バターをたっぷり塗ったトーストっておいしいですよねえ。トーストをかんだ瞬間、よくしみたバターが口内に広がると、とても幸せな気分になります。


さて、バターって英語でなんというのでしょうか? それから、同じようにパンに塗るマーガリンって、バターとどう違うの?と英語で聞きたいときには、どのような表現を使えばよいのでしょう。

今回は、バターにまつわる単語やフレーズをいろいろ紹介します。ぜひ最後まで読んでくださいね。

バターって英語でなんていう?

バターは、英語で”butter”といいます。発音記号は「bʌ’tər」でカタカナにすると「バタァ」という感じです。

バターの種類のいろいろ

後段で詳しく説明しますが、バターは製造法によって「スイートクリームバター」と、「発酵クリームバター」にわけられます。

原料乳を、乳酸発酵させてバターにする「発酵バター」は、英語で”fermented butter”といいます。”fermented”は「発酵した」という意味です。

また、発酵バターは食塩を加えてつくりますが、塩分を添加しない「無塩バター」は英語で”unsalted butter”といいます。

“unsalted”は「無塩(塩気がない)」という意味で、お菓子によく使われるほか、健康上の理由で塩分をコントロールしなければならない場合などに用います。

ちなみに、過去の記事で発酵食品である「納豆」にまつわる単語やフレーズを紹介しています。食品や健康に関心がある方は、ぜひそちらもあわせて読んでくださいね。

Aさん
Do you want butter or jam on that toast?
訳)トーストにバターかジャムぬる?
Bさん
Both, please.
訳)両方ぬってちょうだい

バターにまつわる、さまざまな表現

バターにまつわる、さまざまな表現

パンを食べる習慣のある地域では、バターは食事に欠かせないものです。ごはんと味噌汁を基本の組み合わせとする和食で、味噌が特別な調味料なのと同じですね。

そういうわけで、英語には「バター」に関係する表現がいろいろあります。

「バターに似たもの」もバター

“butter” という単語を辞書で調べると、「バターに似たもの」という意味もあります。
風味を加えるためにパンに塗るものを、一般に”spread”といいますが、
  • “peanut butter”「ピーナッツバター」
  • “apple butter” 「アップルバター」
なども、名前に「バター」が入っていますね。

バターには「おせじ」という意味がある?

“butter”という単語を辞書で調べたときに、「おせじ」という意味があることに気がついて、不思議に思った人も少なくないでしょう。

“butter someone up”で、相手に気に入られるために「ごまをする」とか「おだてる」という使い方もあるのです。
これは、パンにバターをべったり塗る感じで、「おせじを言いまくる」イメージが由来になっています。

また、“lay on the butter”で「やたらにほめる」という表現もあります。これもやはり、「おせじ」ですね。

bread and butter は「パンとバター」でよい?

ところで、英語の文章で “bread and butter” が出てきたときには、2種類の解釈ができます。

ひとつは、文字通り「パンとバター」でよい場合。

Don’t forget to buy bread and butter. (パンとバターを買うのを忘れないでね)

いまひとつは、「なりわい」「生計」と解すべき場合があります。

My father brings home the bread and butter. (父は一家の生計を立てている)

そう、“bread and butter”は生活に必要な食べ物なので、「生活費を得る、稼ぐ」という意味があるわけです。

バターの歴史

さて、それほど深く食生活に根を下ろしているバターは、いつごろからつくられるようになったのでしょうか。

紀元前に書かれた旧約聖書にはすでに言及があります。また、

紀元前3000年紀の古代メソポタミアの粘土板文書のなかに記録がみえ、その作業を思わせるウル初期王朝期の浮彫りが出土してイラク博物館にある。

日本大百科全書(ニッポニカ)

