2024年、日本を訪れた外国人旅行者数は 約3,687万人 を記録し、2019年の最高値(約3,190万人)を上回る歴史的な回復を遂げました。
2025年には、約3,693,000人の訪日が5月だけで推定され、前年比21.5%の増加というデータもあります。

こうしたインバウンド需要の急増により、特色ある宿泊体験を提供する「ブックホテル」でも、外国人ゲストに英語で魅力を伝えるスキルが不可欠になっています。
本記事では、ブックホテルに特化した接客英語、単語、ロールプレイを紹介します。自信を持って接客ができるように反復練習をしましょう。

参照:観光庁|インバウンド消費動向調査

ブックホテルスタッフならではの接客英語とは?

ブックホテルは、一般的なビジネスホテルや観光ホテルとは異なり、「読書を楽しむための空間」が大きな魅力です。
そのため、スタッフに求められる英語表現も、本のある静かな空間を守るためのやさしく丁寧な言い回しが中心になります。
外国人ゲストにとっては、「読書ラウンジ」「本の貸出ルール」「静かに過ごす時間帯」などが新鮮で、質問されやすいポイントでもあります。
まずは、ブックホテルならではの接客で意識しておきたいポイントを確認しましょう。

ブックホテル特有の英語接客ポイント

ブックホテル特有の英語接客ポイント

  • 丁寧でやさしい言葉選びが基本
    → Please take your time.(ごゆっくりどうぞ)などの柔らかい表現を使う
  • 静かな空間づくりへの協力をやんわり伝える
    → We kindly ask guests to keep their voices down.(お静かにお願いします)など、お願いの形で伝える
  • 本を読む時間を“楽しむ”ことを提案する表現
    → Enjoy reading at your own pace.(ご自身のペースで読書をお楽しみください)

よく使う英語フレーズ例

  • Please enjoy your stay with your favorite books.
    (お気に入りの本とともに、素敵なご滞在をお楽しみください。)
  • This area is for quiet reading.
    (こちらは静かに読書を楽しむエリアです。)
  • We kindly ask guests not to talk on the phone here.
    (このエリアでの電話のご利用はご遠慮ください。)
  • You’re welcome to take books to your room.
    (本はお部屋にお持ちいただいても結構です。)

シーン別|ブックホテルスタッフが覚えておきたい英単語集

ブックホテルでの接客では、読書・静けさ・空間案内・カフェ業務など、独自の言い回しや用語が多く登場します。
ここでは、場面(シーン)ごとに覚えておくと役立つ英単語や表現を、英語+日本語訳でわかりやすく整理しました。

フロントでよく使う英単語

英単語・フレーズ 日本語訳
check-in チェックイン
check-out チェックアウト
passport パスポート
reservation 予約
room key 部屋の鍵
fill out a form 用紙に記入する
quiet hours 静かに過ごす時間帯

読書エリア・本棚案内で使える単語

英単語・フレーズ 日本語訳
reading lounge 読書ラウンジ
bookshelf 本棚
borrow / return 借りる/返す
genre ジャンル
fiction / nonfiction 小説/ノンフィクション
bring to your room お部屋に持っていく

カフェ・ドリンク提供時に便利な単語

英単語・フレーズ 日本語訳
café counter カフェカウンター
light meal 軽食
beverage 飲み物
tray トレー
available until ~ ~までご利用可能
clean up after use 使用後は片付けてください

清掃・マナー説明で役立つ単語

英単語・フレーズ 日本語訳
housekeeping 清掃業務
shared space 共有スペース
slippers スリッパ
amenity アメニティ
tidy up 片付ける
please be quiet お静かにお願いします

すぐに使える!接客英語のフレーズ集|“快適な読書空間”を提供するには?

ブックホテルでの接客では、「歓迎の言葉」「施設案内」「読書マナー」「安心感を伝える一言」など、短くて丁寧な英語フレーズが活躍します。
ここでは、シーン別に覚えておくとすぐ使える接客英語の決まり文句をご紹介します。

フロントでのあいさつ・チェックイン

  • Welcome to our book hotel.
    (ようこそ、当ブックホテルへお越しくださいました。)
  • May I see your passport, please?
    (パスポートを拝見できますか?)
  • Please fill out this form.
    (こちらの用紙にご記入ください。)
  • Your room is on the third floor.
    (お部屋は3階です。)

読書エリア・本棚の案内

  • Please enjoy reading in the lounge.
    (ラウンジで読書をお楽しみください。)
  • You can bring up to three books to your room.
    (お部屋へは3冊まで本をお持ちいただけます。)
  • After reading, please return the books to the return shelf.
    (読み終えた本は返却棚にお戻しください。)
  • This area is for quiet reading.
    (こちらは静かに読書を楽しむエリアです。)

