「英語で何て言う?」コーナー、今回は日本の「お風呂」と「お布団」に関する英語をご紹介します。
生活のなかで、「お風呂」と「お布団」は、特に英語圏との文化の違いがはっきりしています。日本独特の習慣を、英語ではどのように伝えればいいのでしょうか?
まずは、「お風呂」の言葉から解説していきます。
お風呂に関する英語・英文
お風呂全体のことを “bath”、浴そうは “bathtub”、シャワーは”shower”、日本人におなじみの湯おけは “pail” と言います。
“pail”は液体を運ぶときに使う桶やバケツのことを言います。
ちなみに “bath”という言葉は、約2,000年前にローマ人が、イギリスの「バース」という街に大浴場を作ったことに由来していると言われています。
現在、海外では “shower”が主流になっていますが、これには、伝染病のペストが流行したから、宗教上で快楽を禁じたから、などさまざまな説があるようです。
一方、日本のお風呂の歴史を紐解いてみると、すでに6世紀から「汚れを落とすため」というだけでなく「健康や幸福を得るため」のものという考え方があったようです。
それは、仏教で「汚れを落とす=仏に仕える者の仕事」という沐浴の考え方があったからです。たくさんのお寺で浴堂が作られ、参拝する人を入浴させたといいます。
「お風呂に入って汚れを落とす」という行為が、西洋では禁止の対象になり、日本では積極的に勧められたという違いが、面白いですね。
では、日本のお風呂について英語で説明してみましょう。
例文をご紹介します。
“A bath is separate from a toilet.”
日本語訳)ふろはトイレと別になっています。
“Don’t wash yourself in the bathtub.”
日本語訳)浴そうの中で体を洗っちゃだめ!
次は、具体的な入り方についてです。
お風呂の入り方(HOW TO TAKE A BATH)
“Wash oneself outside the bathtub and rinse.”
日本語訳)浴そうの外で体をきれいに洗います。
“Immerse oneself in the hot water. All family members use the same bath water.”
日本語訳)浴そうの湯につかる。浴そうの湯は家族全員で使います。
“Put a lid on the bathtub so the water doesn’t get cold.”
日本語訳)ふろから出るとき、湯が冷めないようふたをします。
それでは、次に「お布団」についてみていきましょう。
お布団に関する英語・英文
お布団はそのまま “futon”でOKです。布団が何なのか説明する場合は、”thick bed quilt and mattress”が良いでしょう。
掛け布団は “bed quilt”、敷き布団は “mattress”、枕は “pillow”、シーツは”sheet”です。
シーツは1枚の場合 “sheet”となり、複数形の “sheets”ではないので注意が必要です。英語圏では掛け布団のカバーがなく、体の上と下に1枚ずつ、計2枚のシーツを使うことがほとんどです。ホテルに泊まると大体そうなっていますよね。日本では、通常体の下に1枚だけなので、”sheet”となります。
お布団についての例文をご紹介します。
“They are spread on the tatami floor at night and stowed away in the closet in the morning.”
日本語訳)ふとんは、夜はたたみの上に敷き、朝は畳んで押し入れにしまいます。
布団のたたみ方(HOW TO FOLD FUTON)
“Bed quilts are folded into fourths.”
日本語訳)かけぶとんは4つにたたみます。
“Mattresses are folded into thirds.”