とあることから紀元前にはバターが存在していたと考えられています。

バターの起源を調べてみても、はっきりしたことはわかりません。

しかし、牛などの家畜の乳を、木の樽や壺に入れて攪拌すればクリームが分離します。現在でも、モンゴルや西南アジア地域でこの方法が採られていることを考えると、もしかして何かの拍子に偶然バターができて、製法が改良されてきた可能性があります。

バターは初め、「革の袋に入れた生乳を吊るし棒で揺らす」という、なんとも原始的な方法でつくられていたため、ずいぶん長い間「野蛮人の食べ物」といわれ、”貧しい人が食べるもの”とされてきました。

そのため、身分が高い貴族がバターを食べるようになったのは、ずいぶん後のことのようです。なんとももったいない話ですね。

バターの原料は?

バターの原料は?

前項でバターの作り方に簡単に触れた通り、バターの原料は生乳です。乳から分離したクリームを攪拌して固め、塊にしてバターを作ります。

原料は「生乳」ですから、必ずしも牛の生乳で作るとは決まっておらず、山羊など他の動物の生乳からもバターはつくられます。一般的には牛の生乳でつくられます。

たとえば、インド文化圏でよく使われる「ギー」は、バターから純粋な脂肪分だけを取り出したバターオイルで、牛のほか、山羊や水牛などの乳を原料にしています。

ところで、英語の”butter”は、「牛のチーズ」を意味するギリシャ語の “boutyron” に由来します。

日本では、バターは奈良時代に中国の唐から伝えられた可能性があるほか、江戸時代に入ってからオランダを通じて伝えられました。バターには、「牛酪」という漢字を当てています。

バターの製造方法は?

バターの製造方法は?

一般的には牛乳を原料にするバターは、どのようにつくられるのか、知っていますか?

バターは、次の手順で製造されます。

  1. 生乳からクリームを分離させる
  2. 分離させたクリームを攪拌することにより、脂肪分の塊をつくる
  3. 脂肪分の塊を冷水で洗浄し、バターミルクを除去する
  4. バターができる

3のバターミルクには、コレステロールを抑制する効果や、殺菌効果、また腸がんや胃潰瘍の予防効果があるといわれています。最近では、脳機能を改善する効果があることも明らかになりました。

自宅でバターを手づくりすると、バターミルクができます。このバターミルクを料理やお菓子に利用すると、栄養価も高く、おいしく仕上がるので、ぜひ試してみてください。

イギリスに古くから伝わる童謡「マザーグース」(Mother Goose:「がちょうおばさん」という意味)のなかに、”Come Butter Come”という歌があります。

日本語では、詩人の谷川俊太郎さんが「ミルクよ バターになっとくれ」と訳されていて、おいしいバターケーキが待ち遠しくて、バターが早くできてほしい子どもの気持ちがよく表れています。

バターの成分は?

これまで説明したきた通り、バターは生乳を原料としていて、乳脂肪分を固めたものです。成分の80%以上を乳脂肪が占めていますが、バターの脂肪は消化吸収に優れ、幼児や高齢者、または胃腸の弱い人でも安心して食べられます。

またバターは、視覚や心臓、腎臓をはじめとする、さまざまな器官の働きを助ける脂溶性ビタミンのビタミンAを豊富に含むほか、ビタミンDやビタミンEなども含んでいるため、食用油脂のなかでも栄養価の高い食品といえます。

マーガリンって英語でなんという?

マーガリンって英語でなんて言う?

ところで、バターと共に、パンに塗る油脂としてよく出てくるマーガリンは、英語でなんというのでしょうか。

マーガリンは英語で「margarine」といいます。発音記号は「mɑ’ːrdʒərin」でカタカナにした場合「マァージャリィン」という感じで、「マーガリン」では通じませんので注意しましょう。

さてこのマーガリンは、バターとはどう違うのでしょうか。

見た目もよく似ているし、どちらもパンに塗るものだし、「違いなんてあるの?」と思われるかも知れませんが、バターとマーガリンにはいくつかの違いがあります。どのような違いがあるのか、ちょっと確認してみましょう。

バターとマーガリンとの違いは?

