アメリカのダイナーやカジュアルなレストランに行くと、必ずといていいほどメニューにある「ミルクシェイク」。子どもはもちろん、大人にも人気なスイーツです。アメリカにいる大人にとっては、その味は「青春の味」「子どもの気分になれる味」だとも言われています。
日本ではあまり見かけることのない「ミルクシェイク」。アメリカではどのような時に飲まれ、どのような味があるのでしょうか。今回はアメリカのミルクシェイクについて深掘りしていきます。
アメリカのミルクシェイクの位置づけ

アメリカにおいて、ミルクシェイクは主にデザートドリンクとして位置づけられています。特にファストフード店でハンバーガーやフライと一緒に提供されたり、ダイナーやカフェでの甘いデザートとして楽しまれることが一般的です。子どもから大人まで幅広く親しまれており、ちょっとしたご褒美やおやつ感覚で飲まれることが多いです。
アメリカでミルクシェイクが飲み始められた経緯
19世紀末、アメリカでは「milkshake」という言葉が登場しました。当時は卵やウイスキーを混ぜた“滋養飲料”のような存在で、薬局やソーダファウンテンで提供されていました。1886年には、アトランタ・コンスティチューション紙で“Milk Shake”と表記されたのが最初の記録とされています。
参考:Art Of Drink
そして、やがて20世紀初頭には、アルコールが抜け、チョコレート・バニラ・ストロベリーなどのシロップで風味をつけた甘い飲み物として普及していったと言われています。
ミルクシェイクは、戦後のアメリカにおけるダイナー文化と深く結びついています。1950年代には、ハンバーガーやフライドポテトと共にミルクシェイクはダイナーの定番メニューとなり、多くの若者が集う社交の場を象徴する存在になりました。
また、ミルクシェイクは映画やテレビドラマにも頻繁に登場し、青春やノスタルジーの象徴として描かれます。たとえば『グリース』や『ハッピーデイズ』などでは、ダイナーでの青春の語らいの場面としてよく使われます。
参考:Wikipedia
さらに、チョコ、バニラ、ストロベリーといったクラシックなフレーバーに加え、「マルト」(malt=麦芽)、「コンクリート」(非常に濃厚で器を逆さにしても落ちないタイプ)など、多様なバリエーションが生まれてきたことも、アメリカの多様性と個人によるカスタマイズ嗜好を反映しています。
参考:AP NEWS
スムージーとミルクシェイクの違いは?

スムージーとミルクシェイクはどちらも冷たい飲み物ですが、その目的や材料は大きく異なります。ミルクシェイクはアイスクリームとミルクをベースに作られ、非常に甘く、高カロリーなものが多いのに対し、スムージーはフルーツや野菜、ヨーグルト、ジュースなどを使って作られ、栄養バランスや健康志向を意識した飲み物とされています。スムージーが朝食や健康管理のために選ばれる一方で、ミルクシェイクはあくまでも「楽しむための飲み物」という位置づけです。
アメリカの地方で異なるミルクシェイクの呼ばれ方
また、地域によっては呼び方や意味に違いがあることもあります。たとえばアメリカ北東部の一部地域(ニューイングランド地方)では、”milkshake”という言葉がアイスクリームを含まない飲み物を指し、アイスクリームが入った本格的なシェイクは”frappe(フラッペ)”と呼ばれることがあります。ただし、アメリカ全体では”milkshake”といえば通常、アイスクリームが入っているものを指すのが一般的です。
一般的なミルクシェイクの味

人気のフレーバーには、バニラ、チョコレート、ストロベリー、オレオ、ピーナッツバター、バナナなどがあり、どれもリッチで満足感のある味わいです。全体的に見て、ミルクシェイクは日常的な健康飲料というよりは、特別な楽しみや贅沢として楽しまれる存在となっています。
最新のトレンド分析によれば、アメリカで最も人気のあるミルクシェイクのフレーバーは、チョコレート、ストロベリー、バニラの順で常に上位を占めています。
参考:taste wise
最近トレンドの面白い味のミルクシェイク
最近では、ミルクシェイクは子どもだけでなく大人も日常的に楽しめるように様々なフレーバーがあります。例えば、コーヒーとブラウンシュガーを組み合わせた大人向けシェイクや、最近人気の抹茶を使ったミルクシェイクなどがあります。
アメリカのマクドナルドでは、”Mt. McDonaldland Shake”という大人向けの“ベリー風味+綿あめ風ピンクホイップ”付きシェイクが、限定プロモの一環として登場し、写真映えもすることから大人の間で話題となっています。
参考:AXIOS
“milkshake”は数えられる名詞?
英単語”milkshake”(ミルクシェイク)は数えられる名詞です。そのため、「1つのミルクシェイク」「2つのミルクシェイク」と言う場合は、
- a milkshake(1つのミルクシェイク)
- two milkshakes(2つのミルクシェイク)
となります。ミルクシェイクは、グラスなどに入れて1杯ずつ提供される飲み物なので、個別に数えることができるというわけです。
数えられない飲み物例
ちなみに、以下のような飲み物は基本的に数えられない名詞です。
- milk(牛乳)
- coffee(コーヒー)
- water(水)
「1杯・2杯」と数えるときは容器を使って数えることができます。例えば、
- a cup of coffee
- two bottles of water
です。注意しておきましょう。
“milkshake”を使った英語例文英語

ここでは、”milkshake”という英単語を例文を使って紹介します。英語圏でオーダーする際に参考にしてみて下さい。
訳)こんにちは。チョコレートミルクシェイクを一つお願いします。
訳)もちろんです!小さいサイズと大きいサイズどちらにしますか?
訳)大きいサイズをお願いします。
「ミルクシェイクを飲みに行こう」という会話は以下のような表現ができます。
訳)放課後にミルクシェイク飲みにいかない?
訳)いいですね!ずっとミルクシェイク飲んでいないわ。
※grab a milkshakeは、「ミルクシェイクを飲みに行く」という意味
「ミルクシェイク」はアメリカの文化
アメリカに旅行に行った際に絶対試していただきたい「ミルクシェイク」。重たいハンバーガーやフライドポテトに、冷たく甘いミルクシェイクがお腹のなかで中和し、幸せな気持ちになります。ミルクシェイクはアメリカでも歴史がある飲みもので、お店によっては昔から全く変わらないレシピのドリンクやヘルシー志向なモダンなメニューも楽しめます。ぜひ、アメリカに行く際はミルクシェイクにチャレンジすることをお忘れなく。