カフェや施設利用案内

  • The café is open from 7 a.m. to 9 p.m.
    (カフェは朝7時から夜9時まで営業しています。)
  • Light meals and drinks are available at the counter.
    (軽食と飲み物はカウンターでご注文いただけます。)
  • Please do not bring outside food into the reading lounge.
    (読書ラウンジへの外部の飲食物の持ち込みはご遠慮ください。)

滞在を快適にする気配りの一言

  • If you need any help, feel free to ask.
    (ご不明点があれば、お気軽にお尋ねください。)
  • We hope you enjoy a relaxing time with your favorite books.
    (お気に入りの本とともに、ゆったりした時間をお過ごしください。)
  • Thank you for your cooperation in keeping the space quiet.
    (静かな空間づくりへのご協力ありがとうございます。)

実践ロールプレイング|会話形式で学ぶ英語接客

実践ロールプレイング|会話形式で学ぶ英語接客

実際の接客シーンを想定して、短くて伝わる自然な英会話例を練習しておきましょう。
ここでは、ブックホテルでよくある6つの場面を、英語と日本語訳つきのロールプレイ形式で紹介します。

シーン①:チェックインでの英語対応

Guest
Hello. I have a reservation under the name “Emily Watson.”
(こんにちは。「エミリー・ワトソン」で予約しています。)

Staff
Welcome, Ms. Watson. May I see your passport, please?
(ようこそワトソン様。パスポートを拝見できますか?)

Guest
Sure. Here you are.
(はい、どうぞ。)

Staff
Thank you. Your room is on the second floor.
(ありがとうございます。お部屋は2階です。)

シーン②:読書ラウンジの案内

Staff
This is our reading lounge. You may enjoy any books here.
(こちらが読書ラウンジです。お好きな本をご自由にお読みいただけます。)

Guest
Great! Can I take books to my room?
(素敵ですね!本は部屋に持って行けますか?)

Staff
Yes, up to three books per guest. Please return them before check-out.
(はい、お一人様3冊までお部屋にお持ちいただけます。チェックアウト前にご返却ください。)

シーン③:カフェの注文対応

Guest
Hi, do you have any non-caffeinated tea?
(こんにちは。カフェインの入っていないお茶はありますか?)

Staff
Yes, we have herbal tea and rooibos.
(はい、ハーブティーとルイボスティーがございます。)

Guest
I’ll take the rooibos, please.
(ルイボスティーをお願いします。)

Staff
Sure. Please have a seat and I’ll bring it to your table.
(かしこまりました。どうぞお席でお待ちください。お持ちいたします。)

シーン④:静かにしてほしいとお願いする場面

Staff
Excuse me, may I kindly ask you to lower your voice in this area?
(恐れ入りますが、こちらではお声を抑えていただけますか?)

Guest
Oh, sorry! I didn’t realize it was a quiet zone.
(あっ、すみません!ここが静かなエリアだとは気づきませんでした。)

Staff
Thank you for your understanding. We hope you enjoy your reading time.
(ご理解いただきありがとうございます。どうぞ読書をお楽しみください。)

シーン⑤:本の場所を聞かれたとき

Guest
Do you have any books in English?
(英語の本はありますか?)

Staff
Yes, English books are on the left shelf near the café.
(はい、英語の本はカフェの近く、左側の棚にございます。)

Guest
Perfect. I’ll take a look. Thanks!
(ちょうどよかった。見てみます。ありがとう!)

シーン⑥:チェックアウト時の対応

Guest
Hi, I’d like to check out.
(こんにちは、チェックアウトをお願いします。)

Staff
Certainly. May I have your room key, please?
(かしこまりました。お部屋の鍵をお預かりしてもよろしいですか?)

Guest
Here you go. Thank you for the relaxing stay.
(はい、どうぞ。ゆっくり過ごせました、ありがとうございました。)

Staff
We’re glad to hear that. Have a safe trip!
(そう言っていただけて嬉しいです。お気をつけてお帰りください!)

まとめ|読書空間にふさわしい“やさしい英語”で心地よい接客を

訪日外国人の増加は、今後も継続的なトレンドとなることが予測されており、2025年には4,000万人超の訪日も視野に入っています。
そのような背景において、読書と宿泊を両立する「ブックホテル」は、ユニークな滞在スタイルとして注目されており、英語でその魅力を伝える力が直接的にサービス評価につながります。

本記事で紹介した内容を活用すれば、

  • 読書体験を重視する空間での案内やマナー説明
  • チェックインからカフェでの接客まで使える英語フレーズ
  • 実際のやり取りを想定したロールプレイで練習できる

など、実務に即した「使える英語力」が身につきます。2024〜2025年のインバウンド需要回復を踏まえ、静かで丁寧、かつ温かみのある英語接客が、ブックホテルの評価を左右する重要な要素となるでしょう。
少しずつ日々の業務で活用し、静かな読書空間にふさわしい接客スタイルを築いてください。

参照:JNTO|訪日外客統計