Londonの見どころ

The Tower of Londonの見どころ

ロンドン塔は、テムズ川を目の前にタワー・ブリッジ、後ろには306メートルの高さを誇るザ・シャードがあるというロケーションにあります。

ロンドン塔の見どころ

ロンドン塔を訪れると、赤と黒の衣装に身を包んだヨーマン(Yeoman)と呼ばれる衛兵を見ることができます。ヨーマンによるツアーもあります。
ホワイト・タワーでは当時の武器や甲冑(かっちゅう)の展示、タワー・グリーンでは貴族たちが処刑された場所にある碑、「王子たちの謎の失踪」で有名なブラディ・タワー(Bloof=dy Tower)もおすすめスポットです。

The Tower of Londonの王室コレクション

最後に、ロンドン塔を訪れた際に必見の王室コレクションを紹介しましょう。ロンドン塔は恐ろしい歴史だけでなく、王室のパワーを感じることができる世界遺産でもあります。

ロンドン塔で見る王室ジュエリー

ロンドン塔敷地の一番奥にウォータールー兵舎(Waterloo Barracks)を改築した「ジュエルハウス」があります。ここには目が眩むような宝石類が展示されています。
イギリス王室の戴冠式で使用される王冠、宝飾品、そして世界最大級のダイヤモンドでアフリカの星と呼ばれる「カリナン」などなど、歴史にそれほど詳しくない方も楽しめるスポットとなっています。

Aさん
The Jewel House at the Tower of London is famous for housing the Crown jewels, including iconic items like the Cullinan diamond which is part of the British Royal Collection.
訳)ロンドン塔のジュエルハウスは、英国王室コレクションの一部でありカリナンダイヤモンドなど、象徴的な品々を含む王冠の宝石を保管していることで有名です。

まとめ

本記事では、ロンドンの世界遺産「ロンドン塔」について紹介しました。2025年3月現在の入場料は18歳以上の大人で£35.80、日本円で約6,900円と高めです。しかし、1,000年もの間テムズ川沿いで長く歴史を作ってきた遺産は訪れる価値があると言えるでしょう。
ロンドンにいらっしゃったら、ぜひロンドン塔に足を運んでみてください。

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