「運動」という日本語から連想する内容は、人によって違ってくるかと思います。
身体を動かす「運動」を連想する人が多いと思いますが、女性なら「女性解放運動」といった政治的・社会的意味合いでの「運動」を思いつく方もいるのでは。
また、高校の時に理科の選択科目で「物理」を選択した人なら、「運動エネルギー」や「運動量」のような、物理学的意味合いの「運動」について勉強したことを思い出すかもしれません。
この記事では、3種類の「運動」に関する英語表現やフレーズを紹介します。英語で会話していて「運動」が話題に上った時、それぞれ役に立つかと思います。
「身体を動かす運動」に関する表現・フレーズ
「身体を動かす運動」を表す言葉
「身体を動かす運動」は「exercise」と表現します。ちなみに「運動する」という動詞も「exercise」と同じ形をとります。
「運動する」ことを表す言葉としては、「exercise」以外に「work out」という言葉もあります。
「exercise」は有酸素運動やスイミングのように「身体をたくさん動かす運動」を指し、「work out」はジムで筋トレに励むような「一生懸命頑張って結果を出す運動」というイメージです。
「運動」を指すフォーマルな言い方として「physical activity(肉体運動)」という表現もあります。
「Physical」は「肉体的な・物理的な」という意味の英単語です。
「学校の体育」を表す英語として、近年「P. E.(Physical Education)」という言い方が普及しているので、小学生のお子さんなどにはむしろなじみのある言葉かもしれません。
「身体を動かす運動」に関するフレーズ
コロナ禍で運動不足に悩む人は、リモートでこんな会話をする機会があるかもしれません。
I’ve gotten unfit because I haven’t been exercising.
訳)運動不足で身体がたるんできた
I haven’t been getting enough exercise so my body has gotten frail.
訳)運動不足で身体がなまってきた
「運動不足」を表す特定の英語表現はなく、ただ「充分な運動を怠った」という言い方をします。
「I’ve gotten unfit(体型が崩れてきた)」という表現をおさえておきましょう。
「my body has gotten frail(体力が衰えてきた)」という表現に使われている「frail」という単語は、日本人にはあまりなじみのなかった言葉かと思いますが、近年カタカナ語としてじわじわ認知度が上がっています。
日本老年医学会が2014年に提唱した「フレイル」という状態を知っているでしょうか?
英語の「Frailty(虚弱)」を分かりやすくカタカナ語にした言葉で、高齢の方が「要介護状態の一つ手前、身体や認知機能が低下した状態」を表すのだそうです。
自分自身が「フレイル」のリスクにさらされるのはまだ先の話かもしれませんが、フレイルの予防には運動が不可欠ということなので、若いうちから運動する習慣をつけておきたいですね。
運動をするなら、筋トレと有酸素運動をバランス良く行うと効果的です。
I want to improve my basal metabolism through mascle training.
訳)筋トレして基礎代謝を上げたい
「筋トレ」は「mascle training」、「基礎代謝」は「basal metabolism」という表現を使います。また「(代謝を)上げる」は「improve」を使うのが適切です。
「metabolism」という単語から、「メタボ=お腹の出たおじさん」を連想する人もいると思いますが、「metabolic syndrome」の「metabolic」は「代謝」という意味なので、「代謝の異常などにより、身体が様々な異常をきたしている状態」と解釈した方が良いでしょう。
「有酸素運動」は「aerobic exercise」と表現します。
Iwant to burn fat through aerobic exercise.
訳)有酸素運動で脂肪を燃やしたい
「aerobic exercise」は「aerobics」と省略することもあります。また、「cardio」と表現することも多いです。
「cardio」は「心臓」という意味の単語なので、「心拍数を挙げて脂肪燃焼を促す」という意味で「有酸素運動」を表すようです。
「政治的・社会的運動」に関する表現・フレーズ
政治運動に関連する英語表現
「政治運動」は「political campaign」や「political movement」と表現します。
政治運動に関する言葉は、以下のようなものがあります。
- join a political campaign(政治運動に参加する)
- conduct/run/carry out a political campaign(政治運動を行う)
- political campaign worker/political agitator(政治運動家)
公の場で政治について語るべきかどうかは意見の分かれるところだと思いますが、
No political activity in this gym.