日本語訳)しきぶとんは3つにたたみます。
ところで、日本で一番古いとされる “bed”は、奈良県の東大寺にある高床式倉庫「正倉院」にあります。それは、約1,600年前に聖武天皇が寵愛した品々を納めたときに、一緒に献納された寝台です。
ちなみに、このベッドは中国から伝わってきたもので、スノコのように8本の木材を組み合わせて作られていて、上に畳を敷いて使われていたようです。
やがて、平安から鎌倉・室町と時代が進んでいくなかで畳の文化が登場し、ベッドは日本で広まることはありませんでした。
そして、現在、日本で使われている「お布団」に近いものは、江戸時代になってようやく登場します。といっても、当時は綿を使った布団は高価だったので、庶民はワラを敷いて、紙を掛けて寝ていたとか。何とも寒そうですね。
旅館ー布団で寝て共同浴場に入れる宿
日本で布団を使う体験ができる場所と言えば、旅館です。旅館は、英語で “Ryokan”で通じるようになってきましたが、詳しく説明するなら、”traditional Japanese inn”となります。
日本で「旅館」に宿泊したら、布団を使って寝ることになります。その際には、ぜひ先ほど紹介したように布団をたたみの上にしいて就寝し、朝起きたら、布団を畳んで押し入れにしまいましょう。
日本でも寝室にベッドが置いてあるホテルが増えてきましたが、伝統的な日本の旅館では、客人は今でも和室(たたみの部屋)に布団を敷き、共同浴場に入るというスタイルを維持しています。
訳)日本では、ホテルの数が増えてきました。
訳)でも、日本にはまだ伝統的な旅館があって、僕は旅館に滞在してお風呂に入るのが好きだよ。
共同浴場
ほとんどの旅館には男女別の共同浴場があり、近くに温泉があれば、旅館は共同浴場にその湯を利用しています。
共同浴場は、英語で “common bathing area” といいます。旅館に宿泊したら、共同浴場でお風呂に入るのが一般的です。
訳)ほぼすべての日本の旅館が、男女別の共同浴場を持っているね。
訳)1854年、ペリーが日本に来航した時、共同浴場で男女が混浴しているのを見て驚いたんだって。
訳)それは江戸時代末期だね。私はその時代に生まれていなくてラッキーだわ。
火山性温泉
日本には火山が多く、火山のある場所には火山性温泉があります。日本は、3,000か所を超える温泉地を有する温泉大国です。火山性温泉の特徴について整理しておきましょう。
火山性温泉とは、一言で説明すると、「火山の地下にあるマグマ溜まりを熱源とする温泉」です。世界の活火山の約7%が、日本にあると言われています。小さな島国なのに、世界中の火山の10%弱が日本に集中して存在しているというのはすごいですね。
活火山は、英語で”active volcano”といいます。火山は「温泉」という副産物をもたらして、日本人に多大な恩恵を与えてきましたが、私たちは火山活動に伴う危険にもさらされてきました。日本人は太古の昔から火山帯に暮らしており、活火山の活動のため、危険にさらされながらも、その副産物ー温泉などを活用するしかなかったのですね。
訳)日本には火山性温泉が非常に多く、それらは活火山がもたらした副産物です。
浴衣(ゆかた)
温泉に入浴した後は、旅館の客室に置かれていた浴衣に着替えるのがおすすめです。男性の浴衣と女性の浴衣があり、浴衣、羽織、帯のセットは、各客室の宿泊人数に合わせて置かれています。「浴衣」は英語で”Yukata” または “summer kimono”で通じます。
いくつかの旅館では、たくさんの浴衣のデザインや帯を選ぶこともできます。もし浴衣のサイズが合わない場合には、旅館の仲居さんに伝えると、サイズを取り換えてくれるでしょう。旅館には、バスタオルやフェイスタオルなどのアメニティも揃っています。
訳)日本の旅館に宿泊したら、共同温泉を利用するのが楽しみの一つです。
訳)温泉に入った後は、浴衣を着るよ。そうすると、とてもリラックスできる。
まとめ
いかかでしたか?
お布団に関しては、最近はベッドで寝ている方が、かなり増えてきたのではないでしょうか。
とはいっても、バスタブの中で体を洗わなくてはいけなかったり、2枚のシーツに挟まれたりなど、海外の文化に触れると、日本人としてはまだまだしっくりこない感じもありますよね。
日本では「お風呂」も「お布団」も、どちらもリラックスするためのものとして進化してきました。お風呂に入って「はぁ〜」、布団に入って「ふぅ〜」 というあの安らぎは、長い年月をかけてできたものなんですね。
それでは、次回をお楽しみに!
引用文献:アンカー大人のための英語学習辞典 2016年12年20日初版第1刷発行 株式会社学研プラス