「大学院」と言われても、自分には縁遠い話だと思われる方も多いかもしれませんね。
しかし、例えばお子さんが大学院進学を志望される場合があるかも。
そして何より、第二の人生として子育て後に「学び直し」として大学院に入学する方もいますよね。
大人になってから好きな分野について勉強するのはとても楽しいので、この先「大学院で学び直したい!」と思うような分野が見つかるかもしれません。
しかし、大学院で勉強する時は、実は英語力が求められる場合も意外と多いのです。
この記事では、大学院に関わる時に役に立つ表現を紹介していきます。
大学院って英語でなんて言うの?
「大学院」は、アメリカ英語では「graduate school」、イギリス英語では「postgraduate school」と表現します。
「大学を卒業(graduate)した後に通う場所」という意味では、イギリス英語の「postgraduate school」という表現の方が分かりやすいのですが、様々な国で通じやすいのは「graduate school」という表現なので、実用的にはアメリカ英語での表現をおさえておくと便利です。
「大学院」にまつわるお役立ちワード
日本の大学院は、一般的に「修士課程」2年を終了して「修士号」を取得した後、博士課程3年を修了して「博士号」を取得することになります。
英語で大学院生一般をさす時は「graduate student」と表現します。また、カジュアルな会話の中では「grad student」と省略した表現を使うことも多いようです。
- 「修士(master)」修士課程を修了した人
- 「博士(Doctor)」博士課程を修了し博士課程を取得した人
仕事関係で「MBA」という肩書をよく耳にするかもしれませんが、これは「Master of Business Administration(経営学修士)」の略です。
また、英語の学術論文を見ると、著者の名前の後に「Ph.D.」と書いてあることが多いのですが、これは「Doctor of Phylosophy」の略で、「博士号取得者」という意味です。
「Phylosophy」というと「哲学」と訳す言葉というイメージが強いと思いますが、この場合の「Phylosophy」は「学問全般」を指すので、「Ph.D.」は哲学に限らず「学問を修めた人」を指します。
「修士号」は「master’s degree」、「博士号」は「doctor’s degree」といいます。
ちなみに、日本で就職する場合にはあまり意識しませんが、4年制大学を卒業すると、「学士号(bachelor’s degree)」を取得していることになります。
Bachelorというと、「独身男性」という意味のイメージが強いと思いますが、英語圏では一般に学士号を意味する言葉なので、単純に「I’m a bachelor.」と言うと、基本的には「学士号を取得している人」と解釈されるので、文脈によって使い分けましょう。
「大学院」を含む例文一覧
大学院の、たとえば修士課程に通っていることを伝えたいときはどうすればいいでしょうか。
「I’m a master’s student.」と言っても伝わりますが、以下のような表現が自然です。
I’m working on my master’s degree.
訳)私は大学院生(修士)です
同様に、博士課程に通っていることも下記のように言うと伝わりやすいです。
I’m working on my doctor’s degree.
訳)訳)私は大学院生(博士)です
また、「論文」は一般的に「article」と表現しますが、修士論文や博士論文についてはちょっと特殊な表現をします。
I’m writing a master’s thesis.
訳)私は修士論文を書いています
I’m writing a doctoral thesis.
訳)私は博士論文を書いています
I’m writhing a doctoral dissertation.
訳)私は博士論文を書いています
「thesis」は「主張」、「dissertation」は「論説」と、日本語ではどちらも「論文」という訳になりますが、微妙にニュアンスの違う言葉で、ネイティブでも、人によってどちらがしっくりくる表現かは違うようです。
大学院生に英語力は必要か?
日本の大学院を卒業するぶんには、英語はあまり必要がない場合もあります。
また、日本文学など日本語に特化した分野を専攻している場合や、その分野のエキスパートになる目的での在学でないなら、特に英語力は必要ないかと思います。
ただ、多くの分野で研究職などのエキスパートを目指している場合は、大学院生の時点で英語で論文を執筆したり学会発表したりできるだけの英語力を磨いた方がいいと思います。
日本語で論文を書いても、日本人研究者にしか伝わりませんが、海外の研究者や専門家は大半の人が英語をマスターしているので、英語で発表することで自分の研究や考えを世界中に伝えることができます。
また、英語の論文を読むことで、世界中の研究についての情報を得ることができるので、英語を扱えるのと扱えないのとでは、研究者としての実力は大きく違ってきます。
日本人の場合、論文を読んだり執筆したりできるようになるにはそれほど苦労しないかもしれませんが、英語で学会発表をするとなるとぐっとハードルが高いものに感じますよね。
特に、自分が発表する内容は事前の練習が可能ですが、特に海外で開催される国際学会では、質疑応答に適切に答える必要があります。
ただ、英語での研究発表というと小難しい話の場のように思えますが、基本的に自分の考えを相手に伝えるのが目的なので、シンプルで平易な表現を用いる場合が多いので、専門用語さえ押さえておけば実はわかりやすい内容と言えます。
また、論文に関しては文法的に正しい表現が要求されますが、質疑応答に関しては、内容が伝われば特に正しい文法表現は求められません。
論文も、ある程度自分で書いたあとは、慎重を期すためにネイティブの専門業者に添削を依頼する場合もあります。
日本人は「文法的正しさ」を追求しすぎてしまう傾向がありますが、むしろ「自分の考えを英語で伝えられる力」を磨くのが大切です。
まとめ
「大学院」の話は、自分には縁がないと思っていた方も多いかもしれませんが、意外と自分に関係してくる場合もあるかと思います。
「学生時代勉強が嫌いだったから、学び直しには興味がない」という方も多いかと思いますが、大人になってから勉強するのはとても楽しいですよ。
そして、「若い頃気になっていたあの分野をもう一度学び直したい!」と思っている方に伝えたいのは、日本の大学内だけで勉強するのも楽しいとは思いますが、英語の論文が読めるだけでも世界は大きく広がるということ。
さらに、英語で論文を執筆したり国際学会で発表したりできたら、世界中の人に自分の考えを知ってもらえますし、とても面白いフィードバックを得られたりして、学んでいる分野がさらに楽しくなります。学術分野の論文や学会発表の内容は、実はとてもシンプルでわかりやすいものです。
あまり難しい、怖いイメージを持たずに、まずは論文を読むところから始めて、「英語で学ぶ」ことに思い切って飛び込んでみてください。
必ず新しい発見があるはずです。そして一生の生きがいになるような分野を極めることで人生をより輝かせてほしいと思っています。