日本語には、ネイティブに通じない和製英語がたくさんあります。

私たちがよく耳にする「メリット・デメリット」は、まさに和製英語の代表例です。

英単語の「merit」と「demerit」に由来し、日常会話だけでなくビジネスの場でも多く使用されています。

じつはこの2つの単語、英語と日本語で意味が異なります。

ネイティブとの会話で日本語と同じ使い方をすると、誤解を招いてしまう可能性があります。

では、日本語でいう「メリット・デメリット」は、英語ではどのように表現するのでしょうか。

今回は、「メリット・デメリット」を意味するさまざまな英語を例文とともに解説します。

 

「メリット・デメリット」の英語での使い方

英語と日本語で意味が異なる「メリット・デメリット」。

英語の正しい意味と使い方を解説します。

 

「merit」と「demerit」の正しい意味

英語の「merit」と「demerit」は、日本語とは意味が違います。

そのため、「メリット・デメリット」を英語で言うときは、下記の違いをしっかり理解しておくことが重要です。

日本語の意味

メリット 利点、有利、得
デメリット 欠点、損失、不利

英語の意味

merit 価値、長所、取り柄
demerit 短所、落ち度、罰点

和製英語である「メリット」は、「利点」や「得」といった意味で使われますが、「merit」の本来の意味は「長所」や「取り柄」といった意味を表します。

「デメリット」も同様で、「欠点」や「損失」を意味する日本語に対して、「demerit」は「短所」や「落ち度」、「罰」などと解釈されます。

どちらも英単語に由来する外来語ですが、日本語と同じように使うことはできないため注意が必要です。

 

「merit」と「demerit」の正しい使い方

merit」と「demerit」を使った例文を紹介します。

日本語とは違う意味の使い方を例文とともに覚えておきましょう。

Aさん
There’s little merit in asking him for help.
訳)彼に助けを求めてもあまり意味がないね。
Aさん
Does she have any merit?
訳)彼女には何か取り柄があるの?
Aさん
There are both merits and demerits in anything.
訳)何事にも、長所と短所の両方があるさ。

 

「メリット」は利点?「デメリット」は不都合な点?

「メリット」は利点?「デメリット」は不都合な点?

日本語でいう「メリット・デメリット」は、英語ではどのように表現するのでしょうか。

ネイティブがよく使う英語表現を3つ紹介します。

  • advantages and disadvantages
  • pros and cons
  • upsides and downsides

それでは、ひとつずつ確認していきましょう。

 

advantages and disadvantages

「メリット・デメリット」を表す定番の言い方です。

advantages」は、他と比べて有利であることや、その利益のことを指します。

日本語で「メリットがある」というときは、英語の「advantage」を使うのが最適です。

Aさん
There are many advantages and disadvantages of living there.
訳)そこに住むことには、メリットとデメリットがたくさんある。
Aさん
It would be to her advantage to learn Chinese.
訳)中国語を習うのは、彼女のためになると思う。

 

pros and cons

advantages and disadvantages」とともにネイティブによく使われるのが、「pros and cons」です。

漠然とした「良い点・悪い点」を意味し、カジュアルで使いやすい言い方なので覚えておくと役立ちます。

Aさん
Discuss the pros and cons of saving money.
訳)貯金について、メリットとデメリットを議論してください。
Aさん
There are pros and cons of living in the city.
訳)都会に住むのは、良い面と悪い面両方あるよね。

 

upsides and downsides

シンプルに「(物事の)良し悪し」を意味するカジュアルな口語表現です。

「pros and cons」はセットで使われますが、「upsides」と「downsides」は、それぞれ個々に用いられることもあります。

Aさん
These products have its upsides and downsides.
訳)これらの製品にはメリットもデメリットもある。
Aさん
The upside is that it is good quality. On the downside, it is very expensive.
訳)メリットは、品質の良さ。デメリットは、非常に高額なところ。
Aさん
The downside of living in this country is that the healthcare system is so slow!
訳)この国での生活の欠点は、医療制度がとても遅いことだ。

 

「メリット・デメリット」の類似表現

「メリット・デメリット」の類似表現

「メリット・デメリット」の類似表現は他にもいろいろあります。

セットで使われることの多いフレーズを3つ紹介します。

  • risks and benefits
    「リスクと便益(利点)」という意味を表し、物事の利益とそれに伴うリスクを述べるときに使われます。

    Aさん
    The patient should understand the risks and benefits of such a transplantation.
    訳)患者は移植のリスクと利点を理解する必要がある。
  • for and against
    「賛成と反対」を意味するフレーズです。「for or against」とも言います。

    Aさん
    Whether or not you are for or against my plan, I will still work on it.
    訳)あなたが賛成であろうが反対であろうが、私はその計画に取り組みます。
  • strengths and weaknesses
    「強みと弱み」を意味する言葉で、「長所と短所」と訳されることもあります。

    Aさん
    Tell me about your personal strengths and weaknesses?
    訳)あなたの長所と短所を教えてください。

 

「merit」を使った例文

「merit」を使った例文

日本人が間違いがちなNG例とネイティブが使うOK例を一緒に確認していきましょう。

NG例

Aさん
It has too many demerits disadvantages.
訳)デメリットが多過ぎるよ。
Aさん
A good education is a merit advantage in life.
訳)良い教育を受けることは、人生において有利だ。
Aさん
There are many merits and demerits pros and cons for the matter.
訳)その問題については、多くのメリットとデメリットが考えられる。
Aさん
What are the merits and demerits upsides and downsides of living in China?
訳)中国に住むメリットとデメリットは何?

OK例

Aさん
What are your son’s merits?
訳)あなたのお子さんの長所は何ですか?
Aさん
The advantages outweigh the disadvantages.
訳)マイナス面より、プラス面のほうが多い。
Aさん
There is no benefit to us from reading the book.
訳)その本を読んだところで、私たちにはなんのメリットもないよ。

まとめ

「メリット・デメリット」を意味するさまざまな英語を例文とともに解説しました。

「merit」と「demerit」は、日本語と英語で意味が違います。

英語では、「長所・取り柄」や「短所・落ち度」を意味することを理解しておきましょう。

日本語の「メリット・デメリット」を表す英語は、「advantages and disadvantages」や「pros and cons」、「upsides and downsides」です。

私たちが普段使っている和製英語は、ネイティブには全く通じないということは少なくありません。

単語の意味を正しく理解して適切な使い方を習得することが、スキルアップにつながります。

例文を丸ごと覚えて、英語力をさらに鍛えていきましょう。