いっしょに扱われたり、置き換えて使われたり、バターとマーガリンは似ているようですが、性質が異なる食べ物です。

わかりやすく比較するために、下記に表にまとめてみます。この表から、バターとマーガリンは同じような用途に使われますが、原材料から、味わい、栄養面まで異なる食品であることがわかると思います。

濃厚な味わいに仕上げたい場合はバターを、あっさりした味わいに仕上げたい場合にはマーガリンを選ぶなど、使い分けるとよいでしょう。

なお、バターとマーガリンの共通点についてもふれておきます。それは、100gあたりのカロリーが、

  • バター   700kcal
  • マーガリン 715kcal

で、どちらも700kcal以上あることです。
あっさりした味わいのように感じるのに、同じ量ではバターよりマーガリンの方がカロリーが高いなんて、びっくりですね。

バター

butter

マーガリン

margarine

原料 生乳(乳脂肪) 食用油脂(植物油)
製造方法 生乳から分離したクリームを加熱殺菌して冷やし、撹拌して乳脂肪分を練り固める 食用油脂に、水、乳成分、ビタミンなどを加えて乳化させ、殺菌後に急速冷却して固め、練り上げる
栄養成分 ビタミンAが豊富 油脂含有率80%以上

(80%未満はファットスプレッドと呼ばれる)

味の特徴 濃厚でクリーミーな味わい あっさりした味わい
賞味期限 約6か月 約8~9か月

マーガリンは、含まれる油脂の割合によって、「マーガリン」と「ファットスプレッド」に分かれます。
詳しくは、下記の厚生労働省の定めた規則をチェックしてみましょう。


参考:厚生労働省「マーガリン類の表示に関する公正競争規約及び同施行規則」

Aさん
What is the difference between butter and margarine?
訳)バターとマーガリンはどう違うの?
Bさん
The raw materials and production methods are different. And of course, the taste.
訳)原料も製造方法も違うよ。もちろん味もね

 

BTSの曲「Butter」はどういう意味なの?

BTSの曲「Butter」はどういう意味なの?

今や日本でも多くのファンをもつ韓国のアイドルグループBTSには、そのものずばり、「Butter」という楽曲があります。

2021年にリリースされたこの曲では、歌詞の冒頭に

Smooth like butter(バターのようになめらかに)

breaking into your heart like that(君のこころに入っていくよ)

という部分があります。

「バターのようにスムーズに、君を虜(とりこ)にする」という意味が込められていて、イケてる男の子が、苦もなく女の子の心をつかむ様子を歌ったものです。

smooth like butterには「ものごとがスムーズに運ぶ」という意味があります。

またBTSのパフォーマンスのように「動きがなめらか」という意味もあります。

しかし、この詞の場合は単に「なめらか」なのではなく、自然に見せかけて、うまく取り入るニュアンスがありそうです。

後に

like a criminal undercover (正体を隠した犯罪者のように)

が続くのと、smooth には「なめらかな」だけではなく、「口先がうまい」「調子がよい」という意味もあるからです。

ぜひチェックしてみてくださいね。

Aさん
The song “Butter” by BTS is great.
訳)BTSの「Butter」は最高だよね
Bさん
It’s for ARMY.
訳)ARMYのための曲だよね

 

※”ARMY”は、BTSのファンの総称です。

まとめ

本記事では、バターという単語の意味や、バターにかかわるフレーズをいろいろ紹介しました。

西洋世界でのバターの歴史の古さにも驚かれたのではありませんか? そんなに昔から、人びとはバターのおいしさを知っていたのですね。

また、バターとマーガリンの違いも、なかなか興味深いものですね。

インプットした知識は、会話で実際に使うことで、どんどんアウトプットしましょう。今回紹介した単語やフレーズは、ぜひ覚えて英会話に役立てていただけたらうれしく思います。See you next time!