自分の名前を英語で伝えるとき、みなさんならどのように言いますか?
おそらく大多数の方は、名→姓の順で名乗るのではないでしょうか。

英語では、姓名の最初の名前を”first name”と呼びますが、日本語と英語ではそもそも語順が違うので、急に聞かれると混乱してしまいますよね。
現地でのパスポート確認やクレジットカードでの支払い時に、「first nameってどっちだっけ?」と困った経験がある方も多いでしょう。

今回は、日本人にとってちょっと紛らわしい英語”first name”について、正しい意味と使い方を英語の名前の構造とともに解説していきます!

”first name”とは

”first name”とは

”first name”は、通常、家族の名前(日本語でいう姓)とは別に付いた、個々の人を特定するために持っている名前です。
英語圏の人の名前において、最初に表記される名前であることから”first name”(最初の名前)といわれています。

辞書では以下のように定義されています。

  • the name that was given to you when you were born and that comes before your family name
    生まれたときに与えられた名前で、姓の前に来る名前
  • your personal name, which comes before your other names
    個人名で、他の名前の前に来る名前

参考:Cambridge Dictionary

日本語では、姓→名の順で名前を表すのが一般的なので、英語とは逆の並び方です。
日本人の「姓」と「名」は区別が難しく、間違って認識されてしまうことも珍しくありません。
そのため、日本名を英語表記する場合は、「名」と「姓」の間にカンマ「,」を入れたり、「姓」をすべて大文字にしたり、「名」の頭文字だけを大文字にしたりといった工夫がされています。

たとえば、「山田太郎」さんは、「太郎」が”first name”に相当するので、「Taro YAMADA」と表記します。
「鈴木花子」さんなら、”first name”が「花子」なので、「Hanako SUZUKI」ですね。
「大谷翔平」選手が世界で「Shohei OTANI!」と叫ばれているのも、英語の”first name”の呼び方にならっているとわかるでしょう。

”first name”の他の呼び方

英語で個人の名前を指した”first name”は、他にも使用場面や宗教などによっていろいろな呼び方があります。
いずれの表現も、姓名の「名」を示しますので、覚えておくと役立ちますよ。

given name

”given name”を直訳すると「与えられた名前」で、両親や親類などから与えられた名前、すなわち名付けてもらった名前であることがわかります。
”first name”と同じくらい知られているスタンダードな呼び方で、パスポートをはじめとした公的書類では、”given name”がよく使われています。

forename

”fore”は、「前の」「前方の」という意味ですので、”forename”で「姓の前にある名前」という意味になります。
”given name”同様、フォーマルな場面や書類で使われることが多い表現なので覚えておきましょう。

personal name

”personal name”は、直訳で「個人の名前」という意味になり、家族で共通の姓ではなく、一人の個人を特定するための名前を指します。
カタカナでそのまま「パーソナルネーム」と読んでも、比較的理解しやすい表現ではないでしょうか。

Christian name

英語圏では、キリスト教徒が多い国も多くあり、キリスト教徒が洗礼の際に与えられる名前を”Christian name”といいます。

”first name”と”last name”の違い

”first name”と”last name”の違い

「名」を意味する”first name”に対して、「姓」を表す英語として使われているのが”last name”です。
”last name”は、他にも”family name”や”surname”と表現されることもあるので一緒に覚えておくのがおすすめです。

”last name”は、直訳で「最後の名前」なので、名→姓で表記する英語名の「姓」の部分に相当します。

  • first name…姓名の「名」
  • last name…姓名の「姓」

日本語と英語では、そもそも名前の表記の仕方が逆なので、姓と名の区別はとても重要です。
公的な文書で間違って書いた場合、「花子山田さん」や「一郎鈴木さん」のように認識されかねません。

最近では、例外的に姓→名(YAMADA Hanako)の順で表記することも許可されるようになってきました。
特に、日本語と同様の姓名順で表記する中国や韓国などでは、母国の表記順で英語表記するような場合も増えてきてはいます。
しかし、英語圏の人々にとってはまだまだなじみのない表記順序でもありますので、誤解なく正しく判別してもらえるような表記の工夫が必要といえるでしょう。

英語の名前の構造

「英語名ってもっと複雑で、アルファベットも入っていたような…」と思った方もいるでしょう。
その通り、英語の名前には、”first name”と”last name”だけではなく、なんとその間に自由に入れて良い”middle name”というものが存在するのです。

”middle name”とは、”first name”と”last name”の間の名前のことを指します。
「姓」と「名」しかない日本名にはなじみがないので、「どれが苗字でどれが名前なの?」と戸惑ってしまいますよね。

”middle name”は、家系や伝統、宗教、個人の区別など、いろいろな理由から好まれて使われています。
イニシャルで省略されることが多く、長さや数に決まりがないので、1つの人もいれば複数の”middle name”を持っている人もいますよ。

”first name”を用いた例文

最後に、”first name” を用いた例文を紹介します。
自己紹介や書類への記入などで、”first name”の判断に迷うことがないよう、使い方をしっかり確認しておきましょう。

Aさん
Her first name is Helen, but we don’t know her surname.
訳)彼女のファーストネームはヘレンですが、私は彼女の姓を知りません。
Aさん
It can be rude to call people by their first name if they are much older or more important than you.
訳)自分よりずっと年上だったり、偉い人だったりすると、ファーストネームで呼ぶのは失礼にあたります。

”on a first-name basis”は、「ファーストネームで呼び合えるほど親しい仲」という意味を表す定型表現です。

イギリス英語では、”on first-name terms”とも表現しますので、2つとも一緒に覚えておくことをおすすめします。

Aさん
He and Mr. O’Brien were acquainted with one another and on a first-name basis.
訳)彼とオブライエン氏は顔見知りで、ファーストネームで呼び合う仲でした。
Aさん
We seem to be on remarkably formal first-name terms this morning.
訳)わたしたちは今朝、驚くほどフォーマルにファーストネームで呼び合う仲になったようです。

まとめ

日本人にとってちょっと紛らわしい英語”first name”について、正しい意味と使い方を英語の名前の構造とともに解説しました。

”first name”とは、英語圏において、家族の名前とは別に個人が持っている名前です。
最初に表記される名前であることから、”first name”(最初の名前)といわれます。

”first name”には、使用場面や宗教などによって、”given name”や”forename”などさまざまな呼び方があります。
姓名の「名」を表す”first name”に対し、「姓」は”last name”です。
また、英語ならではの”middle name”の存在も忘れてはなりません。

日本語にはない名前の文化や慣習を知ることで、英語学習を一層楽しく面白いものにしていけたらいいですね。

おすすめ関連記事: