なにか新しいものを購入した際に必ず「マニュアル」がついてきます。皆さんはマニュアルをしっかり読み込む派ですか?それとも、一切読まずになんとなく使ってみる派ですか?今回は、そんな誰もが一度は読んだことがあるであろう、マニュアルに関して解説していきます。

日本語では「マニュアル」や「取扱説明書」と呼ばれますが、英語ではどのように表現するのでしょうか?確認してみましょう。

manualの意味

まずはマニュアルの元となる”manual”の意味を確認してみます。実は名詞だけでなく、形容詞の意味もあり、意外と汎用性の高い英単語です。

手の、手動の

IT化が進み、多くの物事が自動で行われるようになりました。しかし一方で、伝統的な製法は未だに手動で行われる作業もありますよね。このような手動のものを表す際に”manual”が使われます。

Aさん
Even though the machine has been broken, the manual operation is available now.
訳)この機械は壊れているけれど、手動操作でなら動きます。

また手話の1つに”manual alphabet”というものがあります。手話は”sign language”と呼ばれ、あらゆるものを表現できますが、手話で表現できない言葉(固有名詞など)はアルファベットを1文字ずつ記して表現するそうです。この1文字ずつが”manual alphabet”と呼ばれます。

肉体の、手作業の

手動という意味から派生して、「手作業の、肉体の」という意味を持ちます。”manual work”という形で使い、手作業などの細かい作業を含む「単純作業、肉体労働」を意味します。肉体労働には”labor”という英単語がありますが、大きな違いは、労力の差です。”labor”は、力仕事のニュアンスが強いですが、”manual work”はその限りではありません。

説明書、マニュアル

今回のメインとなる「マニュアル」という意味です。ここでは、ケンブリッジ英英辞典を引用してみます。

Aさん
a book that gives you practical instructions on how to do something or how to use something, such as a machine
訳)機械などの使い方を指南する本

ここから分かる通り、本来の”manual”は冊子そのものを意味します。

(車の)マニュアル

手動でギアを切り替える車をマニュアル車、もしくはマニュアルと言いますよね。英語も同じです。一方で自動でギアが変わる車をオートマと言いますが、これは”automatic”に由来しています。

取扱説明書を使い分けよう

取扱説明書を使い分けよう

マニュアルと言っても、種類は様々です。使用方法を書いたマニュアルもあれば、組み立て方を書いたマニュアルもあります。ここでは、それぞれの使い分けについてみていきましょう。しかし、英語でも曖昧なところがあるため、次の説明が必ずしもすべてのマニュアルに当てはまるとは限らないので、その点ご留意ください。

manual

機械の取り扱い、特に家電の扱い方を説明した小冊子は”manual”と呼ばれる傾向にあるようです。また、企業の指針などが書かれたものも”manual”と呼ばれます。

Aさん
It’s not working. Let’s look into the manual!
訳)うまく動きません。マニュアルを見てみましょう!

instructions

まず“instruction”を「取扱説明書、マニュアル」の意味で使う場合には、複数形にするという点に注意しましょう。”instruction”は「指示、命令」という意味で、指示が複数含まれたものが説明書ですよね。このことから、”instruction”は通常複数形で「取扱説明書」の意味になります。

Aさん
Have you checked the instructions?
訳)取扱説明書はちゃんと確認しましたか?

instruction manual

上記2つを合わせた表現です。意味は同じく「取扱説明書」を表します。注意すべきは、この表現の場合は”instruction”は複数形にならないという点です。

Aさん
I checked the instruction manual, but I can’t figure out how to use it.
訳)取扱説明書を読んだのに、どうやって使ったらいいか分かりません。

user’s manual

ユーザー向けに作られたマニュアルは”user’s manual”です。通常の”manual”とほぼ同義と考えてよいでしょう。ユーザー向けに作られているので、ユーザー目線で誰にでも分かるように作られているのが特徴です。

Aさん
Here is the user’s manual.  It should be easier to understand.
訳)ユーザーズマニュアルがあります。こっちの方が分かりやすそうです。

operation guide

重機や機械の操作、実験の手順など専門性の高いマニュアルに使われます。通常のマニュアルとは異なり、より詳しい手順や注意点が細かく書かれているという特徴があります。

Aさん
It is my first time operating this machine.  I will read the operation guide from cover to cover.
訳)この機械の操作は初めてです。まずはオペレーションガイドをすみからすみまで読み込みます。

handbook

“handbook”は”manual”のさらに要点だけをまとめて、持ち運べるようにしたものです。”manual”と比べて情報が少ないですが、いつでも手軽に確認できるという利点があります。

Aさん
I always bring a handbook just in case.
訳)私は念の為にいつもハンドブックを持ち歩いています。

”manual”と”instructions”の違いを理解しよう

”manual”と”instructions”の違いを理解しよう

マニュアルの意味でよく使われる表現が、”manual”と”instructions”です。この2つの表現には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?

manualは小冊子

前述の通り、”manual”は小冊子を意味します。”user’s manual”や”operation mannual”のように、”manual”の前に具体的なマニュアルの内容や対象者をつけることもでき、”manual”はこれらの総称と考えるとよいでしょう。

instructionsは指示そのもの

”instructions”の元の意味は「指示、命令」です。”instructions”は、商品の使い方や作り方の情報そのものを意味します。そのため、”instructions”は必ずしも明文化したものである必要はなく、口頭での説明も含まれます。本の形で残っているマニュアルを言いたい場合は”manual”がより適切です。

まとめ

今回は日本語で「マニュアル」「取扱説明書」を意味する表現を解説してきました。日本語同様、英語でも様々な表現があり、状況に応じて使い分けることができます。必ずしも使い分ける必要はなく、”manual”だけを使っても問題はありません。英語には類義語が多く存在しますが、使い分けなくても意味は伝わります。しかし、言葉1つでより細かいニュアンスまで伝えられるので、余裕があれば類義語とその使い分けまで覚えておきましょう!