みなさんは、”neither”という英語を聞いたとき、どのような意味を想像しますか?
「全然わからない」または「聞いたことはあるけどよく知らない」と思った人が多いのではないでしょうか。
学校の授業や受験勉強などで一度は習ったことがある人もいるかもしれませんが、実際に”neither”を使って会話できるかというと疑わしいのが現実です。
今回は、日本人のわたしたちにあまり馴染みのない“neither”について、3つの用法と意味、さらに”me neither”や”neither do I”などの関連表現を解説していきます。
“neither”の意味
“neither”は、「どちらでもない」「AでもBでもない」という意味の英単語です。
2つの選択肢に対して否定的な意味合いを持ち、形容詞、代名詞、副詞、として使われます。
英英辞典では、以下のように定義されており、2つあるものや人をどちらも否定していることがわかります。
not one and not the other of two things or people
ものや人が二者択一ではないことを示す
日本語で「リンゴもオレンジもどちらも好きじゃない」「野球もサッカーも得意ではない」と、どちらも否定するようなときに使われる表現です。
じつは”neither”には、形容詞、代名詞、副詞としての3つの用法があり、それぞれ意味が異なります。
- 形容詞的用法「どちらの~もない」
- 代名詞的用法「どちらも~ない」「どちらでもない」
- 副詞的用法「AでもBでもない」「AもBも同様に~ない」
参考:Weblio英和辞書
日本語にするとどの品詞も似たような訳になってしまいますが、英語では用途が明確に分かれているので、しっかりと理解しておくことが大切です。
ちなみに、”neither”と間違いやすい単語に”either”がありますが、意味は逆になるので気を付けてください。
“either”が「どちらか一方の」という肯定的な意味であるのに対し、”neither”「どちらでもない」となります。
“neither”は、”not either”を省略した単語なので否定を表すと覚えておきましょう。
“neither”の3つの用法
“neither”は、2つのものや人、事柄において、想定された状況にどちらも当てはまらないことを示す英語でしたね。
“neither”には、形容詞、代名詞、副詞としての3つの用法があり、文の形も使われる品詞もそれぞれ異なります。
用法ごとの基本形とポイント、例文を解説していきます。
形容詞的用法の”neither”
形容詞として使われる”neither”は、2つの名詞のどちらにも当てはまらないことを示し、「どちらとも〜ない」「両方とも〜ない」という意味になります。
【基本形】
neither + 単数名詞
【ポイント】
形容詞の”neither”が修飾するのは単数名詞(複数形にしないように!)
【例文】
Neither suit is appropriate for this occasion.
訳)どちらのスーツもこの場にはふさわしくありません。
Neither problem was solved.
訳)どちらの問題も解決していません。
Neither child wants to go to the park.
訳)子どもたちは2人とも公園に行きたがっていません。
代名詞的用法の”neither of”
“neither”が代名詞として使われるときは、”neither of”の後ろに必ず複数形を続けて、「どちらとも〜ない」「両方とも〜ない」という意味を表します。
【基本形】
neither of + 名詞/代名詞の複数形 + 動詞/be動詞の単数形
【ポイント】
- “neither of”に続く名詞(句)や代名詞は複数形!
- “neither”は単数扱いのため、動詞またはbe動詞は単数形!
【例文】
Neither of us has been to Italy.
訳)わたしたちのどちらも、イタリアに行ったことがありません。
Neither of my brothers graduated from college.
訳)兄弟2人とも、大学を卒業していません。
Neither of them could enjoy the concert.
訳)彼らは2人ともそのコンサートを楽しめませんでした。
副詞的用法の”neither A nor B”
副詞として使われる”neither”は、”neither A nor B”の形をとることが多く、「AとBどちらでもない」と両方を強調しつつ否定を表します。
【基本形】
neither A nor B
【ポイント】
AとBは品詞を揃える!
AとBには、名詞、動詞、形容詞など何でも入れられますが、2つをあえて強調して否定したいときに使う表現なので、品詞はできるだけ揃えるようにしましょう。
【例文】
Neither Mike nor I were in the library.
訳)マイクもわたしも、図書館にはいませんでした。
Neither my brother nor I can play the piano.
訳)わたしも弟も、ピアノが弾けません。
Neither Chris nor his girlfriend is coming to the party.
訳)クリスも彼の彼女も、パーティーには来ないそうです。
“neither”を使った返答表現
相手の話にテンポよく相槌を打ったり、的確に答えたりできたらいいのにと思ったことはありませんか?
最後に、”neither”を使った否定の返答表現について、会話でよく使われるものを紹介します。
“Neither.”は「どちらでもない」
“Neither.”は、2つの選択肢を質問をされたときに、「どちらでもない」と答えるときの表現です。
“Neither.”と一言だけで伝えられる覚えておいて損はない英語なので、日常会話をはじめいろいろなシーンで役立ちますよ。
Do you like the pink dress or the blue dress?
訳)ピンクと青、どちらのドレスがお好みですか?
Neither.
訳)どちらも好みではありません。
Would you like coffee or tea?
訳)コーヒーと紅茶どちらになさいますか?
Neither.
訳)どちらも結構です。
“Me neither.”は「わたしも~ない」
“Me neither.”は、相手が何かを否定したことに対して同調するときに使われる口語表現です。
「わたしも〜ない」という意味で、”I don’t like ~ either.”または”I don’t either”などと言い換えられます。
直訳だと「わたしもまたそうではない」と否定的な意味を表しますが、日本語にすると「わたしも同じく」のように肯定的なニュアンスになるので注意が必要です。
どんな内容に対しても「わたしも」の一言で同調を表現できる日本語の感覚で、”Me too.”と言ってしまわないよう気をつけましょう。
I didn’t eat breakfast this morning.
訳)今朝、ご飯を食べていません。
Me neither.
訳)僕も食べていません。
I’m not good at speaking in front of many people.
訳)大勢の前で話すのが得意じゃないのです。
Me neither.
訳)僕も苦手です。
“Neither do I.”も「わたしも~ない」
“Neither do I.”も、「わたしも~ない」と否定文に同調するときによく使われる表現です。
基本の形は、【 neither + do / am / can / have + 主語 】で、相手の言った内容に合わせて動詞を使い分けます。
I can’t sing a song well.
訳)歌が上手く歌えません。
Neither can I.
訳)僕も上手く歌えませんよ。
I haven’t been to Japan.
訳)日本に行ったことがありません。
Neither have I.
訳)僕も行ったことないです。
まとめ
実際に活用することが少なく、あまり馴染みのない”neither”について、3つの用法と意味をはじめ、”me neither”や”neither do I”などの関連表現を解説しました。
授業や受験対策で一度は習ったはずの”neither”は、用法によって品詞が異なるものの、日本語訳ではほとんど差がないため、上手く使いこなせないという人も少なくありません。
また、日本語と英語の文法や捉え方の違いから、インプットはできてもなかなかアウトプット(実践)までたどり着けない英語といえます。
とはいえ、”neither”は2つのものを同時に否定できる便利な英語なので、しっかりと定着させておきたいものです。
今回紹介した関連表現も含め、積極的に会話に取り入れて表現の幅を広げていきましょう。
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