インド・マハーラーシュトラ州北部、深い峡谷の崖面に並ぶ「アジャンター石窟群(Ajanta Caves)」。その岩壁には、仏教の教えが、壁画と彫刻を通して静かに語りかけてくるようです。
この石窟群は、仏教が隆盛を極めた古代インドの思想と芸術が結晶した場所のひとつ。英語を交えながら旅してみましょう。
アジャンター石窟群とは?

インド西部マハーラーシュトラ州オーランガーバード郊外、ワゴーラー川沿岸の峡谷崖面に、約 550 m にわたって散在する 大小30の石窟 からなる仏教遺跡群です。
石窟群の歴史
アジャンターの初期石窟は、2世紀前後から徐々に掘削・使用され、比較的質素な彫刻・装飾を備えていました。2世紀にいったん放棄され、3~5世紀に仏教が普及するに伴い再度開窟されます。
その後、仏教がインド全土で影響力を増しますが、7〜8世紀になると、ヒンドゥー教や他の宗教が台頭し、仏教文化は次第に衰退。アジャンター石窟群も次第に放棄され、密林に覆われたまま長い間人々の眼から隠されることになります。
石窟群の再発見と注目
1819年4月、狩猟遠征中のイギリス軍人 ジョン・スミス が、虎を追ってワゴーラー渓谷を下っていた際、崖面に施された細かな装飾の窓のような彫刻を発見したことが、アジャンターの再発見のきっかけと伝えられています。
このとき、ジョンは第10石窟に自分の名前を彫り込んだとされ、また多くの石窟がコウモリの住処と化していたと記録されています。
この再発見後、考古学者・美術史家らが調査を開始し、アジャンターの壁画・彫刻美術は徐々に世界的評価を受けるようになりました。
世界遺産としての価値
アジャンター石窟群(Ajanta Caves)は、1983年に ユネスコの世界文化遺産として登録されました。
登録された理由・評価
登録理由・価値として挙げられる点は次のとおりです。
- アジャンターの壁画・彫刻は、仏教美術の芸術的傑作である。
- アジャンターの建築様式は、アジア全体に影響を与え、インドネシアにまで普及した。
- アジャンターは、仏教が隆盛期を迎えた時期の思想や社会構造を後世に伝える場となっている。
- 自然の地形を生かした造形が美しく、彫刻と壁画が自然と一体化している。
覚えておきたい英語
以下は、本記事で登場したり関連性の高い英語語彙・表現です。ぜひ覚えてみてください。
- rock-cut (岩を)切り抜く、岩を掘って造る
The Ajanta Caves are rock-cut monuments carved into a cliff.
アジャンター石窟群は崖を切り抜いて造られた遺跡だ。 - fresco フレスコ画
Many caves are decorated with frescoes depicting stories from Buddhism.
多くの石窟には仏教の物語を描いたフレスコ画がある。 - rediscover 再発見する
The caves were rediscovered in 1819 by a British officer during a hunting trip.
この石窟群は1819年、狩りをしていたイギリス人将校によって再発見されました。 - abandon 放棄する・捨てる
The ancient temple was abandoned for centuries.
その古代の寺院は何世紀ものあいだ放棄されていました。
旅先で使える英会話フレーズ
アジャンター石窟群を訪れたときに使える会話例を紹介します。他の場所を訪れた時にも使えますので、ぜひ覚えてみてください。
訳)あの鮮やかな色!何世紀経っても、今も生きてるみたいだね。
訳)信じられないほどよく残ってるね。あの芸術家たちは真の名人だね。
訳)この石窟、岩の一部のように彫られてるね。
訳)ほんと、機能的で美しい岩切建築だよね。
訳)時の経過での劣化が気になるね。
訳)観光と保全を慎重に両立させないとね。
訳)この石窟、狩りをしていたイギリス人将校が偶然見つけたって知ってた?
訳)ほんとに?まるで映画みたいな話だね!
おすすめ見どころ

アジャンター石窟群は広大なので全部を訪れるのは難しいですが、とくにおすすめのスポットを紹介します。
第1・第2窟(Cave 1, Cave 2)
最もよく知られた石窟で、壁画・天井画の美しさが際立っています。特に第1窟の壁面には 蓮華手菩薩があり、アジャンター石窟群の最高傑作といわれています。
技法として、粘土・下地に石灰を使い、ラピスラズリや鉱物顔料などを加えて彩色した手法が用いられています。
第16窟(Cave 16)と 象の門(Elephant Gate)
第16窟を訪れると、「象(elephant)」をモチーフにした彫刻門(象の門)を通って内部へ入る構造があり印象的です。
第26窟(Cave 26)
後期のチャイティヤ窟(祈祷堂)とされ、洞窟内部には 全長約 7.3 m の涅槃像が横たわる構造が見られ、穏やかな表情を浮かべています。
周囲の列柱やレリーフ装飾も精緻で、壁画と彫刻が複雑に絡み合った空間です。
グプタ美術様式の壁画と装飾
後期石窟では、グプタ美術の影響を受けた 飛天(空を舞う天女)や蓮華、鳥獣 モチーフなどが出現し、物語性・装飾性ともに充実しています。これらの図像は、文盲の人々に教えを説く役割を果たしました。
おわりに:英語で世界遺産を旅しよう!
アジャンター石窟群は、壁画や彫刻のひとつひとつが、数百年・千年を越えて語りかけてくるようです。その歴史や祈りのメッセージを英語で表現すれば、世界中の人々と感動を分かち合うことができます。
この記事で紹介した語彙やフレーズを使って、英語のニュース記事や旅行記を読んでみてください。もちろん、旅先でも英語で感動を伝えてみてください。自分の言葉で感じたことや驚きを英語で表現することで、旅の経験はより深く、鮮やかに心に刻まれます。たとえ簡単なフレーズでも、「素晴らしい!」「信じられない!」といった気持ちを伝えるだけで、現地の人やほかの旅行者とのコミュニケーションがぐっと楽しくなるでしょう。
