ネパールと聞いて、何を思い浮かべますか?世界最高峰のエベレストでしょうか。

ネパールの首都カトマンズは、実は「世界遺産の宝庫」でもあります。その舞台となるのが、ヒマラヤ山脈のふもとに広がる「カトマンズの渓谷(Kathmandu Valley)」です。

この谷は、古くからヒンドゥー教や仏教の聖地が集まる、宗教・芸術・歴史の交差点。今回は、この美しい世界遺産を、日本語と英語を交えながら紹介していきます。英語フレーズも覚えて、旅気分で学びましょう!

カトマンズの渓谷とは?

カトマンズの渓谷とは?

標高約1,350mに位置しながらも、一年を通して穏やかな気候に恵まれているカトマンズの渓谷。四方をヒマラヤの山々に囲まれたこの場所は、古代より人々の信仰と文化が息づく聖なる地です。

この谷は、「Spiritual and cultural heart of Nepal(ネパールの精神的・文化的中心地)」として、今も多くの人が祈りを捧げに訪れます。

三都にまたがるネワール文化の都

カトマンズの渓谷には、古代ネワール族によって栄えた3つの都市があります。それがカトマンズ(Kathmandu)、パタン(Patan)、バクタプル(Bhaktapur)**です。

これらの都市には、王宮(ダルバール広場)、寺院、石彫、木彫など、ネワール美術の粋を集めた建築が残されています。それぞれが独自の文化を持ちながらも、共通して「人と神が共に暮らす町」として発展してきました。

Wikipedia

ヒンドゥーと仏教が融合する聖地

カトマンズの渓谷の特徴のひとつが、ヒンドゥー教と仏教の調和です。

例えば、スワヤンブナートは仏教の聖地ですが、ヒンドゥー教徒も参拝します。逆に、パシュパティナート寺院はヒンドゥー教の寺ですが、仏教徒にも開かれています。

アクセス情報

日本からネパールの首都カトマンズまでは、成田や関空から約8時間の直行便があります。到着するのはトリブバン国際空港(Tribhuvan International Airport)です。

そこから各地の世界遺産へは、タクシーやツアーで簡単にアクセスできます。

カトマンズの渓谷の歴史

この谷の歴史は、14世紀ごろに興ったマッラ朝(Malla Dynasty)にさかのぼります。マッラ王国は当初バクタプルを中心に栄え、その後カトマンズ、さらにパタンへと分裂していきました。

しかし、18世紀にゴルカ王国のプリトビ・ナラヤン・シャハ(Prithvi Narayan Shah)がこの三都を統一し、ネパール王国が誕生します。これによりカトマンズは正式に首都となり、政治・宗教・芸術の中心となっていきました。

世界遺産としての意義

世界遺産としての意義

カトマンズの渓谷は、1979年にユネスコの世界遺産に登録されました。7つの重要な文化遺産が一括登録されています。

Aさん
Kathmandu Valley was designated as a UNESCO World Heritage Site in 1979.
訳)カトマンズの渓谷は、1979年にユネスコの世界遺産に登録されました。

しかしその後、地震や急速な都市化により、多くの文化財が損壊し、2003年に危機遺産(World Heritage in Danger)に指定されました。

2007年に一時的に解除されましたが、2015年にはM7.8の大地震が再び襲い、再建は今も続いています。

ユネスコは世界遺産登録の理由をこう評価しています。

「カトマンズの渓谷は、ヒンドゥー教と仏教の芸術と建築が融合し、何世紀にもわたって守られてきた場所である」

UNESCO World Heritage Convention:Kathmandu Valley

覚えておきたい英語フレーズ

カトマンズの渓谷について英語で語るときに使えるフレーズを紹介します。

Aさん
Kathmandu Valley is where Hinduism and Buddhism coexist peacefully.
訳)カトマンズの渓谷は、ヒンドゥー教と仏教が平和に共存している場所です。
Aさん
Each city in the valley reflects the rich legacy of Newar architecture and craftsmanship.
訳)この谷にあるそれぞれの都市は、ネワール建築と職人技の豊かな遺産を反映しています。
Aさん
I’d love to visit the spiritual sites of Kathmandu Valley someday.
訳)いつかカトマンズの渓谷の聖地を訪れてみたいです。

カトマンズの渓谷の構成資産

カトマンズの渓谷の構成資産

カトマンズの渓谷には、以下の7つの構成資産があります。それぞれが歴史的にも宗教的にも重要な役割を持っています。

カトマンズのダルバール広場(Kathmandu Durbar Square)

カトマンズ旧王宮があった場所で、「ダルバール」とは「王宮」という意味です。かつての王たちが暮らしたハヌマン・ドカ宮殿を中心に、多くの寺院や建物が立ち並びます。
女神の化身とされる少女「クマリ(Kumari)」が暮らす館も有名です。

パタンのダルバール広場(Patan Durbar Square)

正式名称は「ラリトプル」。古くから芸術と建築の都として知られています。広場の周辺には、美しい木彫りの装飾が施された建物が並び、「ネワール建築の宝庫」ともいわれています。
特に「クリシュナ寺院(Krishna Mandir)」はインドの影響を受けた石造りのユニークな寺院で、訪れる人を魅了します。

バクタプルのダルバール広場(Bhaktapur Durbar Square)

中世の雰囲気を最も色濃く残しているのがバクタプル。かつての王宮や寺院、噴水などが美しく保存されており、歩いているだけでタイムスリップしたような気分になります。

スワヤンブナート(Swayambhunath)

「スワヤンブナート」は「モンキー・テンプル(Monkey Temple)」の愛称でも知られる仏教の聖地。丘の上に建てられた白いストゥーパと金色の尖塔が印象的で、目玉のような「仏眼」が描かれているのが特徴です。

パシュパティナート(Pashupatinath)

ヒンドゥー教最大の聖地のひとつで、シヴァ神を祀る寺院。バグマティ川の岸辺には、今でも火葬の儀式が行われており、神聖な空気が流れています。
非ヒンドゥー教徒は本殿には入れませんが、周辺を散策するだけでもその特別な雰囲気を感じることができます。

ボダナート(Boudhanath)

巨大な仏塔「ストゥーパ」がある、ネパール最大のチベット仏教の聖地。ストゥーパの周りを時計回りに歩く「コルラ」をする人々の姿が印象的です。白いドームに金色の塔、そして仏眼が描かれた姿は、まさにネパールを象徴する風景の一つ。

チャング・ナラヤン(Changu Narayan)

カトマンズの渓谷で最も古いヒンドゥー教寺院とされ、4世紀ごろに建立されたと伝えられています。ヴィシュヌ神を祀るこの寺院は、石彫や金属彫刻の貴重な宝庫でもあります。丘の上に建つため、周囲の村の風景も美しく、静かな雰囲気が魅力です。

まとめ:英語で広がる世界遺産の旅

カトマンズの渓谷は、まさに「生きた世界遺産」。宗教と芸術が共鳴し、地震や都市化という試練を乗り越えながら、今も多くの人々の祈りがこだまする場所です。

英語を学ぶことで、こうした世界遺産の背景をより深く理解し、言葉を通して旅をするという体験ができるでしょう。