エチオピア北部、標高およそ2,500メートルに広がるアムハラ州。この地には、印象的な光景があります。それが、「ラリベラの岩窟教会群(Rock-Hewn Churches, Lalibela)」です。
この教会群は、12世紀から13世紀にかけて、巨大な岩山をくり抜いて造られた一連のキリスト教聖堂。まるで地面の下に隠された都市のように、礼拝堂や回廊、地下通路が張り巡らされています。
特に、聖ゲオルギウス聖堂(ベテ・ギョルギス)は十字架の形にくり抜かれた造形美で知られ、「エチオピアの8番目の不思議」とも呼ばれます。現地では今もなお宗教儀式が行われ、特に1月7日のクリスマス(エチオピア正教会ではこの日)には多くの巡礼者が集まります。
この記事では、ラリベラの岩窟教会群の歴史や宗教的背景、建築の秘密などを、英語フレーズとともに紹介していきます。
ラリベラの岩窟教会群とは?

ラリベラの町は、エチオピアの首都アディスアベバから北に約650km、標高は約2,500mと高いところにあります。
この地に壮大な岩窟教会群を築いたのは、12世紀末に即位したザグウェ朝のラリベラ王です。当時、キリスト教の聖地であるエルサレムはイスラム勢力の支配下にあり、エチオピアのキリスト教徒たちは巡礼が困難になっていました。
そこで王は、「第二のエルサレム」を自国に築くことを決意。こうして生まれたのが、岩山を掘り下げてつくられた11の教会でした。
エチオピアとキリスト教のつながり
エチオピアは、4世紀にキリスト教を受け入れた世界でも古いキリスト教国家の一つです。現在の「エチオピア正教会」は、ローマやギリシャとは異なる独自の儀式や暦を持ち、長い歴史と伝統を守り続けています。
この教会群の存在は、侵略や宗教弾圧から信仰を守り抜こうとした人々の強い信仰心の証でもあります。教会はすべて、ひとつの巨大な岩山から直接くり抜いてつくられており、内部には祭壇、聖堂、回廊などが配置されています。
外から見ると、岩の塊に見えるかもしれませんが、中に入ると壮大な聖空間が広がっているのです。
教会群内部の秘密:まるで迷宮
ラリベラの教会群は、それぞれが地下通路や狭い階段でつながっており、その構造はまるで巨大な迷宮のよう。通路の途中には井戸のような空間や、祈りの場もあります。
なかには真っ暗な地下のトンネルを通らなければたどり着けない教会もあり、まるで信仰の試練のようです。これは、宗教的な儀式や象徴性が深く関係しています。
教会群は今でもエチオピア正教の信者たちによって使われており、白いローブを身にまとった巡礼者たちが祈る姿は、「生きた遺産」といえるでしょう。
ラリベラのクリスマス:熱気と祈りに包まれる夜
エチオピア正教会の暦では、クリスマスは1月7日に祝われます。この日、ラリベラには全国から多くの巡礼者が集まり、夜通しで祈りや儀式が行われます。
信者たちはろうそくを手に、教会群を歩きながら聖歌を歌い、祈りを捧げます。暗闇に揺れる炎と、荘厳な歌声が響くラリベラの夜は、神聖な空気に包まれます。
アクセス方法
アディスアベバからラリベラへは、国内線の飛行機で約1時間。その後、車で1時間ほどの山道を進みます。道はやや険しいですが、たどり着いた先には、感動的な光景が待っています。
世界遺産としての価値

ラリベラの岩窟教会群は、1978年、Rock-Hewn Churches, Lalibelaの名称でユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されました。
登録理由とは?
ユネスコは、以下の点を評価してこの教会群を世界遺産に登録しました。
- 建築技術の卓越性:巨大な一枚岩から建物を彫り出すという驚異的な技術。
- 宗教的意義の高さ:中世キリスト教の信仰が形となった例として重要。
- 生きた文化遺産:現在も宗教施設として機能し、巡礼の地であること。
岩を削るだけでなく、柱やアーチ、装飾まで精緻に仕上げられている点でも、古代から中世にかけての建築美術の極致といえるでしょう。
UNESCO World Heritage Convention:Rock-Hewn Churches, Lalibela
覚えておきたい英会話フレーズ
ここでは、ラリベラの感動を英語で伝えるためのフレーズを紹介します。
訳)この教会、まるで山から直接彫り出されたみたいね!
訳)ほんとにすごい。12世紀に造られたなんて信じられないよ。
訳)ここって「第二のエルサレム」って呼ばれてるんだって。
訳)そう、王様が巡礼者のためにエルサレムを再現したかったんだ。
訳)なんでここでは1月7日にクリスマスを祝うの?
訳)エチオピア正教の暦に基づいてるんだ。今夜はほんとに美しいね!
おすすめスポット

ラリベラには、11の教会それぞれに個性的な特徴があります。とくに訪れてほしい3つを紹介します。
聖ゲオルギウス聖堂(ベテ・ギョルギス)
ラリベラを象徴する聖堂で、真上から見ると十字架の形をしています。岩を上から掘り下げるという逆発想の工法で建てられた傑作で、保存状態も非常に良好です。王ラリベラが夢で聖ゲオルギウスの啓示を受けたことが建設のきっかけとされています。
訳)聖ゲオルギウス聖堂は、ラリベラを象徴する聖堂で、真上から見ると十字架の形をしています。
ゴルゴタ・ミカエル聖堂(ベテ・ゴルゴタ・ミカエル)
ヨルダン川を挟んだ北側に位置し、内部にはキリストの墓とアダムの墓のレプリカがあります。2つの教会がつながるという独特の構造をしており、神秘的な雰囲気に包まれています。
訳)ゴルゴタ・ミカエル聖堂は、内部にキリストの墓とアダムの墓のレプリカがあります。
マリア聖堂(ベテ・マリアム)
ラリベラで最も古いとされる教会で、エチオピア正教における聖母崇拝の中心的存在です。内部には柱に刻まれた装飾や、美しい壁画が残っており、歴史と芸術性を感じさせてくれます。
おわりに:英語で世界遺産を旅しよう
ラリベラの岩窟教会群は、信仰と芸術、建築技術が融合した奇跡のような場所です。時間と空間を超えて、過去の人々の祈りや願いに触れる体験は、何ものにも代えがたい感動を与えてくれます。
ぜひ、次の旅では英語で感動を語り合える体験をしてみませんか?