訳)このジム内での政治活動は禁止です
といった指示がある施設では、政治的発言を控えてトレーニングなどに集中しましょう。
社会運動に関する英語表現
「社会運動」は「public campaign」、「social movement」や「social activism」などと表現します。
「社会運動」というと、「学生運動(student activism)」のように物々しいイメージがあるかもしれませんが、「署名活動」や「町おこし」も社会運動の一種と言えます。
I’m going to sign a petition.
訳)署名活動に参加しようと思います
「署名活動」は「petition」といいます。また、「署名活動に参加する」場合、「参加する」という動詞も「join」ではなく「名前を残す」という意味で「sign」を使います。
「町おこしをする」と言いたい場合、「boost the local economy(地域経済を活性化させる)」や、「revitalize the town(町を再び活気づかせる)」といった表現が適切でしょう。
They boost the local economy by utilizing historical monuments.
訳)彼らは歴史的建造物を生かして町おこしをした
We’re trying to revitalize the town with its unique festivals.
訳)私たちは地域のお祭りを利用して町おこしをしようと考えています
自分の町の町おこしに限らず、町おこしには積極的に協力したいですね。
「物理的な運動・物体の運動」に関する表現・フレーズ
物理学を勉強したことがある人なら、「ニュートンの運動の3法則」や「運動エネルギーと運動量の違い」などを英語でどう表現するのか興味があるかもしれません。
「ニュートンの運動の法則」は「Newton’s Laws of Motion」と表現します。
ニュートンの運動の法則は、「慣性の法則(Law of inertia)」「運動方程式(Equation of motion)」「作用反作用の法則(action-reaction law)」の3つで構成されています。
「慣性の法則」という言葉は、物理学に詳しくない人にも聞きなじみがあるかもしれませんね。
「運動エネルギー」と「運動量」の違いについて
「運動エネルギー(kinetic energy)」と「運動量(Momentum)」という2つの用語がよく似た印象を受けるために、受験勉強で苦労した記憶がある人もいるのでは。
運動量は「ベクトル量(Vector quantity)」で「運動エネルギ」ーは「スカラー量(scalar quantity)」だと教えられましたよね。
「ベクトル量」は「大きさと向きを持つ物理量」、「スカラー量」は「大きさのみを持つ物理量」だと説明されても、分かったような分からないような……
もしかしたら分かりにくさの原因は、和訳された用語を使っていたせいかもしれません。
そもそも、日本語だと「運動エネルギー」という言葉と「運動量」という言葉は似たような見た目をしていますよね。
しかし英語では、「運動エネルギー」は「kinetic energy(動的エネルギー)」、「運動量」は「Momentum(動く力)」と表現します。見た目が全然違いますよね。
「ベクトル量」と「スカラー量」という表現に関しても、日本人にはピンとこないカタカナ語ですが、英語話者にはある程度イメージがわく単語なのかもしれません。
「vector」という英単語の語源は「運ぶ」という意味のラテン語「vehere」なので、荷物を大きな袋に入れて運ぶようなイメージの言葉です。
そのため「荷物の重さ」と「荷物を運ぶ届け先(方向)」が関わってきます。
一方、「scalar」の語源はラテン語で「目盛り」を表す「scala」なので、単純に「どれくらいの量か」に着目した言葉といえます。
もし、長年の疑問が腑に落ちたという人がいれば幸いです。
まとめ
この記事では、「身体を動かす運動」・「政治的・社会的運動」・「物理学用語としての運動」に関する英語表現を紹介しました。
「物理学用語としての運動」のセクションでは、「運動エネルギー」と「運動量」の違いについて、英語の語源を使って解説してみました。
英語はシンプルかつ論理的な言語なので、英語で考えた方が分かりやすいという場合も学問分野では多々あります。
今回の記事を通して「学問を英語で見つめなおす」ことに興味を持っていただけたら嬉しいです。